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4話 魔道具研究部所長ロイ 1

 無事放送室まで行けて放送で先ほどあったことを詳細に説明し終えた。今日は休みなのに……このあとは大隊長への報告もしないといけないし、壱隊へ隊長を引き取りに来てもらわないといけないからなぁ。相当めんどくさい。新人の一人は教会へ治療してもらいに行かせているから後でお見舞いも行かないといけないな。あの教会はきな臭いから嫌いなんだがなぁ。治癒魔法を使えるのは教会に所属している奴らしか使えない。


「あの聖女様にも黒い噂があるからそのうち調べないとな」


 まぁ聖女様に関しては王都の教会にいる訳だしこんな辺境までは来ないだろう。100kmくらいは離れているが街はある。飛竜で行けば案外すぐだからちょっとのんびりとしながらでもいいかな。・・・急に外が暗くなってきたな。今日は雨でも降るのかねぇ。なんて考えながら外に出てみると雲ではなく赤竜の大群だった。防御結界があるとはいえ基地の空を覆いつくす量はヤバいぞ。門番は……すでに中に入っていたのか。よかった。


 どうしたものか。赤竜の危険度は相当高く、ゼロ隊の小隊長は単独で討伐は出来るがそれは一対一だったらの話だ。はぁ……今日は次から次へと問題が出てくるのは何故なんだ。この数は数千は余裕で超えているなぁ。とりあえず副隊長に連絡を入れ避難誘導を小隊長達とするように言った。俺は門番くんに申し訳ないが仮面を持ってきてもらうようにお願いした。これだけの数を討伐するのには上層部の許可がいるので顔合わせをしないといけないのだ。


「このくらいならまとめてやれるが基地に被害が出るな」


 生態系なんてフル無視すればいいって訳じゃないんだよな。ダンジョンに出てくるモンスターは無限に湧くが、外にいる魔物は繁殖して数を増やしていくが……一度絶滅させてしまったらどこからか二匹が誕生してそこから増えていくが強化されてしまって手がつけられなくなる。そんなことは避けないといけないから俺は絶滅させないようにしている。まぁ手につけられなくなった場合は全てを一度に絶滅させればいいだけの話だからなぁ。


 まぁ生物を作っているのはクソ神様だろうから最悪の場合はまた神殺しでもすればいいか。まずはあの赤竜の群れをどうにかしないとな。あの数であればボスがいる筈なのに姿が見えない。群れで動くものはボスを殺せば逃げ惑う筈だが、本来赤竜は10〜15匹くらいのグループに分かれて行動する。それを余裕で超える数千は見るからに異常事態だ。ってことは群れのボスは殺されていて……黒竜に従っている可能性の方が濃厚だな。


「隊長さん……これを着けてくれないかな?」

「ロイ、なんでお前が仮面を持って来たんだよ」

「なぁについでさ」


 ロイという奴は魔道具研究部所長でここにくるまでは王都で色々な魔道具の作製を行って来ていたのだが研究開発に貪欲すぎて周りから冤罪をかけられた。投獄されているのを俺が見つけてスカウトしたのだが、副隊長にはすごく反対されたのは記憶に新しい。最初は本当に制御するのに苦労した。まぁコイツのおかげでこの仮面が出来たので感謝している。そんな奴が持って来た物が球体とリングだった。


「最近、ダンジョン配信という物が流行っているのは隊長さんは知っていると思うが」

「はいしん?」

「・・・とりあえずその腕輪を装着したまえ」

「分かった。したぞ?」

「うむ、魔力を流してくれ」


 言われた通りに魔力を腕輪に流す。すると球体が浮き始めた。感動していると「配信をスタートするから仮面を着けたまえよ」とロイが無理やり着けてきやがった。そのはいしんとか言うのが何かは分からないがこの浮いている球体にカメラが付いているのは分かったがこれが一体なんの役に立つのかはわからない。ロイは何やら楽しそうにしているからまぁいいか。副隊長に後で怒られるかもしれないがロイに無理やりやらされたって言おう。


