表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
最終章
646/656

646話

 片や最初は意気込んでいたものの、日常の中で穏やかさを取り戻し時を重ね。

 片や焦がれる想いを代用品で発散しながら過ごしていく。

 二月から数えても十と三日。それが彼らの準備期間。

 そして、大衆の準備期間。

 アレクサンドラのときと同様に突如世界へ流されたニュース。

 内容は魔帝クレマン・デュアメルが召喚魔法師志望の学生と試合をするというもの。

 誰もが首を傾げるだろう。実力で言えば紅緒に次いであると言われている男がこんなに立て続けにエンタメをこなすなんて。

 加えて、アレクサンドラのような魔帝ならともかく無名の学生しかも召喚魔法師なんて……と、ここまで考えて気づく。

 かつて、クレマン・デュアメル含め現役の魔帝を軒並み下した召喚魔法師がいた。

 先にも表した通り、現魔帝の中で最も強いのは紅緒。つまり、召喚魔法師。

 ならば、今回のマッチング。なにかしら意図があるのではと。

 第二の刃羽霧紅緒はばきりべにおなのではないか。

 そこまで期待を膨らませて、思い直す。

 ありえない、と。

 何故なら召喚魔法師だから。刃羽霧紅緒は特別だっただけ。だから他に現れるわけがない。

 だって、召喚魔法師は無才が魔法にしがみついているだけなのだから。

 だから期待しない。大衆は。

 しているのは。

「ブラザー……! 君、いつの間にこんなことになってんの!?」

「うっは! マジかよ!? さっちゃん! チャンス掴んだなぁおい! 世間の評価を覆すときじゃあい!」

「はは。才君も行くとこまでいってるな~」

「う~わ……。あいつなにやらかしたん? よく問題起こすな~とは思ってたけど、とんでもないのに目つけられてんじゃん。ご愁傷様」

「はぁ……。もし勝っちゃったらとうとう学園通り越して世の中から注目あびちゃいますよ~……。最近《《大お婆様》》も興味示しだしてるっていうのに……はぁ……」

「結局……こうなってしまったんですね……。でも、貴方なら今回もどうにかしますよね。楽しみにしてます」

「ふ……ふ……。今年度……は……もう……見れないと思ってたけど……。最後に……大きいの……見れそう……」

 既に彼を評価している者たち。

 そして、それはもう一人いる。



「あんた、もう大丈夫なのね」

「イエス。私はさいきょーだからね」

「なぁ~にが最強よ! えぇ!? こっぴどくやられてたじゃないのよ! こっちがどんだけ肝冷やしたと思ってんの!?」

「ごめんってば先生。でも、ほら。もう元気になったしさ。紅緒の秘蔵っ子に会いに行こうぜ?」

「まったくあんたは……よっぽど気になるのね」

「まぁね。これは勘なんだけど、彼は上がるぜ? 誰よりも高くにさ」

「……そ」

「笑わないのね」

「あんたの直感はよく当たるから」

「ふふ」

 とある国のとある病室を、そのもう一人はあとにする。

 期待の原石へ会いに行くために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