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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
一月編 前編
470/656

470話

「お待たせ~。遅くなってごめんねぇ~」

 お、カナラも帰ってきたか。

「よう。どこ行ってたんだよ……ん? なんかお前臭うぞ」

「へぇ!?」

 色んな体液と……不気味なマナの気配。このマナの感じは――。

「あ~……触らんようにはしといたんやけど……。掃除できるような場所とこでもなかったし、いるだけで移ってもうたんかなぁ~……?」

 パタパタと袖振ってるけど。この強烈な臭いがそんなんで取れるとは思わねぇなぁ。

 でも、変な気配はするけどカナラは気にしてないみたいだし。あの狐の人みたいな知り合いにでもあってきたんだろ。あの人も大概奇妙な気配漂わせてるしな。

 きっと今会ってきた人《《達》》は風呂嫌いなんだろうよ。

 男……の《《体液》》の臭いもするけど。浮気ではないはず。

 他の男と関係持ってたら許さないんだからね! 俺が言えたことじゃないけど。

「とりあえず、その臭い気になるし。取ってやるよ」

「う、うん。お願いできる?」

 ってことで影を使ってカナラの体と着物を一瞬だけ包んでっと。

 くんくん。よし。取れたな。

「すんすん……心なしか変わった……かも? おおきに」

「い~や大分違うぞ?」

 フレッシュな桃と腐った生ゴミくらいは変わってるからな? 比喩なしで。

 お前、時々変なとことか抜けたとこあるけど。実は鼻もおバカ?

「はは……。臭い気にならんくらい緊張してたんかもしれへんね。随分久しい昔馴染みに会ってきたから」

「……っ」

 今、一瞬だけスゲェ殺気が……。

 ほ、本当に昔馴染みってヤツに会ってきたのか……?

 なんかこう……家族の仇でなく?

 それくらい今のはヤバかったぞ。

「っと、せやせや。連れてきとるんやろ?

ならあいさつせな」

「あ、あぁ……。お~い結嶺~」

 色々と腑に落ちないが……なんか触れちゃいけない気もするし放置しよう。

 俺たちに害があるような本当にヤバイことが起きればさすがに教えてくれるだろうし。

 殺気はすごかったけど、なんとなく対等な相手に向けるような緊張感のあるもんじゃなかったしな。

 なんというか……格下だけど嫌いなヤツに対するような?

 あ、あのときのリリンがイメージに近いかもしれない。

 初めてリリンの血族かぞくに会ったときの。リリンの弟に俺が拐われたときの怒ったリリンに似てる。

 あのときまだ完全に人間だったから感じたモノも違うだろうけど。俺の中で収まりが良いからこの話はこれでいいやもう。

 にしても結嶺のヤツ。呼んだのになにして――。

「ほら飲め飲め! 遠慮するこたぁなが!」

「だ、だから飲めないんですって~……! た、助けてくださいよリリンさんっ」

「散々代わりに飲んでやったのになんだその言いぐさは。もう我は知らん」

「え、あ、ご、ごめんなさい……! 許してください助けてくださいお願いしますぅ~!」

 いやまだやってんのかよアルハラ。

 メズキも諦めりゃ良いし。リリンは完全にからかってるし。結嶺は……可哀想に我が妹よ。今助けに行ってやるからな。

「なぁ、ちょっと一言叱ってやってくれね? これじゃあいさつもままならないし」

「はぁ……せやね。まったくあの愚妹ったら」

 カナラが。

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