センターマイク
「じゃあここでお別れだね」
「優くん寮生活頑張ってね」
「頑張るよ」
「約束しよう、優くんは三年間の内に一回でもいいから甲子園に出場する事」
「笑美、は高校三年間のうちにM-1に出ること。」
そう言って二人はハグをした。
これが藤本笑美の野球の強豪校にいく、彼氏との約束だった。
月日はたち桜舞う4月
「今日から君たちの担任になる貞末だ、君たちは今日から緑が丘高校の生徒だ、自覚をもって行動するように、では前の関から自己紹介を始めるように」
藤本笑美は窓の外を眺めながら上の空で皆の自己紹介を聞いていた。
「長作中から来ました、青塚点子です」
うん?あれ聞いたことある名前だな。
「あっーあーあー!!」
「どうした藤本まだお前の番じゃないぞ」
笑美は先生の言葉を無視して
「ねぇもしかして青塚太郎の娘?」
「えっ、そうだけど」
青塚点子は驚いた顔をした。
「おい、藤本静かにしろ」
怒鳴ってる先生に対して笑美は
「ちょっと黙ってて」
「黙るのはお前だ」
この先生の言葉に生徒は皆爆笑した。
この爆笑に調子に乗った笑美は
「じゃあこの勢いで一発芸しまーす。」
「藤本一発芸なんかしなくていい、お前のことは皆わかった、自己紹介しなくていいから騒いだ罰として廊下にたってろ」
そう言われて皆爆笑し、拍手で笑美を廊下に送り出した。笑美はその拍手に答えるよう手をあげて廊下に向かっていったのであった。
笑美はこの事でクラスの有名人になったのであった。
授業が終わり休み時間笑美は机の上のものもかたさず青塚点子のところに行った。
笑美は座ってる青塚の机に遠慮ない感じで両手を強くつき
「ねぇねぇ青塚さん」
この笑美の人懐っこい感じに青塚点子はなれたように
「何?どうしたの?」
「お父さんあの天才漫才師の青塚太郎でしょ?」
「そうだけどそれで何?」
「ってことは青塚さんもギャグできるよね。」
「はっ?」
青塚は笑美のことをこいつ何言ってるんだって目で見た。
「だってお父さんあの天才漫才師の青塚太郎だよ、その娘なら絶対漫才できるでしょ」
点子は少しイラついた感じで
「できるわけないでしょ、私は女だよ」
「ちっちっち、あなたは天才のDNAが流れてるから絶対できるよ」
「できないから、できるわけないからじゃあできたとしたら何なの」
「一緒に漫才師になってM-1に出よう」
「はい?何いってんの?」
点子はこいつは頭がおかしいんじゃないかと思った。
「だからM-1に出よう。」
点子は周りの目を見てこんなのに関わると学生生活は終わりだと思い
「悪いね、他の子をさそってよ」
笑美は大きく強い口調で
「あなたじゃないとダメなんだ、あなたとじゃなきゃM-1に出れない」
点子ははっきり
「バカじゃないの、そんなこと一人でやりなよ私は出たくない」
その発言で教室は一瞬シーンとしたが無責任の男子が
「コンビ組んでやればいいじゃん」
その一言に男たちは
「そうだ、そうだ面白そうだからコンビ組めよ」
「コンビ、コンビ、コンビ」
そう言いながら手を叩いてコンビコールが教室に響き渡る
それを先導するかのように笑美も手を叩いてコンビコールを叫んでいた。
「もう入学初日から何なのこれはなんの罰ゲーム」
怒り出す点子に笑美は
「罰ゲームなんかじゃないよ、私たちのコンビ結成日だよ」
「ふざけないでもう知らない」
そこから点子は笑美のことを学校が終るまで無視し続けた。
点子は学校が終わると勢いよく走って家に向かった。
笑美も点子を全力で追いかけた。
点子は走りながら
「ねぇついてこないで、これ以上ついてくるなら警察呼ぶよ」
「そんなこと言われても私人生かかってんの」
そう言って笑美は諦めずに追いかけた。
点子は自分の家に駆け込み、玄関のカギをかけた。
笑美は点子の家を見て、
「オオー、ここがあの天才漫才師青塚太郎の家か立派だなぁ」
と思いながら眺めていた。
そして点子が出てくるよう何回もピンポンを連打したが点子は出ては来ない。
笑美はこれ以上ピンポンを押し続けるのは近所の目があると思い点子の家の前で座り込んだ。
その様子を窓から見ていた点子は
