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エピローグ……最後に語る真相

 


 これで一通り、説明し終わったかな。健人の知らない、真相。裏側について。

 まだ説明していないことは、俺が教師になった理由と、國藤の娘、由香と何故結婚したかについてか。これ以上書くのも、しんどいな。

 でも、ここに至るまでの経過をより詳しく知ってもらいたいから、一応書くことにするわ。

 俺が教師になった理由は、今更説明することもないだろうけど、もちろん健人と交わしたあの約束を果たすためだった。つまり、國藤を殺すのが、教師になった理由だ。

 國藤は神南中学にまだ勤務していた。俺は教師になり、一回の転勤を経て運よく國藤の勤務している神南中学に赴任することが出来た。

 しかも、俺の運はそこで尽きていなかったのだ。

 國藤をどう殺害すればよいか、そう思案していると、一人の女生徒を見つけた。國藤由香だ。

 自分でいうのもなんだが、俺は神南中学でももてた。だから、由香も自然と俺に近寄ってきたのだ。

 飛んで火にいる夏の虫とはこのことだと、俺は思った。

 俺は由香を利用しようと、早速考えた。

 由香のことを特別扱いして、色々と話していくうちに、ある情報が俺に興味を抱かせた。

 家で、國藤に虐待を受けているというものだった。

 母が亡くなってから、國藤の性格が変わり、自分に強く当たるという。

 俺は、その情報が嘘だということを見抜いていた。俺の気を惹くためについた嘘だと。

 分かっていて、俺はそれを信じたふりをした。

 この時点で俺は、すでに國藤の殺害計画を完成させていた。

 まず、俺は國藤に食事をしようと誘った。國藤は俺の誘いを二つ返事で受けたのだ。國藤が俺のことを覚えていなかったのは、本当に運がよかったと思う。

 俺は仕事を早めに片付けて、國藤と一緒に、由香が待つ國藤のマンションへと向かった。

 すぐには殺さない。國藤を大分弱らしてから、殺すのだ。

 食事が始まって三十分後ぐらいかな。俺の興味を惹く話が出たので、余談だが入れようと思う。

 健人の親友が自殺したという話を思い出して欲しい。大分前に書いたやつだ。

 その真相について、やつは酔った勢いで口走っていたよ。

 誰が健人の親友を自殺に追い込んだのか、それがまず一番気になると思うのだが、結論から言うと、やはりいじめっ子グループらしい。

 いじめっ子グループは、ある遊びをしていたんだと。しかも、必ず親友が負けるような仕組まれた遊びを。その罰ゲームが、自殺だったんだ。

 遺書を書いて、首を吊らせることが罰ゲームの内容らしいんだけど。

 もちろん、やつらには殺すつもりなんか微塵もなかったんだろう。脅し程度に、ふざけて首を吊らせたところ、途中で助けることが出来なくなって、怖くなってその場を急いで逃げたんだ。

 國藤は、その真相を最近になって知ったらしい。なんのきっかけで知ったのかは教えてくれなかったが、酔った勢いで話してしまったということは、きっと悩んでいたに違いない。誰かに打ち明けたくて仕方がなかったんだと思う。

 けど、俺は國藤に同情するつもりなどなかった。

 結局やつは、そのせいで健人に八つ当たりをしたのだから。

 躊躇することなく、俺はやつの頭を鈍器で殴った。即死だった。

 あとは、証拠などを抜かりなく処分して、誰もいないことを確認しマンションを出た。

 由香の仕事は、まるで今発見したかのように警察へ電話をかけること。これで、完成だ。

 ただ、若干の不安要素は否めなかった。

 それは、マンションに設置された防犯カメラである。

 けど、この問題はあっけなく解決したのだ。

 俺が起こした神南市無差別殺人事件の時、大活躍してくれた田口のおかげで。あいつは、本当に何でも出来る。

 俺たちが不利になる情報を、前のときのように改竄し、さらに俺のシナリオ通りに事が進むよう運んでくれたのも、田口だった。

 分かりやすく説明すると、健人は俺の思い通りに動かされていたのである。

 健人が情報課の存在を知ったのは、ただの偶然なんかじゃない。俺が西島に頼んで、健人の頭に情報課 の存在を植え付けた。

 そのおかげで、今回の事件も情報課に頼るであろうということが、想像できたのだ。

 そしてこの事件で、俺は西島と初対面を果たした。校長室でな。(ちなみに、西島は俺の名前を知らないから、無差別殺人のときに電話をかけてきたあいつだ、ということにはならないのだ)。

 俺は笑いを堪えるのが大変だったよ。まさか西島が、健人を守るためにおかまになっているって。たしかに、自分のお気に入りだと回りに示せば、誰も健人に強く当たることができなくなる。

 けど、ここまでだよ。

 俺は、西島を殺すことにした。

 健人には、刑事を最終的に辞めてもらうつもりでいた。

 理由は、あいつの本心が聞きたかったから。

 刑事として俺を追っているのか、それとも親友として俺を追っているのか。

 西島と一緒に家宅捜索を行い、その現場で西島が何者かに射殺されれば、もはやあいつは辞職せざるを得ない状況に陥る。あいつを守ってくれるものはいないからな。

 けど俺は、あそこであいつを辞めさせるつもりはなかった。まだ早かったんだ。

 俺は警視庁の捜査一課に電話をし、健人を止めさせないでくれと言った。やつらは断ることが出来ず、健人は刑事を続行することになった。

 が、そんな矢先にあの誘拐事件だ。

 俺はもっと慎重にいきたかった。しかし、由香が健人を辞めさせるために誘拐事件を引き起こし、さらに俺が帰った後、健人に事件の真相を全て話してしまって、俺の計画が狂ってしまったのだ。