「うむ、準備は完了だ。さぁいこうか」

「ちょっと待て」

「なんだい。僕のスリーサイズなら教えないぞ」

「違う。何故、お前もそれを着けてる?」


 呆れられてしまった。研究、開発の他にもその配信というものをやっているらしく登録者? とかいう奴らも多いとのこと。配信というのは結構前からあったらしいがダンジョン配信やこういう討伐配信はつい最近出来たとのこと。知らんがまだ赤竜の討伐は出来ないことを説明したら「それなら出ているぞ」と平然と言ってきた。はあ? 隊長の俺に連絡がなくて何故、研究員のお前に来たんだよ。


「では討伐に向かおうではないか」

「お前、戦えないだろ」

「君が守ればいいさ。出来るだろう?」


 まぁ討伐許可が出ているのであればいいけどさ足手まといを連れてあの数を相手にするとか自殺行為だぞ。どうやってロイを置いて行こうかと考えていたらいつのまにか消えていた。どこ行った!? すでに防御結界の外に出ていたので急いで後を追うが赤竜襲われそうになっていた。あの野郎は一体いつになったら大人しくしておいてくれるのかな。とりあえず刀を抜きそのままぶん投げて赤竜を一匹殺した。


 刀のついでにロイを回収して基地から全力疾走しながら離れる。赤竜は俺達を追跡して来てくれるのでありがたいが火球を吐いてくるのはやめてもらえないかな? 流石に走って赤竜と距離は空けれないから何匹かに追いつかれて食われそうになるがそいつらを叩き斬る。ロイは俺に襟を掴まれて運ばれているというのに楽しいそうに「サクサク斬るとは恐れ入る」と言ってくる。


 思ってもいないことを言いやがるな。赤竜共の餌にでもしてやろうかと思うがそんなことをしたら他の奴らからクレームが飛んでくるだろうからやめておこう。コイツ、さっきから何かを見ながらぶつぶつと喋っているけど一体何をしているんだ?



◇◇◇

〔ロイ視点〕


 僕は天才発明家のロイだ。今はゼロ隊の魔道具研究部所長をやっている。でっちあげられた罪によって投獄されていた僕を救ってくれたのは隊長さんで、今まで面倒をみてもらっている。ルイズとは2ヶ月くらいは違うが同期で今も仲良くやっている。あのゼロ隊が今や最強と言われるまでに成長したのは隊長さんのおかげだろうな。


「ロイ、町や村とかはこの周辺にはないような?」

「ないとも」

「分かった。ここで次の一撃で殲滅するから気を付けろよ」


 君は……これが配信中ってことを忘れているな。ちなみに生放送で全国に配信されている。すでに100万人以上に見られていて彼が赤竜をいとも簡単に斬るものだからコメント欄が『あり得ないだろ』や『いや強すぎん?』などで埋まっていたのに、殲滅するなんていうから『無理に決まってるじゃんw』に変わってしまったじゃないか。不快なコメントではあるが同感だね。いくら強くてもそんな一撃でこの数をやれる訳がない。


「この辺ならいいか」

「うぎゃ!!」


 僕を雑に降ろしてくれて彼は刀をしまった。一体、彼はどうするつもりなのかは分からないから今の状況を説明することが一切出来ない。彼は考えるような仕草をして「なぁ赤竜の遺体って残しておいた方がいいか?」と僕に聞いてくる。それはもちろんあればいいのだろうがこの数は流石にいらないと言っておいたら「そうか」と言ってきた。


 彼は両手を合わせて何やら魔力を溜めているようだったが次の瞬間、合わせた筈の手を離しながら「“天照らす(あまてらす)”」と言って眩しい緑の光が辺りを包んだ。僕はこの時、「終わった」と思った。


◇◇◇

〔ゼロビト視点〕


 よし、殲滅が完了したのでロイを連れて帰ろうと思って振り返ったら彼は泣いていた。ちゃんと結界で守っていた筈だけど、どこかに怪我をさせてしまったのではないかと慌てて彼の体を見るがなかった。ほっとしたのも束の間で彼は俺の足にしがみついて「死んだかと思ったぁぁぁ」と泣き叫んでいた。えぇ……死なせる訳ないじゃんか。

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