表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今度は三国志の真っ只中にいます  作者: 水原伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/19

1.永遠を超えて、また君に巡り合う。【作者の都合で三国に戻された】

【三国志の端っこで生きています】の続編になります。

裕介=廠=アキト。

そして、また、三国時代に戻ってきたところからです。

二つの魂が未来で再び巡り合い、ようやく安らぎを得た。


はずだった。


アキトは、ミナと手を取り合ったあの夕日の光景を、何度も思い返していた。

胸の奥にあった空白が埋まり、世界がようやく“正しい形”に戻ったように思えた。


だが、その夜。

アキトとミナは、眠りについた瞬間、胸の奥で何かが軋んだ。


(……呼ばれている?)


光の川のような場所が、再び揺らいだ。


魂の奥底に沈んでいた“別の記憶”が、ゆっくりと浮かび上がる。


――まだ終わっていない。


声がした。

誰の声でもない。

だが、抗えないほど強く、深く、古い声。


【異形を倒せ】


次の瞬間、アキトの視界は闇に飲まれた。


落ちていく。


未来の都市も、ミナの笑顔も、すべてが遠ざかる。


土の匂い。

怒号。

炎。


荒れ果てた大地。


アキト、いや廠は目を開けた。


----


土の匂いがした。

乾いた風が、頬を撫でた。

目を開けると、低い天井と粗末な木の梁が見えた。


廠はゆっくりと身を起こした。

胸の奥に、三つの時代の記憶が重なっている。


未来の都市でミナと再会した夕日の光。


現代での孤独と救い。


そして、三国の戦場で散った仲間たちの声。

異形の核を倒したことも覚えている。


(…なんだよ、せっかくいい感じに織と再会したのに…)


声が聞こえる。


【異形を倒せ】


(倒したじゃねーか…俺、あの後の現代、織がいなくて寂しかったんだぜ…)


【だから、未来で会わせてやったろ?】


(て、いうか、誰だよ、お前?)


【んー、作者】


(…へ?!)


【なんか、さ、ちょっとだけ人気になっちゃったんで、続けたいんだよね…】


(な、なんだこれ?!)


【だからさ、すぐに織には会わせてやるから、それにまた、チートスキル与えるからさ】


(どーなってんだ、俺の頭の中?!)


【ちゅーわけで、頑張ってくれたまえ】


脳裏の声は、ふっと消えた。


廠はしばらく天井を見つめたまま固まっていた。


(……マジかよ)


----


廠は額に手を当て、ゆっくりと周囲を見渡した。

粗末な家。

土壁。

外から聞こえる市場の喧騒。


(……張世平の街だな)


劉備が馬を買いに訪れる、あの街。


歴史が大きく動き始める直前の場所。


廠は拳を握った。

十八歳の肉体は軽く、強い。


だが、魂は三つの人生の重みを抱えていた。


(天涯孤独っていう設定か。まあ、やりやすいな)


外から、怒号が聞こえた。

遠くで煙が上がっている。

黄巾の乱が、始まろうとしていた。


廠は立ち上がり、扉を開けた。

乾いた風が吹き込み、衣を揺らした。

(異形……お前たちが、この時代にもいるのか)


その瞬間、胸の奥で何かがざわついた。

まるで、運命が再び動き出したかのように。


----


脳裏の声が消え、廠はしばらく天井を見つめて固まっていた。


(……マジかよ。なんでまた戦乱の時代なんだよ)


外から、にぎやかな声が聞こえてきた。

市場のざわめきに混じって、妙に通る男の声が響く。


「張家の娘婿を募集しておるぞー! 働き者、歓迎じゃー!」


(……は?)


廠は思わず耳を疑った。


張家。

張世平。

劉備が馬を買いに来る、あの商人。


(娘婿……? そんな設定、あったか?)


いや、史実にそんな話はない。

だが、さっきの“作者”の声を思い出す。


(……まさか、これも作者の仕込みか?)


廠はため息をつき、粗末な扉を開けて外に出た。

乾いた風が吹き抜け、街の喧騒が一気に押し寄せる。


その中心で、張世平らしき男が腕を組み、道行く若者たちを値踏みするように眺めていた。

「おお、そこの若いの! お前、十八か? 働きそうな体つきじゃの!」


(……いや、俺、三つの人生分働いてきたんだけどな)


廠は苦笑しながら、張世平の前に立った。

「……娘婿って、本気で募集してるんですか?」


張世平はにやりと笑った。

「本気じゃ。本気も本気、家の跡取りが必要でな」


廠は空を見上げた。


(行くしかないな。あと、もうあんまり出てくるなよ、作者、世界観壊れるぞ、ほんとに)



【はいよ】


廠はため息をつきながら、張世平の屋敷に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