「まだいるよ、早く帰らないかな」
点子は気になってチラチラ窓から覗いてたが、もう気にしないように窓のカーテンを閉めた。
笑美が点子の家の玄関に居座ってから七時間くらいがたった頃
酒でべろべろになってふらついてる男が
「おっおねぇさん、うちの前で何してんの?」
眠りこけてた笑美は顔をあげた、そしてしばらくの間があき
「あっ、あなたは天才漫才師の青塚太郎」
「おっ俺のこと知ってるのか、ねぇちゃん」
「知ってるも何も大ファンなんですよ」
「おっ可愛いこと言うじゃねぇかぁ、家に入れよ飲み交わそうぜ」
「いやぁ私は未成年です」
「いいからとりあえず家に入った入った」
笑美は興奮した感じで
「はい」
と返事をし青塚について家に入っていった
「ほらぁーお父さんが帰ってきたぞー」
階段の上から
「遅いよお父さん、今日お母さんが出掛けてると思って何時まで遊んでるのよ」
「ごめんよ、ごめんよそんなことよりお客さんだ、降りてこい」
「またぁ、いつも勝手につれてきて今日はお母さんがいないからダメって言ったでしょ」
「おい、いいから早く降りてこい」
まったく酔っぱらいはほんとかってなんだから
点子はイライラしながら階段を降りると
「おい、今日のお客さんは可愛い女の子だ驚いたろう」
笑美を得意気に紹介している父親にイラつきながらも
「あんた、まだいたの」
「うん、ちゃんと話したかったから」
「なんだ点子知り合いなのか、ならなんで家に入れてあげないんだ」
「黙ってて、ややこしくなるから」
「親に向かってその言葉づかいはなんだ。」
「わかった悪かったよ、今この子と話してるからあっちに言ってて」
「チェッなんだよその態度はパパ寂しいなぁ寂しいなぁ」
と言いながら青塚太郎は部屋に入っていった。
「ごめんね、父親酔うとああだから」
「いやぁ別に平気だよ」
「で、何」
強い口調の点子に対して笑美は
「昼間はすみませんでした。」
そう言って笑美は土下座をした。
「何、いきなり、やめてやめて顔あげて」
「私さっきまで玄関の前で考えてたんですけど本当にあなたに悪いことをしてしまったと思って、私興奮してました、漫才師になってM-1に出るって夢を叶えるために相方を探してるときに私の人生の恩師とも言える人の娘が同じ高校で、しかも同級生で同じクラスでこれは運命かと思って強引に相方にしようとしてしまって」
「何で、私の父親はただの漫才師だよ」
「いいえ、青塚太郎さんはただの漫才師なんかじゃありません、青塚太郎の漫才に私は笑いの大切さを学びました青塚は笑いは人を豊かにする、人生を変える事を教えてくださいました、青塚先生がいなかったら今まで辛かったことは乗り越えられなかったと思います、そのくらいあなたの父親は偉大なんですよ」
「あの酔っぱらいが?」
「うぇぇん、さっきから聞いてたけど点子お前いい友達をもったな、俺のことを誉める子に悪い人はいないよ」
「何なのお父さん、酔っぱらいは、早く寝な」
「バカいってんじゃないよ、今俺誉められてたんだぞ、こんな可愛い子に、寝てる場合じゃないだろ」
「わかった、よかったね、お休みなさい」
青塚太郎は笑美の手をとり
「パパにこんな冷たい態度をとるけど、根はいいやつなんです、どうかこいつとコンビを組んで日本中を笑わせてくださいお願いします」
「何勝手なこといってんの、私は漫才師になんかなる気がないんだから」
「漫才師なんかとはなんだ人を笑わせるにする立派な職業なんだぞ」
「私、人に笑われるのなんかまっぴらごめんだから」
「バカか、笑われるんじゃない笑わすんだ」
「どっちだって変わんないでしょ」
「変わるはバカたれが」
「とにかく私はやりたくないからね」
「わかった、今はコンビ組めなくても私、点子に認められるように一人でも頑張るから」
「頑張りな、今日はもう遅いから家の人に私の家に泊まるって連絡しな」
「えっ、泊まっていいの?」
「泊まりたくないなら帰りな。」
「いや、すぐに親に連絡するわ」
こうして笑美は点子の家に泊まった。
翌日の朝笑美は朝食を頂いてる時に青塚太郎から