 そこで俺は、計画の軌道を修正するため神南中学に爆弾を仕掛け、健人を呼び出した。あとは、皆の知っている通りだ。

 と、ここである矛盾が生じてしまうことに、気づいただろうか。

 何故由香は、健人を辞めさせるために誘拐事件を引き起こしたのに、その後で健人に事件の真相を語ったのか。

 ここからはあくまで俺の推測であって、納得がいかない場合は各々でいいように解釈してくれ。

 由香は、早くこの事件を終結させたかったのではないかと、俺は考えている。それで、誘拐事件を起こした。

 分かりやすく説明すると、由香はまず誘拐事件を引き起こし、その現場に俺を呼び出して健人に飛び出させ、健人を完璧に辞めさせるような状況に陥らせる。その後、健人に事件の真相を語り、俺が犯人だという確信を抱かせた。

 つまり由香は、俺が最終的に健人に刑事を辞めさせ、この事件を終わらせるという計画に気づいていたのだ。

 真相が健人に知られれば、こっちとしてもこれ以上長引かせる理由もないし、健人は事実上刑事を辞めさせられているのだから、由香の思惑通り、計画が早めに終結を迎えてしまったのだ。

 そのことに気づいたのは、俺がバイクで逃走をして数日後だった。

 俺は責任をとるべく、バイクで由香を迎えに行き、一緒に逃げることにした。

 もちろん、その時点で俺は由香と結婚する気なんて微塵もなかった。由香を親戚の家に預けた後、一人で逃走しようと目論んでいた。

 だが、由香の真意に気づいてしまった。まあ、あくまで推測なのだから、本当かどうか分からないが。考えすぎかもしれないし。

 けど、もしこれが本当だと仮定したら――いや、しなくても俺は急に由香のことが愛おしく思えてきたのだった。

 いつの間にか、由香は俺にとってかけがえのない存在となっていた。

 由香と結婚することに、いつの間にか躊躇いはなかった。

 これが、由香との結婚を決めた理由である。

 満足してくれたかどうか分からないが、この真相に対しての突っ込み、苦情等は受け付けないので、よろしく。

 何故って? それは、そんなの言われても答えることが出来ないからだよ。これを誰かが読む頃には、もう俺はいないのだから。

 分かるんだよ。今日は健人が来て、俺を殺すって。

 俺はノストラダムスも真っ青の、占い師だからね。

 ――冗談だよ。田口から聞いたんだ。実は健人と田口は交流がまだあるらしくて、先日、健人が聞いてきたんだと。俺の居場所。

 俺も田口との交流はまだ持続しているから、教えてもいいか訊かれて、俺は頷いた。

 健人のやつ、田口に俺を殺す、ということも言ったらしい。どうして今なのかねぇ。

 でも、俺は逃げないよ。潔く、健人に殺されてくる。

 あ、そうそう。さっき、突っ込み、苦情等は受け付けないって書いたけど、由香に訊けばいいじゃん、みたいに思っている人、絶対いるよね。

 無駄だよ。だって、あいつも殺されるもん。殺すのは健人じゃないけどね。

 永遠に真相を葬るため、俺は芝原に由香を殺してくれと依頼した。数日後、芝原がこの家に来ることになっている。

 俺は今日、健人に殺されるんだけどね。どうせなら、一緒にあの世へ行きたかったな。

 ってか、随分長くなってしまったな。そろそろ終わりにしないと。

 最後に、皆疑問に思うであろうということを書いておくわ。

 芝原は一体何者なのか? 健人の同期で、捜査二課の刑事であるということは知っているだろうけど、所詮そこまでだろう。

 実は、芝原は健人にある情報を教えていたことをご存知だろうか。その情報というのは、西島が誰に殺害されたのか、それを推理させるための情報だ。

 あの情報、俺が教えたものだよ。あの情報で、健人を誘導していたことは、もはや言うまでもないだろう。

 まあ、そういうことだ。芝原とも、俺は繋がっていた。

 こうして振り返ってみると、色んな人が出てきて、話が複雑になりすぎちゃったな。上手く説明できない点もあったし、疑問も残っていると思う。

 けど、書いたとおり疑問には答えられない。永遠に、俺はこの事件の真相を葬る。

 じゃ、そろそろいつも通り潮風に浴びてくるって、由香に言ってくるわ。

 この辺で、お別れだ。少し寂しくなるな。

 最後まで読んでくれてありがとう。感謝している。

 さようなら。

 


 いかがでしたでしょうか。このお話は。

 ようやく、大胡編も完結いたしまして、私としても非常に嬉しい限りです。

 しかし、これを読んでくれた多くの方がこう思うかもしれません。意味分からないと(実際、私自身書いている途中で、意味分からなくなってしまいまして)。

 というのも、発想だけで先走ってしまったもので、本編もそうでしたが、こちらはとにかくこじつけが多くて、私の中ではかなり完成度の低い作品となってしまいした。

 けど、こんな作品に最後まで付き合ってくれた読者様には、本当に感謝しています。PVやユニークが日々増えていくことが、私の力となっていました。感謝してもしきれないくらいです。本当に、ありがとうございました。

 あと、このエピローグの最後の部分に、疑問や苦情等は一切受け付けないと、書いてしまいましたが、あれはあくまで大胡になりきって書いただけで、どんどんお寄せください。どんな駄目だしでも、真摯に受け止め、これからの作品につなげていきたいと思っています。皆様の感想を、お待ちしております。

 長文になってしまいましたが、最後に一言。本当に今まで読んでくださって、ありがとうございました。これからしばらくはお休みすると思いますが、復活したときは、またよろしくお願いします。

 では、また会う日まで。

 

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