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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
十一月編
358/656

358話

 ……さて、話は落ちつき。夕食も終えたところで。俺は義理を果たすために動こうと思います。

 ロッテがコロナと灰音を風呂に入れてくれてるから邪魔も入らないしな。

「カナラ。ちょっと良いか?」

「ん~? なぁに?」

 洗い物をしているカナラに話しかけると、手を止めぬままこちらを振り向く。

 手を止めぬままつっても今の時代洗い物を手でやらず食器洗浄機に突っ込むだけだから大した手間でもないしな。

 カナラなら目を瞑ってもこの程度の作業こなすから特に問題はない。

 あぁ、ちなみに。今はあっちで着てるのとは違い、今はゴテゴテせずシンプルながらもガチの和服を着ているのでなんていうか良家の奥樣感っていうか……。純和風の人妻感がすごいぞ。

 これで三つ指つかれたら完璧だね。

 おっと、そんなことよりも用件を伝えないと。

「この後話がしたいんだけど」

「お話? ほんなら今でも――」

「二人だけで」

「……っ!?」

 途端に顔が真っ赤になり食器を落としかける。

「あわ、わわわ!」

 おいコラ。皿でお手玉をするんじゃない。

 落としても割れないやつだけどお行儀は良くないぞ。

「え、えっと……。そ、そないに大切なお話なん……? ふ、ふ、二人じゃないとあかんほど……」

「まぁ……そうだな。うん。そんな感じ」

 おずおずと身を少し縮めながら様子をうかがってくる。

 そんなにビビらなくても取って食いやしねぇよ。

 ……まだ今は、な。

「わ、わかった……。じゃあ向こうに……行こか?」

「あぁ」

 そう応えるとちゃちゃっと食器を片付け、懐から煙管を取り出す。

「すぅ……ふぅ~……」

 桃色の煙を吐き、その場に滞留させる。向こうと繋がったみたいだな。

「あ、今日は向こうに泊まるからそのつもりで」

「うぇ!? わわ!?」

 煙の中に入ろうとした足をつまずかせて転びながら消えてった。

 うっし。じゃあ俺も――。

「な!? そん! だぅ! あわぅ!?」

 続こうとしたところで顔を真っ赤にさせながら顔だけこっちに出して文句? を、言い始めた。

 うん。必死でなんか訴えてるとこ悪いけど。

「なに言ってるかさっぱりわかんねぇ。ほら、さっさとどけ」

「だ、だからなして二人切りでのお話だけやのぅて泊まるとか大事なこと急に言い張るん!? 意地悪いけずにも程があるよ!?」

 そんなこと言われても。別に今さら俺たちの仲で……なぁ? 一緒に風呂まで入ってるだろ? 二回くらい。だから気にするほうがおかしいんだけど。

 まぁ、カナラがこういうことには弱いってこともわかってるし。俺が悪いか。謝ったほうが良いな。うん。

「おぅ。悪い悪い。俺が悪かったから。ほら、早く行け」

「え!? あ、待――」

 未だうろたえるカナラの頭を掴んでそのまま煙の中へ入る。

 風呂に入ってるロッテたちには影使って4キャラ一人で使って遊んでるリリンが適当に伝えるだろ。本当に適当な内容をな。出かけてることが伝わりゃそれで良いけども。

「じゃ、いってくる」

「……あぁ、しっかりヤってこい」

「……」

 その言葉は聞かなかったことにしてやるよ。

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