表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
アノン語る幕間 原初壱花、その一生
528/656

528話

「ふぅ~……。やぁっとついたねぇ~」

「新幹線とはいえ関東から関西ですからね。結構来るものが――」

「「んんんんん~……!」」

 タクシーから降りて伸びをする良い女が二人。胸が強調され、それを見る男も二人。

「……才。本当に結嶺ちゃんとは何もないのか?」

「今聞くなエロ親父。含みしか感じねぇぞ」

「いやだってあの年でもうあんなんだぞ? 将来見えたようなもんだろ?」

「そして息子から寝取るつもりか? 母さんにチクってやろ」

「ば、ばっかお前っ。俺は母さん一筋だって。ただ見る分にはタダだし……」

「つまり風呂場でも覗くとかうっかり装って侵入したりとか狙ってるってことか。あ、だから今回も連れてきたわけだ。温泉といえばだもんな」

「いやそれは無理。ここ、和宮内グループが手掛けてるから。そのあたりのセキュリティはしっかりしてるぞ」

「なんでわかんの?」

「父さんが勤めてるとこの親会社だから」

「ほぉ~ん」

(普通のサラリーマンってのは知ってたけど。そういや会社とかは知らんかったなぁ~。興味なかったし)

 親の仕事に興味がないのは仕方ないとして。会話の踏み込み具合がなんともね。仲が良いやら悪いやら。

 少なくとも、親子でするべき会話ではないね。



 旅館に入り、手続きを親に任せて談話スペースで座って待つ子供勢。

 ただ待つのも暇なので当然会話に興じる。

 ま、兄妹同然の幼なじみだしね。年頃の男女の気まずさはゼロ。

「そういや今年はどこ行く予定だったんだよ」

「お母さんの実家」

「転々としてるじゃねぇか。今どこだって話」

 この子の祖父母は色々なところに移り住んでるから決まった場所に実家があるわけじゃない。というか実家という言葉も帰省という言葉もそぐわないね。

「今はブラジルだよ」

「へ~。なんで行かなかったんだよ」

「治安」

「ドシンプルや理由来たわ」

「日本でも夜道は危ないけど。他の国は昼でもそこそこ危ないから。夜になったらもうけた違いに悪いよ。アメリカの南部とか行ったことある? 超おっかないよ」

「あるわけねぇだろ。こちとら今日が一番の遠出だっつの」

「知ってた。んで。とりま、色々なとこ行ったけど。やっぱなんだかんだ総合的に日本が落ち着くよ。海外旅行はもう良いや」

「贅沢なこって」

 海外旅行への憧れがないわけではないけれど。彼は平穏を望む性格。それに加えてこういう話もされるからあまり妬んだりもしないんだろうね。

 ただそれでも。ひとつだけ残念なことがある。

「はぁ……。今年は土産なしか~」

「お父さんお母さんからもらえるでしょ」

「お前のぶんのが減る」

「今年はもらう側だもんね。というか、私のことそういう扱いですかい」

 可愛い幼馴染み可愛く爪先でスネをつつかれる。

 こんなやりとりをしながらも恋仲ではないんだよね。

 正直な話。ここに来なければ二人はなぁなぁで結ばれていたんだよ。

 お互い大人になっても童貞処女だね。じゃあいっそ付き合うかって感じで。

 でも、そうはならなかった。

 何故なら、彼の運命の出会いってやつはここで起こるから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