古賀正道
4月2日金曜日
入学式が終わり今日から晴れて北見川高校の高校の一員である。
「はーい皆さん座ってくださーい。」
ガラガラっと扉が開き先生が入ってきた。
「皆さんの担任を務めます。咲島日向です〜」
少しゆったりとした人だが校内屈指の美人教師だ、
結構当たりだったみたいだ。教室の男子全員がコソッとガッツポーズをした。
「はい、皆さん、一人ひとり自己紹介をして貰います。」
「じゃあ青木さんからどうぞ〜」
「次は、神崎どうぞ、」
「はい、神崎玲奈です。気軽に声をかけてくれたら嬉しいです。」
ニコッと微笑む彼女は新入生代表だった神崎玲奈、
顔立ちは美学の向こう側へと到達している。
「はい、ありがとうございます。」
「次古賀くん……」
「……次は、斎藤くん。」
「あ、はい。斎藤春馬です。趣味は読書ですよろしくお願いします。」
あまりにもシンプル過ぎると後悔してる暇もなく次の人の挨拶が始まった。
休み時間、みんな誰かと話している。驚いた、みんなもう友達を作ったのか、僕も作らないとな、
「あのさ、えーっと、斎藤だっけ?」
ボーっとしていた僕に誰かが話しかけてきた。
「うん、そうだけど……」
「あ、俺、古賀正道。よろしく。」
「あ、どうも……」
僕の前に現れた男子、いや男は古賀正道と名乗った。
男は綺麗に染められた金髪にピアス、僕より高い身長。
ここ北見川高校ほど校則の緩い学校はあまりにないが
ここまで来ると、ヤンキー漫画の主人公みたいだ……
「あのー、何の用ですか?」
「なんで敬語なんだよ……」
まぁ要件はわかっていた。
カツアゲだろう……自分が情けなくて泣けてくる。
「いやさ、本好きだって言ってたじゃんか、実は俺も本読むの好きなんだよ、」
やっぱりか、はぁ、一日目からカツア……え?
本読むのが好き?ホンヨムノガスキ?
一瞬脳が止まりかけた。だが直ぐに
「そうなんだ!古賀くんどんな本が好きなの?」
これはまさかの急展開、趣味が合うクラスメイトか、
いや、まじなの?夢じゃないね、
これは嬉しい。いや、嬉しい所の話ではない。
「俺はさ、あ○花とか好きなんだよな、」
「え、ほんと?あれは最高だね!ラストシーンのなんとも言えない悲しさがいいよね、僕読みながら号泣しちゃったよ、」
最近図書館で借りた本にあった本だが、最後の最後で耐えきれず泣いてしまったのだ、
「斎藤はどんな本が好きなんだ?」
「僕は異世界ものが好きかな、なんて言うんだろう、主人公強ぇ!みたいなのとか」
「お、異世界ものか、なぁ、斎藤これ知ってるか?」
と聞いてきた古賀くんが手に持っていたのは1冊の本だった。
「それは、ドラゴン戦記の1巻だ!」
「そうだ、あの大人気のファンタジー小説のドラゴン戦記だ。」
「大人気……」
ドラゴン戦記とは、主人公がドラゴンの末裔と言う設定で15歳になった主人公が旅に出るというファンタジー小説だ。
「古賀くん、それ手に入れるの苦労したんじゃない?」
「あぁ、ちょうどネット通販に売っていたんだ、斎藤はもう読んだのか?」
「いや、まぁ、一応……」
ドラゴン戦記の作者 ハルマ・ルイは僕だ、
というのも、記憶を無くした後に書きかけの小説を見つけて、修正しながら書いて新人賞に応募したら……まさかの大賞。
すぐに出版、瞬く間に大ヒットり
3巻まで出したが、1巻が売れすぎて3巻までたどり着かないという自体に、今や社会現象になっている。
「しかし、ハルマ先生ってどんな人なんだろうな、」
「さぁ?大人の人なんじゃないかな……」
「俺この人の表現がとにかく好きなんだよなー」
そう言って貰えるのは嬉しいが古賀くんには黙っておこう。
しかし、まずいな、もう少しでサイン会があるが、
古賀くんは来るのだろうか、
「古賀くんはサイン会は行くの?」
「あぁ、そりゃぁモチのロンってことよ、」
「斎藤は行かないのか?サイン会」
「僕は行かないかな、サイン会とか苦手だし、」
サイン会は仮面で何とかやり過ごす他ないな、
「なぁ、斎藤は連絡先とか聞いていいか?」
「え?」
初めてのことだった、人から連絡先を聞かれるのは、
少しテンションが上がったが、冷静になった。
「うん、MINEでいい?」
「ああ、大丈夫。えーっと春馬を追加っと。」
「お、古賀くんのアイコンはエリーか、」
ほんとにドラゴン戦記が好きなんだなー、
「やっぱ、エリーが可愛くてさ、どうしてもアイコンを変えられないんだよ、」
古賀くんのアイコンにはドラゴン戦記にヒロインとして登場しているエリーが映っていた。
僕の好みに寄せただけはあって可愛い。
少し前に読んだ、とある漫画で、白髪が大好きなってしまったので、エリーも白髪にしたのだ。
「これで友達だな、」
友達……いい響きだなぁー、
「うん、よろしくね古賀くん。」
パソコンでポチポチしていた小説を少し変化させて上げました。個性的なキャラクターを出すのは少し苦労しそう……