「笑美ちゃん、笑いで行き詰まったらいつでもここに来なさいおじさんがアドバイスしてあげるから」
「ありがとうございます」
「笑美ちゃん、おじさんのファンなんでしょ」
「はい」
そう答えると青塚はペンと色紙を取ってさらさらとキャラクターを書き方
「これサイン色紙よかったらどうぞ」
そこに書かれてたのは笑美の一番好きなキャラクターだったが
「すみませんがこれはもらえません。」
「なんでだ、貰ってくれないとおじさん寂しいなぁ」
「私は必ずM-1出ます、その時おじさんにサインを書きますその時にサイン交換しましょう。」
笑美の志しに青塚は感動し
「じゃあ必ずM-1出ろよ」
「はい、出ます」
そう言って二人は握手した。
その横で
「笑美、早くしないと学校遅れるよ、知らないよ。」
「待って待ってぇー」
笑美は青塚太郎に挨拶をして二人は慌てて学校に向かった。
教室に着いたら
「おっ、コンビで登校か、仲良しだなぁ」
と男子達が二人をちゃかした。
点子は顔を背けたが、笑美は
「やめてまだ点子に認められてないんだから、言うなら認められてからにして」
「じゃあ頑張って認められろよ」
男たちの応援に笑美は嬉しそうな顔をしたが点子は無視をしていた。
ガラガラガラガラ
「おい、おはよー」
「おはよーございます」
「今日は全校集会があるから皆ちゃんとした格好しろよ、じゃないと終わったあとに呼び出されるからな」
全校集会!!
笑美はチャンスだと思った、ここでステージにたって全校を大笑いさせたら点子も認めてくれるかも知らないと思った。
そして笑美は全校集会までの時間をずっとノートにネタを書き込むのに費やしたのであった。
そして全校集会の時間になった。
笑美は緊張しながらノートを持って体育会に向かった。
笑美は校長先生の話が終わったら決行しようと考えていた。
まったく校長の話は長いなぁはやく終わらせろよ
笑美は緊張しているのでなおさら校長の話の長さにイラついてるのであった。
そして校長の話が終わると、
いよいよだ、よし気合い入れていくぞ。
笑美は列を抜け出しステージに向かって走りだした。
いきなりステージに登り出した笑美を見て全校生徒はざわついた。
「今から私はここでお笑いをやりまーす」
いきなりの出来事に全校生徒は面白そうだと思い
「いいぞーやれやれ」
と大騒ぎした。
一部の先生が
「やめなさい、何やってるの」
って言ったがそんな声は笑美には届かなかった。
とめにいこうとした先生もいたが生徒達が大騒ぎしてるので止めるに止めらなれなかったのであった。
ステージから皆を見下ろす景色に興奮しながらも静かにさせなきゃと思い
「はい、今からネタをやるんで静かにしてください」
「皆ネタやるってよ」
皆盛大な拍手で盛り上げた。
それを見ていた点子は
あーあの子何してんだか、こんなにハードルあげて相当自信あんのかなぁ多分これは滑るなぁ
と不安な気持ちで笑美を見ていた。
「はい、どうも藤本笑美です、最近は四月なのに暑いですね、この暑さ溶けちゃいそうですよね、溶けるってアイスクリームかって」
全校生徒は冷たい目で一斉に笑美を見た。
あれここで一笑い起きる予定だったのに
「まぁ溶けると言えば推理小説あっ溶けるの漢字が違うかはっはっは」
また全校生徒に冷たい目で見られた。
この後も漫談を続けたが笑美は終始滑りっぱなしだった。
さんざんな結果にさすがの笑美も落ち込んでいた。
最悪滑った挙げ句に先生にまで怒られて私何やってんだろう。
そう思いながらその日は寝付けなかったのである。
そして次の日
笑美が教室に入っていくと
「おっ来たよ、滑り芸の藤本」
「お前ひどかったなぁ昨日は」
何人かの男子が次々と笑美をバカにしていった。
笑美は
おどけた感じで受け答えをしていた。
点子はその様子を見てため息をついた。
その日の昼
「さぁ皆さん今日もお昼を楽しんでいますか?一人で食べてる人も友達と食べてる人もカップルで食べてる人も少し放送に耳を傾けながらお食べください。」
なんだこの声は聞いたことあるなと思いながら笑美は机に肩肘をつけその上に頭を乗せながら聞いていた。
