008
深夜。
ブルゥウウン!ギギィィイイイン…バダァアアン!!!!
突如街はずれの住宅街で、大きな振動と騒音がし、庭の木が倒れるという事件が起きた、石の塀を押しつぶし、道をふさぎ、近隣住民の多くがその騒音に目を覚まし家から出てくる程だった。警察は現場に駆け付けたが、明らかに何かで切断された跡が残っており、誰かのいたずらだということが判明したが、誰かまでは特定することは出来なかった…。
翌朝、捜査はいまだ続けられたが、木を切るには斧やノコギリなどの器具が必要なため、倒れる前に気が付くという見解もあり、頭を悩ませていた。
「それにしても…この木ィどうすっかなぁ」
住宅街の現場に残された道をふさいでいる木を見ながら二人の警官はこれをどうするべきか話し合っていた。
「材木屋に買わせたらどうですか?」
「ばっかオメーそんなこと聞いてないの!この道ふさいでる木をどうやってどかそうかっつってんの」
「んーあ、この先の農家に木こり、いたでしょ?そいつに頼みましょうよ」
「まぁな、そうするしかねーんだけどよ…休みなんだよ、ったく今日に限ってこんなことなるとはなぁ。」
「あの~…」
背後から近づいた僕に無警戒だったのか、警官たちは飛び上がるように驚きこちらを見る。
「うわっ!びっくりした!!どこから出てきたんだ」
「これ、僕が引き取りましょうか?」
「え?」
「ホントかい坊ちゃん!いやー困ってたんだよなんだ?材木屋かなんかなのか?」
「いえ、発明家です」
「あ?発明家…?ま、まぁ何でもいいや!これ持ってってくれるんだろ?」
「ええ、もちろん!」
「ちょちょちょ!大丈夫ですか?こんな少年に任せて!発明家とか、あの爺さん以来ですよ聞いたの!」
「なんだよ、持ってってくれるってんだから良いだろ誰でも、じゃあお願いねっ!」
「はぁーい!」
僕は飛行機の動力源の為に作った内燃機関、つまりは蒸留しかけの原油を入れたレスプロエンジンに回転刃を取り付けたものを取り出すと、鉄線を力いっぱい引っ張る。
ボンッ!…ボッ……ボッ…ボッ…ブルウウウウン!!
凄まじい黒煙と風と共に木の葉をまき散らし、エンジンに取り付けられた回転刃が火花を散らしながら回転する。
周りの住民は窓から顔を覗かせ、その様子を物珍しそうに観察する。
「何だあれは!」
「分かりません!」
結構な重量のあるそれを途中ヨロヨロとよろめき、石壁や土の道路に切り傷をつけると、やっとの思いで倒れこんでいる木に刃を入れ、あっという間に道運びやすい形状へと切り刻んでいく。
ギィイイイイン!
警官二人は信じられないといった様子でそれを見届けると、使い終わったそれを大きなタイヤの付いた二メートルほどの荷車の中心部へと差し込み、回転刃の真ん中に空いているギアの形をした穴に、荷車のタイヤから出ているギアの形をした棒をはめ込む、切り刻み、ちょうど一メートルほどになった木をボンボンと荷車へと入れると、エンジンを吹かして颯爽とその場を去って行った。
「何だあれは…」
「分かりません…」
クククッ!イヤッホー!!これで、これでまた開発が進められる!!
僕の心は喜びに踊っていた。