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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
十二編
384/656

384話

「「あ」」

 たまたま買い出しに出ていた二人の学生が鉢合う。

 一人は明るめの茶色のボブヘアーにオレンジと赤紫のメッシュを入れた小柄の一年生。

 もう一人は金髪に碧い瞳の典型的な白人の一年生。

 伊鶴とジュリアナである。

「……あの」

「あい?」

「お時間ありますか? あるならば少しお話しませんか?」

「別に良いよ」

(意外な人に意外なお誘い……でもないか)

 あまり会話というか接点も交流戦くらいしかない二人だが、伊鶴は不思議に思わない。

 何故ならこの二人――。



 休日だしせっかくだからと駅付近のカフェまで来た。

 これは伊鶴の提案。

 よくよく考えると伊鶴はゴールデンウィークや夏休みはずっと特訓の日々。

 たまの休みに出掛けることはあってもおやつや生活用品の買い出しをして終わるのがほとんど。

 そんなこんななので、せっかく美少女に誘われたんだし、おしゃれにカフェにだって行きたくなるのも当然と言えば当然……かもしれない。

「ん~。最近寒いし茶がうめぇ」

「そうですね」

 気づけばもう十二月頭。

 雪が降るには少し早いがコートなどの防寒具がなければとても出歩ける気温ではない。

「パンケーキもうまうま。食堂のも良いけどカフェだと盛り付けがおされだよねおされ。すぐ崩すけど」

「私のワッフルもいかがですか?」

「え、いいの? ありあり~」

 遠慮とはかけ離れた性格の伊鶴はジュリアナのワッフルをいただく。

 遠慮がないとは言ってもクリームやチョコがコーティングされた部分には手をつけなかった。

 彼女にも少しは気遣いの気持ちが残ってるのかもしれない。

 さて、ひとしきり腹も満たしたところで。

「……それで話ってなに?」

「大したことではないんですけど。ご活躍を称えようかと」

「交流戦じゃボコボコにされたけどねー」

「善戦してたじゃないですか」

 伊鶴は苦笑いを浮かべて肩をすくめる。

「二対一なのにほとんど一方的だったのを善戦とか言えねー」

「そう……ですか」

「むしろそっちのがすごいじゃん。病み上がりから交流戦含めて負けなし。しかも召喚魔法師としての完成度超たっかいの! 妬ましや~」

「でもBリーグですけどね。再戦リベンジマッチができなくて残念です」

「……さっちゃん?」

「……」

 頷くジュリアナ。

 療養を挟んだ前も後も黒星は唯一才との試合だけ。

 つまりこの学園でのリベンジと言ったら才以外にない。

「また指名……も考えたんですけどね。さすがにご迷惑かと思ってやめました。たまたまマッチングされるか、同じリーグに入るかを狙ってたんですが当ても外れちゃいました。御伽くんがやる気を出さなきゃ良かったのに」

(可愛いな)

 微笑むジュリアナを心中で愛でる。

 やはりこの伊鶴おんな、美少女大好き。

「Bリーグの方々も一通り試合を拝見したんですけど。正直手合わせしたいと思える方があまりいませんでしたね。唯一あるとすれば」

「すばすば?」

「消耗する前に貴女と戦えることでしょうか」

 最後の成績を修める大イベントの学内リーグ戦。

 Bリーグの一番最初の試合は伊鶴とジュリアナに決定している。

 同学年にも、他の学年にも、ジュリアナが同じリーグで興味があるのは伊鶴だけ。

 なんだったら、彼女が学園で興味がある人物はE組の六名と憐名、同じクラスの御伽くらい。

 ちなみにかなどめは友人枠なので除外。

「私は、貴女ともずっと戦いたかったんですよ」

「そりゃ初耳でぃ」

「誰にも言ったことなかったので」

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