第2話 『魔法使いメグミン参上!』
「とうっ!」
メグミンは教会の二階から飛び降りる。そして重力が感じられないほどの軽い羽のように優しく地面に足を着いた。グキッ。なんか少し嫌な音が聞こえる。うっとか言っているメグミン。
──大丈夫なんだろうか。
「魔法使いメグが来たからにはゴブリン。あんたにはきっつーいお仕置きが必要だね!」
私にウインクして、彼女は胸の前で両手でおもむろに三角形を作りだす。彼女の星形のイヤリングが揺れる。
「唸れ、ファイアー!」
小さな火球がゴォーと音をたてて回転しながらメグミンの掌から出現した。これは魔法? それは重力に従ってゆっくりと落ちていく。
「いっせーのーせっ!」
メグは真っ白い細い右脚を軽やかに後頭部まで高く上げるとシルクのローブが舞う。白の純白のパンツが見えたかと思うと、その火球をおもいっきり蹴飛ばした。
「グワッ!」
「いったーい!」
ゴブリンの持っていた棍棒に見事にクリーンヒット。棍棒の上半分が燃え尽きる。ゴブリンはさっきまでの威勢はどこへいったのか、警戒して後ずさる。
メグは片足を引きづりながらも、腰に手を当て自信たっぷりな様子で私の方を見て親指を立てた。
──よかったぁ……。何とか助かった。慣れないことはするもんじゃないな。
メグにお辞儀する。
ゴブリンは足元の小石をメグに向かって蹴飛ばすと、手を伸ばし私の首を掴む。そして尖った棍棒を私の胸に近付けた。
──痛い! ゴブリンの爪が首に食い込んでる。
「下がれぇー!」
私を盾にして後ずさりながら、元来た路地へと後退りする。
「なんという卑怯なやり方。絶対に許さない!」
余りこいつに刺激を与えないでよ! この子はヒーローものの見すぎだ。ほんとうにやめて欲しい。
ゴブリンは振り向きざまに、棍棒で私の胸を刺した。私は後方に倒れ、ゴブリンは踵を返しそのまま逃げていった。
「まずい!」
メグミンがびっこを引きながら駆けつけてくれる。私のTシャツを捲り傷を確認してくれる。あまり上にあげすぎると下着が見えるからやめて欲しい。
「教会の神父様は?」
今まで無関心だった人たちも野次馬のようにわらわらと集まってきた。私の怪我の具合が気になるのか下着の色を見に来たのかは分からない。それにしても男性陣が多く集まってきているのはどういう理由なんだろう。
「ごめん助けられなくて、ほんとにっ怖くて……」
「大丈夫です……」
このおっさん、私の水玉模様のブラをしっかりと凝視している。鼻の下を伸ばして嫌だな、そんなことより痛い。痛くなってきた……。
「まずい、神父は娘が遊びに来るから迎えに行ってるんだ」
「そうそう、アンズちゃんだっけ?」
少しずつ傷口がズキズキし、血が噴き出し始めた。メグが私を抱きかかえようとしている。
……意識が次第に遠退いていく。
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