『最期の手記』
これは、『世界が終わる直前』を舞台に、世界の終わりを人々がどのように過ごすかを書いた詩集です。
あなたなら、こんなときどのように過ごしますか?
どうしてこうなってしまったのか。
世界が終わるなんて、それを目の前にしても、認めることは出来ないが、かと言って真実に抗うことは叶わない。
せめて“証”が残せれば……。
だから、俺は手紙を書く。そしてこれを、俺の生きた“証”として残そう。
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はじめまして。
この手紙が見つかったということは、新しい世界が始まったのでしょう。
それは何とも嬉しいことです。
俺は、終わってしまった世界に生きた、しがない配達員です。この手紙を、
【お届けものです】
そう言って渡せないのが心残りですかね。
これを見つけた、始まった世界で生きるあなたに、お目にかかれないのが残念です。
ところで、新しい世界はどうでしょうか?
草木は、青く茂っていますか?
水は、清く流れていますか?
鳥たちは、広い空を飛んでいますか?
あなたは、その世界に生まれて幸せですか?
この手紙が、見つかるという保証はありませんが、もし、もしもこれを読んでくれた方がいるならば、是非この手紙を持っていてはくれないでしょうか。
そして、俺という存在がいたことを忘れないでいてほしいのです。
今となっては、そうすることしかできないので。
あ。
こっちの世界はもう終わりのようです。
手紙も、ここまでしか書けそうにありません。
やっぱり言っておかないといけませんね。
最後に、これを見つけて下さったあなたへ。
お届けものです
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