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第7話『魔法学校』

「はーい。サリバン先生のクラスに転校生が入りました。二人は魔法を習ったことがありませんので、少しずつ覚えていきましょう」


 先生は青白い顔をしている。不健康そうに見えた。


「──木﨑ツグミです。料理が得意です。これから皆さんと一緒に魔法を習えるので……嬉しいです。」

「最中アンズと言います。好きな物はメーロンです。よろしくお願いします」


 私たちの他、生徒は三人しかいない。それでも緊張はするものだ。ここにくる道中校舎は広く教室も十クラスほどあったのに残念だと思った。


「席は後ろに作りますね」


 先生は杖を振ると机と椅子が空中から二セット現れる。どんな仕組みなんだろうか。


「ここは年齢がバラバラのクラスなので皆仲良くするように! 先ずはアンズさんこちらへ」


 アンズの頭に手をかざすと。黄色の光が天井まで沸き上がった。


「うーんこれは、雷属性ですね。次ツグミさんこちらへ来てください。」

「これは……無属性? どういうことかしら」


 私の光はどうなっているんだろう。


「それでは校庭に移動してください」


「よろしくっ。たまちゃんです」


 元気そうな女の子だ。三つ編みで可愛らしい。


「おー、足ひっぱんじゃないぞ。たけしだ」


 ガマガエルのような顔をしている。


「は、はじめまして……メグです」


 もしやめぐみん? まだ小さい。小学生低学年位に見えた。


「めぐみん?」



「あの木の的に向かって放ってみましょう」


 校庭の脇にある魔法を打ち込む練習場に私たちは移動してきた。


「ファーイアー!」


 めぐみんは声を張り上げているけど何もでやしない。


「相変わらず出ないよねー。才能ないんじゃない?」

「メグ今日もダメやね」

「メグさんはそのうち出るようになりますから、焦らずじっくりやっていきましょう」

「……」


 メグは押し黙って悔しそうに俯いていた。


「アンズさんはライトニングボルトいってみましょうか。雷の魔法なので雲があれば出来ますよ」

「小さい青色の雲だね」


 空を見上げると、黄色の空には、真っ青な雲がゆらゆらと揺れている。


「両手を前につきだして、手に魔力を込める感じです」

「最初は分かりずらいので、魔力の感覚教えますね」


 サリバン先生はアンズの肩にそっと手を置くと、衝撃波のようなものがアンズの体に伝わっているように見えた。服が波打ちミニスカートが一瞬台風で逆に開かれた傘みたいに捲り上がる。


「アンズが光ってるー! こんな大きな光みたことないぞ!」


 たけしが手で目を覆い隠しながらも指の隙間からしっかりとアンズを見ていた。


「魔力を少し増幅させたので分かりやすいと思います。手に力を込めてあの雲に合わせて、叫んでください! ライトニングボルトーって!」

「ライトニングボルトー!」


『ガシャーン!』


上空の雲から電撃がほとばしり的である木にぶち当たった。的は完全に燃え尽きて跡形もない。


「──こんなことって。いきなりできるとかやるじゃーん。私でも三ヶ月かかったのに。まー、たまにそんな人もいるよね」


 たまは早口でしゃべってきた。


「ごめん。私、今日は帰るね」


 その一方でメグは酷く落ち込んでいるように見えた。


「まったくーしょーがねーな」


 たけしは頭を掻きながら呆れている。




「ファイアー!」

「どうしてダメなんだろ」


 こっそりアンズと共にメグの後を付いてきた。メグは家には帰らずに校庭の脇に植えられた大きな木に向かって呪文の練習をしている。


「やほっ!」

「あ、ども」


 声をかけるとメグは自信なさげに返事した。


「私も駄目なときあったけど、続けてたらなんかできるようになったよ。料理とかなんだけど。もしかしたら順番が違うとか心の持ちようとか、何かコツがあるんじゃないのかな?」

「そうなのかな」



 ──ぐるるっー


 その時、茂みから大きめな野犬がこちらを狙っているのが見えた。


「何あれ!」

「あれは……ウイングウルフです!」

「どうしよう、どうしよう。」


 五匹に囲まれた。毛並みは白を基調とし、黒色の縞模様が入っている。ここの動物は本当に縞模様が多い。


「アンズ?やれそう?」

「無理、無理!」


 さっきのライトニングボルトはいったいどこへ? ウルフはこちらの動向を伺いながら今にも飛びかかってきそうである。


 対するは幼女1人と少女1人、後は頼りない私だけ。何か方法は……。


 一か八かコンパクト使うしかない!


「コンパクト使ってみる? へんしーん」


 洋服が消え去り、体はみるみるうちに大きくなり、姿はティーレックスになった。恐竜ティラノサウルスだ。

 ──よしいけるはず。


 ウルフが私に襲いかかってきた。


「いたっ。わぁー、ムリぃー」


ウルフは私の小指に齧りつく。まるでムカデに噛まれたように痛い。

「逃げるしかないよ! めぐみん、アンズ捕まって!」

「それにしても変身しても痛みはあるんだ。」

「おっちょこちょい」

「ありがと」



「おーい! 弱虫めぐー!」

「落ちこぼれー! 落ちこぼれ学級!」

「成長遅れー! うちのママが言ってたぞ。メグは人より成長が遅いって! 年を取るのが人より10倍遅い家系らしいじゃんか!」


 学校に戻って先生に報告しようと思ってたら、魔法学校の生徒とバッタリ出会った。


 私と同じくらいの子達、三人がメグに対して暴言を吐いている。そのうちの一人が指先に魔法をためてメグを打った!


「痛いっ!」


「やめなさい! 妹をいじめる子は許さない!」


 なんか聞いたことあるセリフ。


「あ、マイお姉ちゃんだ」

「やべー、マイがきた」

「あーいうのみると虫酸が走るんだよね!新しい生徒さん?」

「ツグミとアンズです。初めまして!」

「あら、あなた、脚が!」

「もし良かったらうちに来る? 父なら治せるかもしんないし!」

「今からです?」

「今から今から、何事も今すぐ行動した方が良いよ!」

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