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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
アノン語る幕間 原初壱花、その一生
595/656

595話

「ぅ……っつ~……」

「大丈夫かい? 新人なら仕方ないかもだけど、若いんだし頑張んな。もうすぐ終わりだから」

「は、はい……」

 初めての仕事はやはりキツそうね。先輩のおじさんも心配してくれてるよ。

 でも予習のお陰でポカだけはしてないし。まだ新人だから補助だしでなんとかはなってる。

 新人研修が終われば一人で現場に行かなきゃだからそっからが本番ね。

 でもとりあえず初日は体バキバキにしながらもやり通すことはできた。

 で、帰りよ問題は。

 仕事が終わって出勤退勤カードと着替えのために会社に戻るんだけど。車の中でもずっとおじさんの話し相手。戻って着替え中にも話しかけてくるもんでグロッキー

「つ、疲れた…」

「お疲れ。いや~今回の新人さんはいいね~。もう十分戦力だよ。やっぱわかさなのかなぁ~。ちょっと前まで高校生だもんね~。いやおじさんも若い頃は――」

(う、もう着替え終わってんのに……長くなるのかこれ……)

 早く帰りたいのに言い出せないこれぞコミュ障ってね。

 同級生とかちゃんと話聞いてくれる大人。またはぶっ飛びすぎてて気を遣う必要のない連中ならともかくとして、ただのおしゃべりおじさんをぞんざいに扱うこともできず。職場の先輩だし。教育係だし。

「あ、このあと飲み行く? 天良寺くんは未成年だからアレだけど。居酒屋でも食べ物とかもあるし。おじさんがおごるよ」

「あ、あはは……」

(ま、マジかよ。これ付き合わなきゃダメなやつ?)

 帰りが遅くなると彼女が心配するわ。溜まって夜が激しくなるわで大変なことになっちゃう。

 しかもこんな筋肉痛の時に夜も激しくなったらもう腰がぶっ壊れるね。

「え? おごってくれるんすか? じゃあ俺も行きたいな~」

(うわ。増えた)

 話に加わったのは二十歳そこそこの男の先輩。若いけど中卒だからキャリアはそこそこあるよ。

 ま、年齢より問題なのは行かなきゃいけない流れになってきてることね。

 いや~このままだと何時間も酔っぱらいの相手することになっちゃうね~。困ったね~。

「――いた」

「「「!!?」」」

 と、ここで男子更衣室のドアが開きまして現れたのはキリッとした雰囲気の女性。

 うん。もちろん雪日ちゃん。

 まだ怖いところもあるけど、彼に取っては救世主ね。

「才君。まだ終わってないの? 早く行くよ」

「ちょ、ちょっと和宮内雪日さんっ。更衣室はダメですって!」

 早く帰るぞと催促する雪日ちゃんを嗜めるこの清掃会社の責任者。

 うん。男子更衣室を女性が開けるのも平気で入っていくのも問題だね。

 全員着替えは終わってて幸いだったね。

 が、今度は別の問題が出て来るわけよ。

(わ、和宮内さんって本家本元の人? なんで新人くんの迎えに……。コネ入社とかなのかな? 実は偉いとこの人とか……?)

(ちょっとちょっと本家の若くて美人と知り合いとか。紹介してくれないかな? いや、まずは新人くんを懐柔してから……)

(最悪だ……。これ、明日の車内は質問責めだぞきっと)

 おじさんとおにいさんからされるだろうね。

 でも良いじゃない。この場は助かったんだから。

「ほら。行くよ」

「う、うっす……」

 そもそも逆らえる相手でもないしね。

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