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Chapter.6 願い事

この作品は完全オリジナル作品です。

 ー2098年ー

夜ヶ崎高等学校では生徒が帰宅した後、職員総出で士煌の捜索にあたっていた。

士煌の母が風井先生との電話をきった後、思い当たるところを探したが見つからず警察に行き捜索願を提出したらしい。その後警察から学校に電話が来て現在の状況になっている。


風井先生「久信田くーん!いるー?」


風井先生は担任として他の先生よりも時間をかけて探していた。学校内や公園、小中学校、駅なども探したが見つからなかった。


風井先生「ここじゃないのかな...。あとは...どこだろう?」


一度車に戻り、スマホを確認する。先生方からの情報が送られてきているがまだ有力な手がかりはないらしい。そして次の場所へ向かおうと車のハンドルを握った直後、メッセージがきた。その送り主は花森先生だった。


風井先生「虹心?えーと...え?」


そのメッセージには“佐羽藤神社で待ってます”と表示されていた。


風井先生「佐羽藤神社?あそこは結構前に廃墟になってるはずだけど...。とりあえず行ってみよう」


風井先生は車を10分ほど走らせて佐羽藤神社に向かう。到着すると長い石段を登り鳥居をくぐる。そこには花森先生が立っていた。風井先生が来たことに気づいてニコッと笑った。そしてこっちこっちと言わんばかりに手を振る。風井先生はそのまま花森先生のいる場所まで行った。


風井先生「虹心ー?どうしてここに呼んだの?もしかして久信田くんがいたの?」


すると花森先生は風井先生の方を向いて真剣に話し始める。


花森先生「愛葵は私になんで教師になったの?って聞いたよね?」

風井先生「え?そうだけど...なんで?」

花森先生「覚えてないと思うから話すけど私たちが高校3年生の時にこの神社に古くから伝わる都市伝説をやりに行こうって行ってこの神社に来たんだよね」


すると風井先生はハッと思い出したような表情をした。


風井先生「思い出した!そういえば願いを叶えに虹心についてきてよって言ってきたんだ」

花森先生「そして私たち、未来から来たっていう男の子に出会ったじゃない?私はその子みたいな子たちを助けたいって思って教師になったんだよ?」

風井先生「そうだった...。全部思い出したよ。なんで今までこんな大切なこと忘れてたのかな...」


2人は神社の本殿の前まで歩いた。そしてお互いに顔を見合わせる。そして...


花森先生「私たちを変えてくれた大切な友達...」

風井先生「確か彼の名前は...」

2人「《“久信田士煌”》」


声がそろうと突然本殿が光り始めた。2人は眩しくて目が開けられず目を閉じる。しばらくすると光が弱くなって誰かが着地するような音が聞こえた。音が聞こえて気になり2人は目を開ける。そこには...。


風井先生「久信田くん!!」


なんと士煌が立っていた。士煌の隣には背負っていたリュックも落ちていた。士煌は2人を見つけると近づいた。


士煌「風井先生、俺...今まで本当にごめんなさい!」

風井先生「え?」

士煌「俺、自分と向き合えてなかった。風井先生も花森先生も俺のためにいろいろやってくれてたのに...。なのに俺は...」


下を向いて話す士煌に風井先生は近づいて話し始めた。


風井先生「久信田くん、私の方こそあなたを気持ちを理解してると思ってた。でもそれは理解しているつもりだった。ごめんね...気づいてあげられなくて」


その言葉に思わず涙が流れてきてしまう士煌。花森先生も士煌のところに来て話す。


花森先生「士煌くんこれ...」


花森先生から渡されたのはノートとボールペンだった。


士煌「このノートとボールペンは俺の!?どうして花森先生が持ってるんですか?」

花森先生「実は初めて士煌くんと会った次の日に改めてお参りに行こうって思って本殿まで1人できたんだけどそうしたらドアがちょっとだけ開いてて気になって入ったらそのノートとボールペンが置いてあったの。ノートの裏に士煌くんの名前書いてあったし、未来から来たって言ってたからもしかしたらまた会えるんじゃないかと思ってずっと持ってたんだ」


士煌は落ちていたリュックを拾い、中を調べて探すがノートとボールペンだけが見当たらない。


士煌「そっか俺忘れてきたのか...」


士煌は改めて6年ぶりにノートとボールペンを花森先生から受け取る。相当丁寧に保管してあったのだろう。ボールペンはインクも出るし、ノートはしわひとつなくまるで新品同様だった。


風井先生「そうだ!私先生方の警察の方に連絡してくる!」

花森先生「そうだった!よろしくね!」


風井先生は鳥居の方に走って行き、電話をしていた。花森先生と2人になった士煌は話を始める。


花森先生「どうだった?過去の私たちは?」

士煌「花森先生は覚えていたんですか?」

花森先生「もちろんね。だって私は士煌くんに伝えるために教師になったって言っても過言じゃないし」

士煌「なんか、出会えてよかったなって思います。なんやかんやあったけど俺は1番風井先生と花森先生に助けられてたんですね。」


そこへ風井先生が戻って来た。すると士煌の方を見た。


風井先生「みんなに連絡したし、お母さんにも連絡したから大丈夫だよ。じゃあとりあえず警察署行こっか!」

花森先生「そうだけど士煌くんに説明してないよ?」

風井先生「え?説明しなかったっけ?」

士煌「え?警察?...俺なんか悪いことしましたか?」

花森先生「大丈夫。そんなことないよ。詳しいことは愛葵の車で説明するね」


そう言って神社の本殿を後にして歩き出した。そのあとを追う2人。


風井先生「ちょっと虹心!待ってよ〜!運転するのは私なんだからね?」

花森先生「愛葵が遅いから置いていくよー!」


そんなやりとりを見た士煌は高校の時から変わらないんだなっと思った。さっきまで見ていた景色とは違って見える。まるで世界が変わったように。


花森先生「士煌くん」


名前を呼ばれ急いで向かうと石段を降りている途中で立ち止まっている花森先生がいた。


花森先生「私も進路がわからなかったけど士煌くんに出会って士煌くんに言われた言葉今もずっと残ってて。私、士煌くんみたいな子を助けたくて、世界は広いからまだ見たことない生きやすい世界あるよ!ってことを伝えたかった...」


その言葉を聞いて友達以上に心にくる何かがあった。さっきまでは友達として、今は生徒と教師として。ずっとこの日を待ってくれていたんだと気づいた。


風井先生「あ、ちなみに学校ではちゃんと風井先生って呼ぶんだよ!でもプライベートでは愛葵でいいよ。友達なんだから!ねっ士煌」


風井先生がいうとすごく安心感がある。友達...本当によかったって心から思った。そして笑顔で勢いよく石段を駆け降りる。先生方2人を抜いたと思ったら立ち止まり振り返った。


士煌「早く行かないといけないなら早く行こ。ただでさえおっちょこちょいなんだから愛葵は!笑」

花森先生「そうだよね!士煌!」

士煌「早くしないと虹心と一緒に愛葵のこと置いていくよ?」


そういうと3人で一斉に車まで走り出した。時を超えて願いが繋いだ想い。3人の想いはこれからもずっと続いていく。

ここまで読んでくださりありがとうございます!この話はこれで完結になります。今まで読んでくれた読者の皆さん、本当にありがとうございました!

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