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遥か高みの召喚魔帝  作者: 黒井泳鳥
八月編 前編
154/656

154話

「……っ!」

 ……はっ。思ったよりぐっすり寝てしまった。

 あまりに良いおっぱいと良い匂いで……頭撫でられるのも気持ちよくてつい……。くそ。なんか悔しい。

 え~っと……。とりあえず煙魔は……?

「すぅ……すぅ……。……ふふっ」

 俺の頭を抱えたまま気持ち良さそうに寝息を立ててる。時折笑いも溢れてるみたいだな。いったいどんな夢を見ているやら……。

「坊……ほんまにええの……? 私、初めてやから面倒とかじゃ……あぁん。そない急に……坊ったら。意外とせっかちさんなんやね……//////」

 ……ベタだなぁ~。お前。ベタだなぁ~。なんとなくどんな夢かわかったわ。

 ってか俺お前の夢の中じゃ結構がっついてるっぽいね?まぁ強引に色々やったから……自業自得だと思うけどさ。

「あぁ……私もついに散らすんやね……//////」

「……」

 安心しろ。お前はもうしばらく処女のままだ。

 そもそもキスであの調子だし。行為までたどり着けないよお前。……相手が寝てればわんちゃんあるかもだがな。寝てる相手にはアクティブなこすいヤツだから。

「ふむ……」

 にしてもどうすっかな。がっちりではないけど頭をホールドされてるわけだし。下手に動いたらお越しちまうぞ。こいつからしたらバレないようにこういうことしてたわけだし。

 ……って、そうだよ。起きても困るのはこいつだから起こしても問題ないのではなかろうか。

 そうと分かれば遠慮なく――。

「……!」

 誰かが向かってくる気配。ここで煙魔を起こして夜這い(?)してることが俺にバレたと思い込んでパニクったら変な誤解受けてられるかもしれない。だってこの気配は雪日ヤツなのだから。

 となれば、ここは大人しくしといたほうが良いだろう。考えられる二つのパターンでもそのが無難だ。

 一つ。声をかけてからヤツが入る。煙魔は飛び起きるが仮面もつけてないし退散して来訪者にバレることなく平和に終われる。

 二つ。失礼にも無断で入るも寝ている煙魔を見て気を遣って起きるまで待機。起きてから状況説明。俺はすっとぼけて煙魔に丸投げ。むしろ糾弾する側へ回る。

 くはっ。完璧なシナリオではないかね? どちらにせよ俺は助かるしかないのだぁ。

 さぁ来るが良い! 俺はもう覚悟じゅんびはできているぞ!

「入るぞ」

 よしまずパターン1よさらば。こんにちはパターン2。煙魔が正座させられて慎みを持てとお説教されているのが目に浮かぶわ。存分に反省すると良い。

「煙魔様が部屋にいないのだが貴様何か知って――」

「すぅ……すぅ……ふふっ。坊~……♪」

 なるほど。朝から訪ねてくるなんて何事かと思ったら、煙魔を探してたのか。

 ほれ。お探しの煙魔様はここだぞ~。早く叩き起こせ~。

「ぁん……そないおっぱいに顔グリグリ……。ほんま……甘えん坊さんやなぁ~……」


 ――ブチンッ


 ん? 実際に聞こえたわけじゃないのに何かが切れた音が。いったいなんだろう。

「……」

 どうしてヤツは無言で近づいてくるのかな? どうして刀を抜いてるのかな?

 そして、何故に俺のに向かって刃先を向けているのかな?

「……………………死ねぇぇぇぇえい! 害虫!!!」

「うえっ!? なに!?」

「うぶっ!」

 雪日の気合《殺意》の入った声に驚いて抱き締める力が強くなる。

 だがコロナの張りと弾力が売りの乳ならいざ知らず。こいつの低反発ふわぱいなら少し顔をズラすだけで呼吸は苦しくない。サイズもあいつより小さいしね。……ただ、首の骨がミシッていったよ。ミシッて……。

