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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
アノン語る幕間 原初壱花、その一生
543/656

543話

「いつでもおいで。うちはここにおるから」


 そう言われて送り出されて数分後。

 ロビーまで来て待ち合わせ中の彼の頭のなかには彼女の言葉がずーっと反芻中。

(いつでも……いつでも……。ってことはここにいる間はあそこに行けばあの人と――)

「いやいやいやっ」

 頭を振って邪念を振り払う。

 無理矢理から始まり、幸運にも良い感じになったとはいえ、体のためだけに会いに行くなんて不純。

 とか思っちゃってるわけなんだけど。

 好みの異性求めるのは本能的なモノだし。むしろ自然だと思うけどね。

 それに、性欲は食欲や睡眠欲と並べられているくらいだし。我慢できるもんじゃない。

 我慢できるとしたらそれはそもそも性欲自体が湧いてないだけなのさ。

 とはいえ、そんな風に考える一般人はほぼほぼいないわけで。彼には負い目もあるしね。

 だから、こんな理由付けが必要になってくるわけ。

(そ、そういえば避妊ゴムしてなかったな。たぶん、はじめてのときも。興奮して気が回らなかったけど大丈夫かな? ……明日聞きに行くか)

 これは必要なことと自分に言い聞かせて。正当化して。明日も行くことに決定。

 明日は一応自由行動ってことになってるしね。両親はおデート。子供組もおデート……に見せかけて別行動にするつもりだったしね最初はなから。つまり、ちょーど良いってわけ。

 ま、昼間っから行ってあわよくばってなってるわけだけど。彼、自覚ないんだろうなぁ~。無自覚すけべ。

「あ、兄さん。ただいま」

「お、おう。おかえり」

 自分に言い訳してる間に戻ってきたようで、合流。そのまま部屋へ向かおうとするんだけど。

「……すんすん。兄さん。なんか匂う」

「え」

 臭うじゃなくて匂う。ここ大事。

「なんかこう……。やわらかいあま~い匂いがするんだけど……これ、その例のひとの匂い……?」

「……」

「……」

 冷や汗を垂らす彼を見て、予想が当たったと悟った彼女は少しだけ距離をとる。

「匂いが移るくらい密着したんだ? 一時間もしないくらいなのに」

「ぅ……」

「兄さんも兄さんだけど。もしかしてその人。美人局だったり? それかビッ○?」

「いや、それはない」

「なんで?」

 美人局じゃない理由は高そうな部屋に一人で泊まってたから。恐らくだけど、お金持ちのお嬢様とか、強いコネがあるのだろうっていう予想。

 そしてもうひとつは。

「初めてだったらしい」

「……私にそんな話しないでよ」

「なんでって聞いたのそっちだし。それにもう色々話しちまってるから良いかなって」

「良くはないけど? てか未経験の人襲ったってこと?」

「そう……いうことになる」

「ほんっっっとにクズだね兄さん。寄らないで。妊娠しちゃう」

「……」

「そこで黙るのやめてよ。含みを感じちゃう」

 彼としては『妊娠』ってワードに反応しただけなんだけどね。彼女からしたら勘ぐっちゃうタイミングではある。

「とりあえず。匂いはなんとかしたいね。部屋に戻ったらすぐお風呂か部屋についてるシャワーに行った方が良いんじゃない?」

「そんな強く匂うか?」

「大分」

「……わかった。そうする」

 ってな感じで彼はこのあとお風呂に入って事なきを得たとさ。

 ちなみに、彼女は《《今》》みたいに桃の香りはしないよ。

 ただ強いフェロモンを発してるだけでね。

 あ、知ってる? 少し話はズレるんだけど。胸の先端の周りのぶつぶつ。あそこから甘い匂いが分泌されたりするんだよ。

 正確には少し違うんだけど。

 ま、気になる人はモントゴメリー腺とでも調べな。

 女体の神秘に少し触れられるよ。

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