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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
一月編 前編
452/656

452話

「……貴様の言葉が真実という保証がどこにある? それに、話す意味も意図も見いだせん。ヤツら二人を眠らせては信用が欠けるというものだぞ」

「嘘をつく理由もなければ神薙羅には酷なことをしているからね。そのうち詫びるつもりはあるけれど、今じゃあないんだよ。そして、君に話す理由は単純だよ。見逃してもらうためさ。私に気づいてしまい、楔の外れた君は《《今の私》》では少々荷が重い」

「なるほど。良いだろう。貴様の話が面白ければ今は見逃してやる。今はな」

「わかってるよ。だからマナを収めてくれ。ついでにそこの二人も私の存在に気づき、危機感を覚えたことは誉めてあげるけど害するには足りないとわかってもらえただろう? だから大人しくしてると良い。そしたら拘束は解いてあげよう」

((……))

「よろしい」

「お?」

「……ほ」

 言葉にはできなくとも読心によって二人の意を確認。

 真白の女性は空間の掌握をやめ影で椅子を作り、座るとそれに合わせたように三人も思い思いに聞く体勢を整える。

「さて、皆のことは知っているけど私のことは漠然としかわかっていないと思うので軽く自己紹介をしよう。私の名はアノン」

「アノン……ねぇ?」

「ふふ。そうさ。君と似てるだろう名捨ネームレスて」

「そうね。まさか名無しとはね」

 真白の女性――アノンは名前がないが故に名無しと名乗り、ネスと今名乗っている理由はネームレスだという不思議な偶然に口角をあげるネス。

 このまま雑談に興じても良いと思うが、アノンは脱線する前に話を戻す。

「生まれはギリシャ。時は正確なのは覚えてないけど紀元前二、三百年ってとこかな? 今から三千年くらい前だから神薙羅かのじょのが先輩なんだよね」

 カナラの生まれは今から約七千年前。つまりアノンよりも四千歳は年上ということになる。

「娘が一人いて、父親は行きずりの適当な男から種を搾り取ってやったよ。殺しかけてしまったが、まぁ神に最も近い私を抱けたんだ。彼も本望だろう。その後不能になって孤独死したのはご愛嬌」

「聞いてないし興味もない」

「……私も本題に入ってほしいですね。はい。忙しい身なので」

「え~。連れないなぁ。人と顔を見合わせて話すのは数千年ぶりなんだ。もう少し付き合ってほしいものだよ」

「娘がいるんじゃないの? もしかして不仲? それとも生まれたのがただの人だったんで先に死んだのかな?」

「いいや。仲は良いとか悪い以前の問題だし、死んでいるわけでもない。私の管理するはこにわにいれて延命してる状態。ああ愛しのロンダニーニ! 母は早く迎えに行きたいよ!」

「父親はイタリア人かな?」

「よくわかったね。さすが博識だ」

 誉め言葉ではあるが感情は込められていないのは明白。ネスもそれはわかっていてリアクションは肩をすくめるに留める。

「おい」

「わかってるよ」

 リリンに急かされるとゴホンとわざとらしい咳払いを一つ。

 表情を改め、アノンは口を開く。

「さて、自己紹介も終えたところで。無駄話もこのくらいにして語るとしよう。才という少年が本来辿るはずだった運命を」

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