 よ、良かったわ。痛覚閉じてて。まともにやられてたら絶対悶絶してたね。ふぅ~。

「く……っ!」

 俺がのんきにおっぱい比べをしていると、雪日の悔しそうな声が聞こえてきたな。

 ま、そらそうか。なにせ《《人差し指と親指でつまむように刀を止められた》》んだからな。しかも押し込もうとしてもピクリとも動かない。

 別に大したカラクリはないんだよねこれ。ただ指から影出して固定してるだけだからな。

 タイミングばっちしなのは……言い訳のしようもないほどに馬鹿げた感覚のお陰です。ありがとうリリン。お前のお陰で僕はまだ生きています。

「え? え!? セツ!? なんで抜いてるの!?」

「あ、おはようございます煙魔様。今日は良い天気な所為か虫が湧いているようで。只今駆除の最中にございます」

 おい。それは俺のことか? ことだな? 失礼だぞー。

「虫て……。っ! 坊の事!? ってよう見たら坊に向けてるやないの! 早うしまって!」

「ぷはっ! ……やっと解放された。……そうだぞーさっさとしまえー。物騒だぞー」

「お断りだ害虫! 貴様煙魔様と同衾どうきんなどどいちびりおって! 余程死にたいと見た! ならば望み通り殺してくれるわ!」

「知るか! こっちだってなんで煙魔がいんのかわからねぇんだよ!」

 これは本当。実際のところなんでこいつがここに来たのか知らない。

「黙れ害虫! どうせうぶな煙魔様を言葉巧みにたぶらかしたんだろう!? もしや既に手を出したのではあるまいな!? 許さん! 絶対に許さないからな!? 清らかな煙魔様を返せぇ!」

 テメェ煙魔を誉めろだかなんだか頼みに来てなかったか? それってそういう関係になっても構わないって暗に言ってると思ってたんだが? え、違ったの? そこにビックリだわ。

「ちょ、ちょっとセツ? まずは落ち着いて? ね?」

「煙魔様の頼みでも聞けません! この害虫を駆除するまでこの耳には何も届きません!」

「良いから話を聞き! 坊はほんまに何も知らんの! わ、私が勝手に忍び込んだの! せ、せやから私が全部悪いの! もう! こないな事言わせんでよ……恥ずかしいわ……っ」

「……」

 だから恥ずかしいなら最初からやんなよ。

「……いいえ煙魔様それは嘘です。きっとこの男がそう仕向けたに違いありません」

 本人が言ってるのに嘘ってなんだよ。なにがなんでも俺を悪者にしたいのかテメェは。間違ってはないけども。

「……ほんまに私から坊といたくて夜に忍び込んだんよ。バレる前に帰ろ思たんやけど、寝顔可愛くてついそのまま寝てしまったけど……それ以上の事は何もないから。あ、坊も。ほんまに何もしとらんからね? ほ、ほんまよ?」

「……へ~」

 嘘つけ。キスしたろうが。声も上擦ってるし俺じゃなくても嘘ってわかるぞ。

「……わかりました」

 あれ。わかられちゃってる。嘘ってわからなかったのか? それともわかってて一度飲み込んだのか?

 まぁどっちでも良いか。刀をしまってくれるようだし。一応安心……かな。

朝食あさげの後。改めて場を設けて話をお聞きします。よろしいですね?」

「え、えっと~……はい」

「……貴様もな」

「え~……」

「は?」

「あ、うぃっす。うけたまわりました」

 露骨に嫌そうな声出した俺も俺だけど。そう睨むなよ怖いな。

 はぁ~……。一応表向きは完全に煙魔だけが悪い形のはずなのに。な~んか俺もまだ怒られそうな雰囲気。めんどくさいなぁ~もう。

「ん?」

 煙魔が袖を引っ張ってくる。なに? 萌えアピール? あざといな。

「坊……その……ごめん……」

 と、思ったら小声で謝ってくる。

 本当だよ。反省しやがれ。

 いや反省それだけじゃ足りない。これはお詫びをしてもらわないといけないな。

「あのお吸い物また作ってくれたら許す」

「……! う、うんっ。腕に寄りをかけて……あ、あれ? 何で私が作ったって知ってるん? 教えた?」

「……」

 いっけね。うっかり口が滑った。これバレて良いか悪いかまだわからないから黙ってたんだが……どうしようか……。

「何をコソコソとしているんですか? 早く着替えて食事を済ませてください」

「あ、はい……」

 ナイスだぞ物騒女。よく区切ってくれた。あんたもたまには役に立つんだな。ちょっと見直し――。

「貴様も早くしろ……あ~いや。先に出ていく。貴様の汚い体など目に入れたくない」

 ……やっぱりいつか一発殴りてぇかな。こちとら綺麗なお肌してるっての。リリンのお陰でな!

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