『螺旋の書』
掲載日:2026/01/01
とりあえず読んでみてください。
螺旋の書は 語らない
音もなく 回り続ける
私という物語の
始まりも
終わりも知らぬまま
指先に残る
誰かの手の ぬくもり
波紋のように 広がる記憶
石に刻まれた
暗黙の約束
私は 読む
誰かの夢みた 痕跡を
私は 綴る
私の まだ知らぬ言語で
ある章は 閉じられたまま
ある章は 書きかけのまま
ある章は
見知らぬ筆跡で
いつしか 塗り替えられてゆく
それでも 私は
この書を 抱いて生きる
語られぬままの 物語を
ひとつずつ
呼吸のたびに 辿りながら
螺旋の書は 語らない
それでも 私は
その太古の うねりに
私という存在を 聴きとる
読んでくださった方々、ありがとうございました。




