Chapter.2 都市伝説
この作品は完全オリジナル作品です。
ー帰り道ー
いつものように帰り道を歩く。空はきれいな夕焼け空が広がっていた。
士煌「…将来なんてわからないだろ」
道に落ちている小石をけりながらつぶやく。空を見上げるとカラスたちが鳴いている。士煌には「進路、進路」とせかされているように聞こえた。それが嫌で耳をふさいで走る。
少し走るとカラスの声がどんどん小さくなっていった。そのことにほっとした直後、足を止めた。
士煌「この神社…」
士煌が足を止めたのは夜ヶ崎村ができた当初に建てられたとされる”佐羽藤神社”。
この神社には名前の由来となっているサワフジがたくさん咲いていることで有名だったが今はもう使われていない。
士煌「そういえばこの神社だったよな…」
それは士煌が高校に入学して間もない頃のこと。
ー高校入学当初の教室ー
A「またお前と一緒だわー」
B「なんだよ。うれしいだろ」
士煌『もうグループできてるんだな…。』
クラスではだんだんと友達のグループができていた。士煌は人と関わることはしないと決意していたため、席に座って観察している。すると少し興味深い内容の話が耳に入ってきた。
A「そういや、願いが叶う都市伝説みた?」
B「みたみた!あれやべえーよな」
士煌『願いが叶う?』
A「しかも、佐羽藤神社だぜ?」
B「え?まじ?」
士煌『佐羽藤神社?確かそこは…』
B「でもさ、あの神社廃墟じゃん。デマじゃね?」
A「それがそうでもないらしい。使われなくなった佐羽藤神社に誰もいない時間に行って願い事を言えば叶うんだってよ。まっ代償が必要らしいけどな」
B「そこまでしてやらなくてもいいよな。自分の命が代償とかだったら終わりじゃん。それに都市伝説じゃん。おまえ本気にしてんの?」
A「そこまでは信じてねえけど過去にやって成功した人がいるとか聞いたから…」
B「絶対それも嘘だって。おまえ騙されやすくね?」
士煌『所詮はただの都市伝説だろ…。他の人はこういう話題しか話さないのか…」
ー現在ー
そんな出来事を思い出した。いつも通っている神社。どういうわけか今日は足が止まった。
士煌がポケットからスマホを取り出し画面を見ると”18時31分”と表示されていた。
士煌「まあ、時間はまだあるし神社内に入ったことないからいっか」
そのまま40段あるとされている石段を登り、鳥居をくぐる。
神社の境内は長い間放置されていたとは思えないほど綺麗だった。周りには草木が生い茂り、サワフジがあたり一面に咲いていた。こんなものなのかと不思議な気持ちで賽銭箱がある本殿まで歩いた。
士煌「確か誰もいないときに叶えたい願いを言えばいいんだったっけ?」
一度周りを見渡すが人の気配はない。それどころか廃墟となったこの神社に来る人自体いないだろう。
士煌「何かを犠牲にしてまで叶えたい願い…」
この神社に来るときに通った鳥居の方を振り返る。ちょうど鳥居の内側に村全体が入ってるかのような景色が見えた。村を見下ろして深呼吸をし、もう一度本殿の方をふりむいた。そして目を閉じて手を合わせる。
士煌「俺の願いがもし叶うなら…_______」
しばらく動かずにいたが恐る恐る目を開けて見る。ところが変わった様子はない。自分の体を確認しても、周りの景色を見ても何も変わっていなかった。
士煌「やっぱり所詮はただの都市伝説か…」
呆れた顔をして、自分の家に帰ろうと方向転換した。そして歩き出した直後…。
急に本殿が光りだした。驚いて振り返るが光が強すぎて目が開けられない。
士煌「なんだよこれ!?」
しばらく強い光が発せられていて目が開けれなかったが徐々に光が消えていった。
そして目を開くが本殿は光っていなかった。
士煌「え?」
不思議に思い本殿を調べたり、境内を見て回ったが変わったところはなかった。
士煌「一体、何だったんだよ…」
完全にあきれて神社を後にしようと鳥居まで歩いた。しかし突然歩く足を止めた。それは鳥居からみた村の景色に違和感を覚えたからだ。
士煌「あれ?こんなに明かり少なかったっけ?」
さっき見た村の夜景の方は明るく光り街頭の明かりも多かった。しかし今見ている景色は村全体的の明かりが弱く街頭の明かりも少なく感じた。不思議に思いポケットにしまっていたスマホを取り出し時間を確認する。そこに表示されていたのは…。
士煌「えっ!?2092年!?…てことは6年前か?」
スマホが壊れたのかと思い、いろんなアプリを開いてみるがちゃんと起動できていた。焦っていたので見間違いかと思いもう一度画面を確認してみることにした。しかし何回見てもスマホには2092年という文字が。
士煌「まさかタイムスリップしたっていうのか?」
混乱している頭で帰る方法を必死に探した。スマホで検索したがヒットなし。もう一度境内を見て詳しく調べたが特におかしい点は何もなかった。ただ唯一不審な点があるとしたら…。
士煌「なんでこの鳥居の先に行けないんだよ…」
どういうわけか鳥居の前に見えない壁が存在するかのように前へ進めずこの神社から一歩も出られない状況になっていた。
士煌「…まっ、明日学校休めるし別にいっか」
と完全に振り切った。そして本殿に行き、閉められた扉を開けて中に入る。幸い寝る場所が確保できたので今夜はとりあえずそこで寝ることにした。
士煌「…どうせ学校に行かなくても心配するやつなんていないし、だれにも迷惑かからないだろ」
床に寝転がってもう一度スマホを開いた。やはり”2092年 20時39分”と表示されていた。今考えてもどうしようもないだろうということで目を瞑った。
ここまで読んでくださりありがとうございます!ぜひ次回もよろしくお願いします!