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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
十一月編
350/656

350話

「ふん。勝手に我の腹に来て無理矢理肉体を作らせておいて何を言ってる?」

「その代わり我が父とヤれたろう? それも随分楽しそうだったと認識してるけど? むしろ感謝してほしいな我が母よ」

 お互いからかうような表情と口調がよく似ていて、親子だなぁと思いつつディアンナは赤子をリリンの傍に置く。

「よっこらどっこしょっと」

 赤子は勢いをつけて半身を起こし、リリン同様あぐらをかく。

 こうして見ると、本当によく似ていて微笑ましい。

 ……生まれたばかりということ、話している内容を加味しなければだが。

「ハッ。別に。しばし待てばヤツは我を食らったろうよ。よって貴様がいなくてもこの結果は起こり得たのではないか?」

「それはどうだろう? 私が《《楔》》を外さなかったら時が経っても異性を求めることはなかったよ。また適当な理由をつけて逃げたはず。それがルールだから」

「……」

「母にもソレはあったはず。だけれど母はすでに超越に近かった。父と出会い、完全に縁を結んだ事で外れたのではと推測するよ。だから素直に感謝してほしいところなんだけど?」

「……」

「暴力反対!」

 リリンが無造作に足を伸ばし、顔面に差し迫ったところで頭を後ろに下げ、その勢いで持ち上がった尻で蹴りを受けつつ後転。致命傷は免れた。尻は大ダメージだけれど。

「母よ! 生まれたばかりぞ!? たとえ本気じゃなくても下手すれば死ぬから!? 死ぬからね!?」

「この程度で死ぬか阿呆。木っ端微塵にされても生きてるぞ我らは」

「まだ体に慣れてないんですぅ! だから死んじゃうんですぅ!」

 赤子はベッドをバンバン叩きながら抗議するが、リリンはあくびをしながら聞き流す。

「貴様が生きようが死のうがどうでも良いから、今生きてるなら詳しい内容を話せ。我は行為に水を差されて不機嫌なんだ」

「……私が生まれるのわかってたくせに――あ、いやなんでもないですよ我が母よ」

 リリンのマナの波長から本当に不機嫌になっていくのを感じ軽口を叩くのをやめる。そして、その口から新たな事実が語られる。

「まず、私はハイネと呼ばれる神鳥の卵。我が父はそれを受け取り己がマナで私を成長させていた。故に、父の存在に私が混ざっていても特に違和感がない。または気づかなかったんだ。だって、ハイネは我が父と縁を持っていて、私は父のマナを糧にしていたのだから。すぐに存在に馴染み、埋もれる」

「なるほど。それで楔とやらについては?」

「これは私も詳しくはない。ただ、父が多大な干渉を受けた瞬間。私に情報が流れてきた。たぶん干渉してきたヤツの持つ情報だろう」

「ほう?」

「ヤツは兆を超える星々に干渉しているらしい。理由はあらゆる種族の成長を促すため。その速度を早めるために時折バグが起こるようにし、逸脱した生き物が生まれるように仕組まれている」

「うん? それはつまり――」

「母が強く生まれたのも。《《ソイツ》》のせいだよ」

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