「家のおじいちゃんの話なんですけどね、おじいちゃん仕事で電話をかけようとして電話を取って番号を何度も押してたんだけどね、何回も番号を押してもかからないかからないと思ってて、それで目の前で仕事してる人にこの電話かからないんだけどって言ったらね、あなたがさっきから押してるのは電卓ですよって、おじいちゃん電話と間違えて受話器を持って必死に電卓を叩いてたんですよ」
この話のオチでクラスで放送を聞いてた生徒達が一斉に爆笑した
それを見ていた笑美は
なんだこれはすごい、なんて面白いんだ
笑美ショックを受けたのであった。
笑美は昼の放送に衝撃を受けその日はずっとその放送の事ばかり考えていた。
そこから何日も放送で皆が爆笑する日々が続いた。
笑美は放送してる人が誰なのか気になって昼に放送室に向かった。
笑美は放送室のドアを開けた、そこには点子の姿があった。
笑美はビックリしていったんドアを閉めた。
そしてドアのところでうつむいてニヤニヤしはじめた。
やっぱり点子は面白かったんだよ、やっぱりすごいやつなんだよ
そう思うと笑美はぶわぁーと鳥肌がたった。
そして確信した。
この子と組めば絶対にM-1に出れる。
笑美は点子の放送が終るまで放送室の前で待っていた。
ガチャ、放送を終えて点子が出てきた。
「ここで何してんの?」
「すごいね点子、こんな面白いことを言えるなんて」
「そんなこといいに来た訳じゃないでしょ」
「点子に話したいことがあって」
「今もう時間ないから放課後でいい?」
「ありがとう放課後話そう」
そして二人は学校が終わった後川の土手に向かった。
二人は川の土手に座り込んで笑美が話を始めた。
「今までの放送を聞いてたけど、やっぱりすごいよ点子すごく面白いよ」
凄く目を輝かせて言ってる笑美に対して点子は無愛想に
「ありがとうそれで何?」
「何って」
笑美はいったん点子の言葉にしり込みしたが
「私やっぱりあなたとコンビを組みたいだって点子あんなに面白いんだもん、点子とならM-1に出れるよ」
そう言って手を掴もうとした笑美の手を点子はパシッと音をたててはらった。
「ふざけないでよ、お笑いを舐めるんじゃないよそんな簡単に行くわけないでしょお笑いの世界は奥が深いんだよ」
笑美は点子のまさかの怒り方に一瞬戸惑った。
「えっ、だってこの前点子笑われものになるのは嫌だってお笑いの事バカにしてたじゃん」
「それはあんたに私は興味ないと思わせたかったから」
そう言って点子は下を向きながら。
「私だってお笑いが好きなんだよ、小さい頃から人を笑わせてる父の姿を見てカッコいい私も父みたいに人を笑わせて笑顔にしたいと思ってたんだよ、でも」
「でも何?」
「父を追いかけようとすればするほど父には追いつかないと思えて」
「そりゃお父さんはすごいから父親に追いつこうとするのが理想が高いんじゃ」
その笑美の言葉に点子はカチンと来て
「やるからには父を超えなきゃダメなんだよ、あんたはそんな考えだからダメなんだよ、あんなに滑ってバカにされてもヘラヘラしてて、あんたの本気なんか本気でも何でもないんだよ」
「なんだと、私だって悔しかったんだぞ皆の前では気丈に振る舞ってただけだぞ、本当は悔しくて寝れなかったんだぞ」
「まぁ悔しがろうが悔しくなかろうがあんな芸をしてることろを見てるとあんたには笑いの才能はないわ、あんのはバカにされて笑われる才能だけだわ」
この言葉に頭に来た笑美は
「なんだこのやろうー」
と叫びながら点子に殴りかかった。
「何、面白いこと言えないと暴力すんの」
「うるさい、うるさい」
「私のこと殴ってもむなしくないか自分に笑いの才能がないことを認めてることになるだけでしょ」
図星だった。笑美は点子の放送を聞いて自分には才能がないのだろうかって悩んでいたのだ。
殴ってきた笑美を点子は力任せで投げた押し倒された笑美の上に乗って
「あんたはねぇ自分のネタに自信がないからあんだけ緊張しちゃってオチもはっきり言えてないしまぁそもそもネタが面白くないから自信もくそもないけどね」
図星だ、確かに笑美はステージに上がる前にこれで本当に受けるのか、くよくよ悩んでいた。
