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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
アノン語る幕間 原初壱花、その一生
577/656

577話

「…………意外だ」

 相談を送ってから数十分。返事がない。

 彼としてはすぐに返事が来ると思ってただけに当てが外れた形ね。

 それが既読無視なんだもの。意外も意外よ。

(返答に困ってんのかな……それとも忙しい?)

 いや、単に未来の子供の名前決めに困ってるだけ。そしてうっかり忘れちゃっただけ。

(とりあえず返事が来るまでは待機……か。てかもう寝るか。疲れたし。超疲れたし)

 ナニで疲れたかは言わずもがな。

 明日ももしかしたらお迎えからのあれやこれやが待ってるかもなので休むのも必須よね。

(……なんか、年上の金持ち女性んとこ通って肉体関係とか。愛人とかママ活みてぇ。金もらってたら間違いなくいかがわしい関係だな)

 うん。みたいじゃないね。その通りだよ。お金もらってなくてもいかがわしいしね。

「……ん?」

 さて寝るかってところでコンコンと窓を叩く音。体を起こして窓のほうを見てみると。

「……開けて」

 寒そうにガタガタ震えている結嶺ちゃんが。察しの通りお隣に住んでいるし、お互いの部屋も屋根づたいにを行き来できる場所にある。

 だから、窓の向こうにいるわけなんだけど。

(なんか用でもあんのか? めんどくせぇな)

 と、思いながら窓の鍵に……………………手をかけようとしたけどやめてそのまま寝る体勢に。

「ちょ、なんで!?」

 まだ一月の中旬。にも関わらずコートも着ずに寝巻き姿で外にいたらそらもう寒い寒い。

 すでに耳も鼻も手も足もほっぺも真っ赤っか。しかし開けない。鬼畜。

「兄さん! 開けてよ……!」

「…………」

 屋根の上で自分を抱き締めながら音が鳴らないように足踏みしたり地団駄踏んだりあっさい屈伸をしたり寒さと戦っている妹分にガン無視を決める。

 彼は目の前に薄着の女がいてもなびかないくらい疲れているのだ。疲れうんたらにならないくらい疲れているのだ。残念ながらね。

 そもそも彼の好みって和系美人だしね。白人系の結嶺ちゃんは一応範囲外。ちょっと前なら反応くらいはしていたんだけれどね。スケベな目で見ることもあったったくらい。

 でも今は彼女がいるもんだからラッキースケベや無防備スケベをしてくれる妹分がいなくても良いのだ。

 だからここでなにか用事があったとしても明日に回せという感じでガン無視できるんだけれど。

「こ、これ! か、返してあげないよ!?」

「なんでお前が持ってんだバカ今すぐ返せバカ!」

 服の中から出したブツを見て血相を変えて窓を開ける。

 ブツとはナニか。ナニっていうかオカズというか……。

 まぁ思春期男子なら持っててもおかしくないやつだよ。

 ちなみに紙とかでなくパッケージ。

「良いから入れてよもうさぶいんだからっくしょい!」

「きったな! って、そのまんま入るなバカ!」

 窓を開けてもらって侵入を許された勢いでベッドの中に侵入。もち鼻水はふかずに。

「あぶぶぶぶぶぶっ。さぶぶぶぶぶぶっ」

「……じゃあなんで来てんだよ。寝てろよもう」

「だ、だっておばさんから兄さんに彼女できたって来たからもじがしてっておもて……」

「…………」

 んふふ~。いつの時代も女って話をばらまくのが早いよねー。

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