表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

せんせい語録EX 「失敗ってのは!」

作者: なぎさん

完結済みの<先生語録>、マコと五呂久の、その後…のふんわりした一場面、です。超短編。


 12:50 職員室。


職員室に、TVはある。談話室にある。


休憩場所でもあるが、フツーにTVを観ていいワケ無く。


災害情報、事件、情報を取り入れ、確認するために在る。勤務時間だし。



 …とは言え。もうちょい緩い理由でも、起動するらしい。


例えばそのー。


卒業生がTVに出るとかね。



 13:30 以下、伝聞。


夏休み中であることが功を奏し。


モニター前には、某卒業生を観ようと、知っている先生が集まっていた。


美術教師、鷹栖光悦などはカップ麺を食べながらだとか。



 「お、これだな!<人気店凸!わたすみ!>」


「ですねえ…。」


皆の視線を浴びている若い教師、厚真五呂久。私のカレシ。


「わたすみ~!今日は、いつもの隅倉さんがコロナでお休み!わたし、渡会の相棒は、美大に通う、現役女子大生の澄川さん!元気な子です!」


「すすす澄川真琴です…頑張ります!食べるの大好きです!食欲だけは自信があります!」



 おお~マコちん、綺麗になったなぁ~!(そうでしょ?)


羨ましいなゴロク先生!(そうでしょ?)


食い物好きは相変わらずか!(ほっとけや)



 ここは、何かコメントを求められている…。ゴロクは、そう察したらしい。


「…マコにも衣装!」


そして壮大にスベったという。



 「今日は、屋台が立ち並ぶ緑園屋台村の超新星、おやき専門店ふまり!です!」


綺麗なオネーさん、渡会ひまサンの目が私に振られる!


「は!ここここちらの店、地元エベツ産の小麦と十勝あずきの最強コンボ、においからして美味しそうですネー!」



 そう。オレ…私、澄川真琴は、地元HKTVのバイトに応募した…。なーんと受かった。


AD補助とかやって、美大総合学科スキルをちょっとは役立てるハズだった…。


 そこでディレクターの目に留まったのだ…。今日一日だけの代役だけど…。


引き受けたのは、ごろくんが。前に食レポ似合うとか…食べる姿が可愛いとか言ったから。(言って無い)



 「でーは、さっそく、突撃しましょう!」


「ハイ!」だだだだだだ!


「あ、本当に走って行きましたね、若いですね!待って…ちょ…!」



 その頃職員室。


「…これ、放送事故の香りがするな」


「相変らずだ…この落ち着きのなさが…」


「…ところでゴロク先生、結婚とかはどうなんだい?」


光悦先生のぶっこんだ発言は、再びゴロクに注目を集めたという。



 「…では、早速いただきましょう。澄川さん、せーの」


「「いただきまーす!」」


渡会サンはあんを、私はクリームがあたった。



 渡会さん「ほわ!あんこたっぷりなのに、軽くて、甘すぎず!あと何でしょう!生地も普通うより甘いような!」


店主「そうなんです。ウチの生地にはちょっとしょっぱく練り込んでましてね!」


渡会さん「きゃあ、逆でした。それでむしろ、甘く感じられたんですね!?澄川さん、どうですか?」


「はむはむ。はむ、はむ…美味しいです。ヤバいです。3つはいけます。後で買ってきます。」


渡会サン「おやきの店、ふまり!ふんわり、まるくから来た名前だそうです!定休日は毎週水曜、午後5時までとの事です。皆さんも、味わってくださいね!」



 ようやく終わる!ふう、何とか頑張ったな!


「ハイ、終わりでーす。」


オレは、安堵感漂う満面の笑顔で店長と渡会サン、スタッフを向いて礼をした。


「ふ~終わったぁ~ん♪キンチョーしたっす~!」



 そして、店長に、追加のおやきを3つ。注文した。


自分でも、緊張から解放されイイ笑顔だっただろう。振り帰った。おやきくわえてた。


気付いちゃった。カメラがオレを追っているのに!


じゃぁ、さっきの「終わります」は何だったの!?


周りを見たオレは悟った。隣のたこ焼き屋が暖簾を降ろすのを。完売だと!?



 渡会サンがヤバいって顔してる。


血の気が引くと言うのを、2年ぶりに味わうオレ。カメラ回ってるー!!


「すすす、澄川さん!次回は!?」


「じ、次回はら、ラーメン屋台、天次郎!です!」


そうだ…そのシメの言葉、まだ言ってねえ…。



 カメラはスタジオに戻った…らしい。


その時。職員室の面々は、みな、ゴロクの肩を叩いて去って行ったという。


――――――――――


 21:30


黒くて四角いゴロク号。車中。


オレは助手席で屍になっていた。


ゴロクと夕飯食べたんだけど、何食べたっけオレ。


エゴサする気にはなれん。友達のも恥ずかしくて見れん。



 「なぐさめろー…ごろくん」


「何度も言っているが。」


「えーなんか言ったっけ。」


「はあ。いいか!普段と違って映像残ってるが!」


「ゲフッ」


「いいか!失敗ってのはなぁ!」


キタ…らしい。


「消えない!」


「げふっ!」



 オレはごろくんの頬をつまんだ。


「いでででで…消えないから!上書きするんだ!」


「イイ感じのこと言っても、もうチャンスないじゃん!」


「別な立場でもイイだろう。本来のAD目指すもいいし、お前なら何でもできるだろ。どうしてもウワサが気になるなら、名前を変える手だってあるけどな…。」


「何、そこまで犯罪者級なのオレ!?」



 「はあ。もう、今日は帰る。はぁーあ。夜また愚痴るからスマホ見てねー。ごろくん~。」


ーーーーーーーーーー


 <ってわけで、死んだ。私死んだ。社会的に死んだ。>


<いやー、笑ったわー。録画しといてよかったわ~!一生これで笑えるわ~!>


ユキジも鬼だった。



 <ごろくんも酷いんだよ!別なとこで取り返せって。AD補佐戻るでも、名前変える方法もあるけどとか!>


<…ん?んんん?…マコ、何て返したの?>


<ふざけんなーって、私はそんな犯罪者級かーって…何?>


<…怖ろしい子!てか、アホ!アホ!まさにアホ!>


<どうせアホだよう…地方番組のお昼バラエティーだけど笑いものだよう…>


<違う!もっと大事な所のアホだ!アホ!>


<えー!なんだよ!?言え!>


ふーってため息つかれた。


<夫婦別姓は別としてさあー。名前変えるかいって、軽くプロポーズじゃん?>


<は!?>


<ゴロク先生も可哀そうだねえ…気付いて貰えなくて。まぁタイミングがドヘタか…。>


<な!?う、うそぉ!?>


うそだぁぁぁぁーーー!



 …その後、ドキドキしながら電話したら、はぐらかされた。(完)


―――――――――――


 7日後、13:30


「今日は、わたすみすみ!!わたし、渡会ひま!隅倉じゅね!澄川まこと!の3人で突撃します!」


クビにならんかた…人気出たらしい…知らんけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