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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
アノン語る幕間 原初壱花、その一生
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574話

「…………って、あれ?」

 雪日が去って、一つ思い出したことがある。

 それは車に乗ってる彼女も同様なようで、すぐにメッセージが届く。


『ご両親への挨拶はまたいずれ』


「言い訳してくれるんじゃなかったのかよ……」

 なんならまだ去って一分も経ってないんだから戻ってこいよって話だけど。どうやらめんどくさいみたい。哀れなり。

(こうなるとどうしようもないな)

「はぁ……」

 はい。諦めたね。お説教食らってきなさいな。



「ただいま……」

 彼の家は普通の一軒家。手持ちの鍵でゆっくりドアを開いたけれど。

「おかえりなさい。なにしてたの?」

 リビングから少し早足で来て、ゆっくりと尋ねる母君。声色は普通だけど瞳は怒ってるね。

 静かに入った意味……なかったね。

「えっと……すみません」

「謝罪の前に言い訳は?」

「ないっす……普通にぷらぷらしてただけっす……」

 まぁ……言えないよねぇ。女に襲われてたとかさ。しかも元を辿れば先にやらかした側とかさらに言いづらいわ。

 だから平に徹するしかないのだけど、一つ見落としてるよ。

「だからどこでなにして――ん?」

 彼を見て、漂う香りに気づき、近づいてよく観察してみると。

「……あんた、本当に何してきたの?」

「え、な、なにが?」

「だって、お風呂上がりでしょ。しかも女物のシャンプー」

「え」

「…………」

(あ、やべ)

 確かに男女でシャンプーを分けてる家庭もなくはない。けど、ここの家は分けてない。つまりカマをかけられただけ。まんまとかかったね彼。

 やっるぅ~。ここは素直に彼よりも母を称賛だね。

「なるほど……ね。そう。彼女できたの」

「ち、ちが」

「はぁ……てっきり結嶺ちゃんと結婚するもんだと思ったのに……。まったく。どこでひっかけてきたんだか」

「言い方……てか違うって」

「もう良いわよ(隠さなくて)。で、ご飯は?」

「……まだ」

「そう。じゃ、暖めておくからお風呂……は、いっか。着替えてきなさい」

「…………はい」

 彼女のとこなら多少遅くなっても良いという謎理論でお説教は免れたものの。寝巻きに着替え終わってリビングまで戻ると。

「遅くなるときは今度からちゃんと連絡しなさいね」

「う、うん……」

「あと、ちゃんと紹介してね♪」

「…………」

「返事は?」

「……約束はできない」

「…………」

 めっちゃにらみつけてくるけれど。でも彼女を紹介は難しいものね。箱入りだしさ。

 とはいえ、この先も彼女と長い付き合いをすることも考えられるし。

(あとで相談しておくか)

 明日を待たずに一報は入れることになったね。

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