「じゃあ面白くなるにはどうすればいいんだよ」
「もっとネタを考え込め、そうすれば自信をもてるようになるそしたら面白くなるよ」
「じゃあ一緒にコンビ組んでネタを考えようよ」
「だから私はやらないって言ってんだろ」
「あんたは逃げてるだけじゃないか、やってもいないのに父親に勝てないからやらないってそんなの逃げる口実だろ、本当はやりたくても臆病だからできないだけだろ、私はあんたと違って臆病じゃないから私はつまらなくても挑戦してるからあんたみたいに挑戦もしてないでただ逃げてる奴よりはいくらかましだから一生そうやって逃げてろよそして将来、挑戦しなかったことに後悔すりゃいいんだ、あんたなんか」
点子はムカついて思いっきり笑美を殴った。図星だったからこそムカついたのだろう。
二人はまた殴りあいをはじめてゴロゴロ土手に転がっていった。
そのまま転がり続けて二人揃って川に落っこちたのであった。
二人は慌てて土手に上がった。
二人はお互いにびしょびしょになった体を見て指を指しあって笑った。
そして
点子は上を向いて
「はぁースッキリした、久しぶりにこんな大喧嘩したわ」
「私も久しぶりだよこんなに濡れちゃってさぁ」
そう言って二人は服を雑巾のように絞り始めた。
「あんたさぁなんか面白いかもしれないね」
この言葉に笑美はうれしそうに
「やっぱりそうだよね気づくの遅いんだよね君は」
調子に乗った感じで答えた。
「私、あんたとコンビ組むは」
「あーそう。ってえっえっえー」
「何驚いてんのよ、私とコンビ組みたかったんじゃないの?」
「そりゃ組みたかった、組みたかった、ええっ、いいの?」
「いいよ、なんかあんたとなら楽しそうだから」
「やったねぇコンビ結成だね」
そう言って手を差し出そうとした笑美に対して
「あっ、あんた濡れててブラ透けてるよ」
「えっえ、嘘上はおるものないんだけどどうしよう、ってか点子も透けてるよ」
「えっ、ほんとだ、私もはおるものないからどうしよう」
「こうなったらお互いでお互いのことを隠すように胸をつけて歩こう」
「えっそんなことして歩くの変じゃん」
「フォークダンスって言ってごまかすよ」
そして二人は胸をつけてフォークダンスのようにして歩いていった。
「ちゃっちゃちゃちゃちゃちゃちゃ、ほら点子も歌って歌って」
「恥ずかしいよそんなの」
「恥ずかしがってる場合じゃないでしょ」
「もうやけくそだよ」
そう言って点子も大きな声で歌い始めた。
「笑美、なんかさぁ私たちってほんとバカなんだね」
「そうだよ、女子高生なのにM-1目指すくらいだからね」
「それはお前のせいだろ」
「そっかそっかぁ」
二人は笑いながら帰っていったのであった。
この日の夜二人は揃って高い熱を出すのであった。
寝ているときに一通のラインが来た、点子からだった、そのLINEの内容は漫才のネタだった。
その内容に笑美は衝撃を受けた。
面白い、めちゃくちゃ面白い。
LINEを読んで興奮した笑美は熱で寝込んでるのにも関わらずLINE電話をした。
「もしもし、すごいよこれめちゃくちゃ面白いよ」
興奮している笑美に対して点子は
「あっそう、それはよかったネタは初めて書いたからまだクオリティは低いと思うけど今度これ教室でやってみようよ」
初めて書いてこのクオリティかぁそう思うと笑美は鳥肌がたった。
「うん、やろうやろうこれなら絶対に受けるよ」
「じゃあ今から電話でやってみよう」
「今から電話でやるの?」
笑美の言葉に点子は
「当たり前でしょ、ぶつけ本番でできるわけないでしょ、それにボケもツッコミも決めてないんだから」
「あっそうだったね、練習しよう。でボケとツッコミどうするの?」
「私がボケやるから笑美ツッコミやって」
「えっ私がツッコミ!!」
笑美はビックリして大きな声を出した。
点子はいきなりの笑美の大声にイラッとしながら
「うるさいなぁ、そうだよ笑美がツッコミだよ。」
「何で?何で私ボケじゃないの?」
「そりゃ私がボケやりたいから」
「えっなんで、なんで、ボケやりたいの?」
興奮した声で話しかけてくる笑美に対して
