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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界恋愛・短編

【掌編】4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない

4月1日午前10時30分、王都の喫茶店ルナ。


婚約者のレン様が、待ち合わせの時間に30分遅れてやってきた。


婚約者が来たので私は読んでいた新聞をたたみ、テーブルの上においた。


新聞の星座占いコーナーに、白羊宮(私の星座)は今年最高についてると書いてあった。


「アイスティー」


遅れてきたことへの謝罪もなく、彼はアイスティーを注文した。


「ミラ・マイ子爵令嬢、お前との婚約を破棄する!」


彼は店員が持ってきたアイスティーを一気に飲み干すと、こう告げた。


「レン様はお体の具合が悪いのですか?

 医者に余命宣告を受けたとか?」


「いや俺は至って健康だ」


「ではご実家の事業が傾いて婚約の継続が困難とか?」


「いや、実家の伯爵家の事業はすこぶる順調だ」


「出家して、残りの月一生を神に身を捧げるとか?」


「ないな」


「国境を警備する兵士に志願され、一生を独身で貫く気になったとか?」


「国境付近は寒い、そんなところに行きたくない」


「そうですか、ではどういった理由で私との婚約を破棄したいとおっしゃるのでしょう?」


「俺は平民のホレとの真実の愛に目覚めた! お前との婚約を破棄し、その人と結婚する!」


「それは浮気……」


「違う!

 真実の愛だ!」


「はぁ……」


「お前がホレに嫉妬して彼女を虐めていた事はわかっている!

 後日子爵家には慰謝料を請求する!」


「お茶代を払っておけ!」と言ってレン様は立ち上がる。


「ごちそうさまです」と私が言うと、彼は怪訝な顔をしていた。


「お茶代は払わないと言ってるだろ!」


レン様はそう吐き捨てるように言って店を出て行った。


「4月1日午前11時00分、レン様との話し合いは終了」


私は録音機のスイッチを切った。


今日は4月1日。


今日からある法律が施行される。


「『真実の愛に目覚めた』と言って理不尽に婚約破棄した人間を『真実の愛病』と診断し、一生入院させる。その者の親族は無条件に相手方に慰謝料を支払う」


貴族なら誰でも知ってる法律だ。


もちろん訴えるには証拠がいる。


だから私は録音機器を持ってきたのだ。


レン様へのヒントとして「真実の愛病」の記事の載ってるページを、彼に見えるように配置したのに、彼は最後まで気づかなかった。


「お茶代なんて安いものね。

 伯爵家から慰謝料をたっぷりいただけるんですもの」


先程の会話で伯爵家の事業が順調だという証拠も押さえた。


「お金を払えない」とは言わせないわ。


レン様、慰謝料ごちそう様です。





―終―


読んで下さりありがとうございます。

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