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ダンジョンの魔物

 ダンジョンは危険に満ちている。

 そもそもが舗装されていない未知の構造物。歴史も目的も、作者もわからぬ未踏の沼。


 グレスはダンジョンを舐めていた。甘い考えから窮地に陥り、アイオスに救われてしまったことを恥じた。


 グレスは考えを改めた。ここはモンスターとの決闘場(コロシアム)ではないのだ。

 ゆえに、無理に戦う必要はない。

 息をひそめ、ダンジョンをよく観察し、まずこの未知の場所に慣れる必要がある。


「……ッ!!」

 隠密行動の末、今度は先制してモンスターを発見した。

「あれは……亜人の類か」


 壁のくぼみからのぞき込むと、少し先に、低等身の獣人モンスターがいた。

 名前は分からない。グレスはドラゴン以外のモンスターを知らないからだ。


 グレスは足元の大きな石をそっと掴んだ。

「これをぶつけて、怯んだ隙に一刺しだ。頭が良いぞ、俺は……」


 様子をうかがう。

 モンスターが完全に向こうを向いた瞬間、グレスは思い切り石を投げつけた。


「らッ!……うわっ」

 石は大きすぎたのか、亜人の足元に着弾した。

 作戦は失敗だ。


「まずいぞッ!」

 跳ね返るように亜人がグレスの方を見る。

 グレスは慌てて剣を構える。


「ギェエエエ!!」


 跳躍して飛び掛かって来るモンスターに、グレスは決死の覚悟で剣を突き出した。

「ッ……!」

「ギィ!」

 剣は魔物の皮を裂いた。が、傷は浅い。


 勢いあまってすっころび、慌てて立ち上がる。

 場所が入れ替わり、魔物が再び飛び掛かろうと構える。

「くそッ!こいつ、強いぞ!」


 グレスは焦った。無性に自分の背後が気になる。


 まだ地形を確認していないダンジョンの奥から、次のモンスターが襲い掛かって来るのではないか。

 しかし目の前の亜人からは目を離せない。

 グレスは焦燥感に突き動かされ、走りだしていた。


「ギエ!」

 迎撃を予想したが、魔物はむしろグレスの気迫に驚き、背中を向けて逃げ出した。


 それを見てグレスは、急に気が大きくなって、「その背中を貫いてやる」と突進の速度を上げた。

 ──グサリ。


「わ、わっ……うわッ」

 おぞけだつような感触。骨と肉を突き貫き、グレスは初めて魔物を殺した。


 その場にへたり込んでしまう。

 しかし直後に熱い勝利の感覚が沸き上がり、両のこぶしを突き上げてグレスは大声を上げた。


「うおおおおおッ!!やったぞッ!殺してやったぞ!!」

 瞬間。


 ヌッ。


 モンスターたちが顔を出す。喧しい人間の声に呼び寄せられ、様々な形をした化け物たちが姿を現した。


「くそッ!!聞いてないぞ!!」

 グレスは剣を死体から抜くと、出口を目指して一目散に走った。


 モンスターを殺したものの、戦利品は得られなかった。

 グレスは、ダンジョンで大きな音を立ててはならないことを学んだ。

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