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序章……記憶

 初めまして。サスペンス・ミステリが大好きな西内京介。十八歳の高校三年生です。

 この小説は、僕の自信作です。本題に入るのは、まだまだかかりますけど、それでも構わないという方がいてくだされば、ぜひ読んでみてください。内容には、少し自信があります。

 読んでくださった方は、ぜひ感想をご記入ください。駄目だし大歓迎です。よりよい小説を作るための参考にしたいと思います。

 それでは、どうぞ!!

 


 最近、嫌な夢ばかりを見る。

しかし、その夢が自分にとってどうして嫌なのか、そこが漠然としていて、自分でもよく分かっていないのだ。

 ただ、これだけははっきりとしている。

 この夢は、自分の体験した過去なのだと。

 俺の体験した過去など、もうとっくのとうに忘れ去っている。と言っても、まだ三十年間しか生きていないわけで、とっくのとうという表現の仕方はいささかおかしいかもしれない。

 毎晩見るこの夢を、俺が嫌だと感じているのだとしたら、その過去は俺にとって何らかの恐怖を与えたのだろうと想像はつくのだが、実際のところどのような恐怖が過去の自分に降りかかったのか、全く思い出せないでいた。

 そして、いざ思い出そうとすると、とたんに頭痛がしたり、めまいがしたりする。まるで、その過去が思い出されるのを本能的に頭が拒否をしているみたいに。

 どうしてこうなってしまったのだろう。俺が毎晩見るこの夢は、一体何なのだ。俺の過去に、何があったというのだ。

 自分のことなのに、どうしても分からない。

 いや、分かりたくないのかもしれない。

 今も、その嫌な夢を見ていた。

 俺の見る夢はとても現実的で、時折これが本当の世界ではないかと錯覚してしまうことも多々ある。

 夢の中の俺は学ランを着ていて、どこかの学校の教室に一人で立っているのだ。周りを見渡しても、誰もいない。綺麗に並べられているいくつもの机があるだけ。

 教室を出ようとしても、何故か出られない。ドアは開いていて、すぐ目の前に廊下が見えているのに、どうしても教室から一歩を踏み出すことが出来ないでいた。見えない壁でも、立ちはだかっているのだろうか。

 しばらくすると、一人の男が教室に入ってくるのだ。

 その男は長身で眼鏡をかけていて、スーツを着ている。いかにも真面目そうな男だ。

 男は、教室の後ろのほうで立ち尽くしている俺の方へ向かって歩いてくる。男の表情からは、残虐さが窺えた。

 こちらに向かって歩きながら、男は口を開いて何か言っている。しかし、何も聞こえない。何故ならこの世界には音が存在しないからだ。

 だから、男が俺に何を言っているのか知ることが出来ない。

そして、男が俺のところにあと一歩のところまで近づくと、この無音の世界が白い霧に包まれ、その霧が開けると、俺は見覚えのある町を悠然と見下ろしているのだった。

場面が変わったのだ。教室から、屋上へと。俺は、屋上のフェンスの外側に立っていた。

 自殺をするつもりだということは、すぐに分かった。しかし、自殺をする原因が謎だった。あの男と何か関係でもあるのだろうか。

俺は、フェンスを掴んでいた手をゆっくりと離していく。本当に自殺するつもりなのか、俺は心の中で、当時の俺にそう聞いた。けど、答えてなんかはくれない。俺は、当時の俺の意識に入り込んだだけだから。この世界の主人公は、当時の俺なのだ。

覚悟を決め、目を瞑って足を一歩前に踏み出そうとした時、俺はゆっくりと後ろを振り返った。

 振り返った先にいたのは、華奢な体をした少年だった。

 その少年は、必死に何かを俺に語りかけている。自殺を思い止まらせようとしいているのか。

 そんな少年の説得にも応じず、俺は背を向けて再び自殺を試みる。

 すると、少年の声がかすかに聞こえてくるのだった。

「死ぬな」

 そう聞こえた。

 徐々に少年の声は、はっきりと聞こえてくる。この無音の世界で、少年の声だけが虚しく響き渡っていた。

「必ずお前は救われる」

 その言葉を、俺は嘲笑った。そして何か言ったみたいなのだが、先ほども言ったように少年の声以外はこの世界に響くことはない。俺の声も例外ではない。

「お前が死ぬことなんかない」

 一呼吸の間を置いた後に、少年は言った。

「あいつが死ねばいい」

 俺はその言葉に耳を疑い再び振り返って、何かを言おうとした。しかし、もう少年の姿はなかった。

 俺はしばらく少年がいたはずの場所をじっと見つめていた。そして徐々に、景色がまたも白い霧に包まれ、意識が遠のいていくのだった。夢が終わる合図だ。

 現実に引き戻される直前、少年の声が俺の頭の中ではっきりとこういっているのが聞こえるのだ。

「あいつの殺害計画を、立てようぜ」

 そこでいつも、俺は目を覚ます。目を覚ました頃にはもう、夢の世界で見たことなんか、すっかり忘れていた。



 

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