Chapter1. 学校は憂鬱
この作品を見つけてくれてありがとうございます。小説としては至らぬ点が多々ありますが暖かい目で読んでくださると嬉しいです!
※本編は完全オリジナル作品です。
西暦2098年。
都心部での発展により人口が減り、今はもう800人しか暮らしていない夜ヶ崎村。
そんな小さな村で起こった不思議な出来事。
ー夜ヶ崎高等学校ー
?「進路希望出してない人は早めに出してください〜。提出期限もう過ぎてるからね!」
先生の声が教室に響いた。
“風井愛葵”
教師歴は2年の新米。今年から2年生の担任になった。生徒の間でも話しやすいと評判の良い先生。
C「先生!進路希望忘れました!」
風井先生「そんな元気に言わないで?笑
まあ、完璧な人間はいないんだし、仕方ないんだけどぜーたい明日持ってくるんだよ!!」
C「はーい」
そんなやりとりをしているうちに授業終了のチャイムがなる。部活に行く子、帰る子、勉強する子。放課後はいろんな生徒がいろんな理由で残っている。
風井先生「さてと...」
風井先生は深呼吸をして教室の端っこの席にいる男の子に話しかけに行く。
風井先生「久信田くん。話せる時間あるかな?」
?「....はい。」
風井先生は生徒を連れて保健室に来た。
そしてテーブルに向かいあって座り、話し始める。
風井先生「久信田くん、進路希望調査表出てなかったけど出せそう?」
?「...無理」
思っていた通りの言葉が返ってくる。
“久信田士煌”
風井先生のクラスの生徒で口数が少なく、いつも1人で過ごしている。周りと関わろうとしないため心配していた。
それでも風井先生は明るく優しく質問する。
風井先生「どうして?自分のやりたいこととかがないから?」
士煌「先生には関係ない」
相変わらずの無表情。
風井先生は困惑しながらも諦めずに続ける。
風井先生「じゃあ学校で楽しいこと...。例えば授業とか好きなことある?」
士煌「学校...つまんない」
風井先生は言葉に詰まる。自分でも知っていたはずなのに何もできない自分に無力さを感じていた。
風井先生「そっか...。お母さんとは話してる?」
やっとの思いで出た言葉。でも聞きたいことはそういうことじゃないということを1番分かっていた。
士煌「する暇なんてない」
風井先生「でも進路だからちゃんと話し合った方が...」
すると久信田くんは急に立ち上がり、自分の荷物を持って保健室の扉の方に歩いて行く。
風井先生「ちょっと待って久信田くん!」
士煌「話すことないし、俺忙しいから」
その一言を残して久信田くんは保健室から出て行った。1人になった風井先生はため息をつき、落ち込む。
?「今、士煌くんが...って大丈夫?」
声のした方を向くと保健室の扉の前には1人、先生がいた。
風井先生「虹心〜!助けてよ〜!もうやだよー」
涙目になりながら話し始める。
“花森虹心”
養護教諭で教師歴は1年。愛葵とは高校からの親友。
花森先生「どうしたの〜?ていうか学校では“花森先生”だからね?ちゃんと士煌くんと話したの?」
風井先生「話したよ!進路希望調査表出せる?って。でも無理って言うし、楽しいことないの?って聞いたらないって言うし。もう無理だー!」
やけになっている風井先生を落ち着かせる。
生徒の前ではしっかり者でも実は風井先生は何でもかんでも投げ出したくなるタイプ。
花森先生「担任なんだから仕方ないよ。生徒と向き合わないとね!でも士煌くんの気持ち分かるな〜」
風井先生「え?」
花森先生はいつも風井先生といたのでこういう時の対処法は1番よく分かっている。まず落ち着かせて風井先生が苦手な“気持ちを読み取る”という動作を花森先生がやる。
花森先生「私だって高校生の時はやりたいこと見つからなかったもん。進路希望調査表が1番嫌いだった。」
風井先生はよくわからなさそうな顔して花森先生を見る。
風井先生「じゃあなんで先生になったの?」
花森先生「え?風井先生は覚えてないの?」
風井先生「えーと、なにが?」
風井先生はよく忘れっぽいけどとある出来事までも忘れているとは思わなかった。ただ花森先生も全てを明確に覚えているわけではなくところどころしか思い出せない。
花森先生「はあ〜。風井先生はやっぱり愛葵だ」
風井先生「なんでー?ねえ!教えてよ!花森先生っ?」
興味深々の風井先生。花森先生はベットの上に座り、風井先生の方を改めて見て話をする。
花森先生「仕方ないな〜。私が先生になったのは……」
話し始めた直後、保健室の扉が開く。扉の方を向くとそこには化学担当“本郷瑠彩”がいた。
本郷先生「風井先生、花森先生、職員会議の時間ですよ」
2人は顔を見合わせてハッとした表情になる。
風井先生「やっば!忘れてた」
花森先生「すいません!今行きます!」
本郷先生はニコッと笑ってから職員室に戻った。
風井先生「花森先生の話は今度絶対聞くから!」
花森先生「わかったよ!」
2人は生徒に見られないように隠れつつ、ダッシュで職員室に向かった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!ぜひ次回もよろしくお願いします!




