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ヒノ・ヒビト氏(以下、ヒノ):エデンズライフは画期的なゲームです。
編集部(以下、編):具体的にどういうところが画期的なのか、教えていただけますか?
ヒノ:今や全世界を覆い尽くした情報通信網であるサイバーネットが、十数年前にある転換期を迎えました。
編:いわゆる、<SeConD>の開発ですね?
ヒノ:そうです。<SeConD>とは、<Sensitivity Connection Drive>の略で、直訳すれば“神経接続装置”ということになります。まぁ、効果は既に皆さんご存知の通り、自分の五感をダイレクトに電脳世界と接続することができる、ということです。
これがあればサイバーネットの中で林檎を食べても、現実世界そっくりの食感や味を堪能することができます。もちろん、一時的に満腹感は得られても、現実世界に戻ればお腹は空いたままですし、栄養も取れませんが、これは画期的な発明と言っていいでしょう。
例えば開発元である米サイバーネット社は、研修医が本物の人体ではなく、サイバーネット内に構築された仮の手術室と人体で手術の練習ができるような医療学習ソフトを開発しました。共同開発元である米国防総省はこれで軍事演習を行っているそうです。我が国にも来年から同じソフトが納品されるそうですね。他にも、航空会社が共同でフライトシミュレータの開発を発表しましたし、旅行会社も、渡航者が前もってホテルや旅先の雰囲気を知る為のソフトを開発中と聞きました。これからも<SeConD>はどんどん発展し、広がっていくことでしょう。
編:今回、ヒノさんが社長を務めるサークルサンズ社が発表したエデンズライフも、この<SeConD>に関係があるということですか?
ヒノ:その通りです。もうお分かりかと思いますが、エデンズライフは<SeConD>に完全対応した、つまり、完全体感型のロールプレイングゲームです。プレイヤーはこれまでのようにディスプレイ見て、コントローラーを握ってプレイする必要はありません。ドラゴンが自分の目の前にいる。それを自分の目でしっかりと見て、咆哮を自分の耳で聞き、距離を測り、自分の足で歩き、握った剣を振るってドラゴンを倒す。お伽の世界に迷い込んだかつての名作の主人公たちのように、現実世界からサイバーネットの世界に入り込み、プレイヤーは幻想の世界を堪能することができるのです。
編:それは、<SeConD>が発表されてからゲームファンが願ってやまなかった夢が実現するということですね?
ヒノ:その通りです。プレイヤーはアバターと呼ばれる自分の分身を操り、剣と魔法が支配する異世界へと旅立つことになります。
(中略)
編:<SeConD>は開発から十数年経過しているわけですが、非接触とはいえ、脳神経と外部入力装置を接続するというその性質上、安全面において危険性を指摘する専門家もいらっしゃいますが。
ヒノ:もちろん、<SeConD>も人間が作り出したものですので“絶対”はあり得ません。とある専門家が仰るように、<SeConD>の発する疑似神経パルスの出力を上げれば利用者の脳を焼くことも理屈上は可能です。ですがデバイスには幾十にも安全装置が張り巡らされていますし、ソフトに不具合があっても<SeConD>側から強制終了させることができます。それに、<SeConD>が一般発売されてから8年になりますが、<SeConD>を悪用した犯罪は各国において確認されていません。もちろん、エデンズライフのサーバーにも厳重なプロテクトを施してありますし、安心して遊んでいただければと思います。
編:発売日まであと一週間と迫りましたが、今のお気持ちをお聞かせください。
ヒノ:正直、感慨深いです。完全体感型ゲームはファンの方々と同じくらい、いえ、あえて言わせてもらうならばそれ以上に私が待ち望み、切望したゲームでした。<SeConD>が発表された日から三日ほど、感動で夜も眠れませんでした。そしてそれからは一日も休むこと無く完全体感ゲームをうちが、どこよりも早く発売する為に必死に開発に打ち込んできました。ですので、無事に“世界初”完全体感型ロールプレイグゲームの名を冠したエデンズライフを皆様にお届けできることは、とても嬉しいです。
編:では最後に、エデンズライフを待ち望んでいるファンの皆様に一言お願いします。
ヒノ:エデンズライフは世界初の<SeConD>に完全対応した完全体感型ロールプレイグゲームであると同時に、世界で最も面白いゲームになるとボクは自負しています。一度手に取って頂ければ、ボクの言葉を理解していただけると信じています。是非、遊んでみて下さい。
編:本日はありがとうございました。
こうして発売されたエデンズライフは発売初日に国内で100万本を売り、一ヶ月後に全世界で1200万本という売り上げを叩き出し大ヒットを記録した。ゲーム開発会社は慌てて類似品を販売したが、エデンズライフの細部にまで拘り抜かれた良質なゲーム性は他社の追随を許すこと無く、エデンズライフは結局その年、全世界4000万本超というゲーム史上稀に見る売り上げを記録した。