「うるさいなぁ、ボケの方が笑いとれるからだよ」
「えっええーずるいなぁ」
「コンビ組んであげたんだから譲りなさいよ」
「はい、はーいそうですよね譲りますよ」
笑美はボケとかツッコミにこだわりはなかった、ただ点子と一緒に漫才ができると思うと嬉しくて仕方なかった。
二人は何回も何回も電話で練習を重ねた。
笑美は点子に指摘された間の取り方とかを色んな芸人を見て勉強を始めたのであった。
何日かして熱が下がった二人は揃って学校に向かった。
「じゃあ行くか」
笑美はそう言って点子の方を叩いた。
「よしいこう」
そう言って点子は教室のドアを開けた。
「はい、どうもどうもどうも」
そう言いながら二人は手を叩きながら出てきた。
ざわざわしていた生徒達は一斉に笑美と点子のことを見た。
「あれ?お前らどうしたの?」
「青塚あんだけ嫌がってたのにまさかコンビ組んだの?」
いろんな質問が二人に飛び交ったが二人は質問に応答せず漫才を始めた。
最初のうちはまた滑りに来たのかとちゃかす者もいたが、皆次第に二人の漫才に引き込まれていった。
その様子を漫才をしながら見ていた笑美は
すごいよ、人を笑わせるってこういう事なんだ、と今まで味わったことのない笑いのウェーブを体感できたのであった。
二人のはじめての漫才は成功したのであった。
昼休み
「やったねぇ、初めてにしては今日すごい受けたね」
「まぁ、受けたけど今日受けたのは皆が知ってるような内容だから受けただけだからそんな喜んでちゃいけないよ」
笑美は自分だけが浮かれてることが恥ずかしく思った。
「それに笑美、あそこの場面少しツッコミが遅いそれに何ヵ所かボケが拾えてなかったよ」
「ごめん、そうだったか」
「そうよ、ちゃんと対応しないとダメだよ、しかも今日のネタ四分でやるネタを5分かかってしまってるからね、もっとお互いスピーディーにいかないと」
本気の点子に笑美は凄く嬉しくなった。
この子とならほんとにM-1に行けるかもしれない。
笑美はそう思い点子との稽古にますます気合いが入ったのであった。
二人はほぼ毎日のようにクラスメート相手に漫才をした。
クラスメートも二人の漫才の時間になると誰もしゃべらずきちんと席に座っていた。
二人の漫才は他のクラスにも噂になり他のクラスからも聞きに来る人が出てきた。
二人は笑美のリベンジをかけて全校集会で漫才をすることにした。
笑美は前回の時と違って緊張はまったくなかった。
二人は全校生徒の前でも受けたのであった。
二人は校内で有名人になった、そして二人は毎日お昼の放送でネタをやるようになったのである。
ある夏の日のこと
笑美はテレビに夢中になっていた。
笑美は拝むようにしてテレビを見ていた。
「さぁー9回2アウトマウンド上は中川優、振りかぶって投げました、ストライクバッターアウト緑が丘高校勝ちました優勝です。」
一年生ピッチャーの完封で勝ちました。
甲子園出場です。
すっ凄いよ、優君もう約束果たしたよ。すげぇーなぁー
あまりのすごさにつけっぱなしのテレビをよそに仰向けにねっころがり天井をひたすら眺めていた。
ピンポーン。
笑美はインターホンの音で起き上がり、
「誰だ?」
そう思いながらドアを開けると
そこには点子が立っていて
点子は興奮した感じで
「ほらこれ見てこれ」
そう言って一枚の紙を笑美に突きつけた。
「こっこれって」
「そうM-1のエントリー用紙」
「えっ、予選っていつから?」
「何、のんきなこと言ってるのもう一ヶ月位したら一回戦始まるんだよ」
「嘘ー!!もう一ヶ月位したら始まるんだ」
「もう大会近いからモチベーション上げて練習していくよ」
そう言って点子は笑美の方を叩いた。
それに答えるかのように笑美は
「よーしやってやるぞー」
と大きな声で叫んだ。
二人は一日中外で漫才をした。
昼間は暑いのでショッピングモールでやり夜は駅で1日二ヶ所でやっていたのであった。
そして二人にとって初めてのM-1がやって来た。
M-1予選当日
二人は会場の前にいた。
「いよいよだね、点子」
「うん、そうだね」
「何、緊張してんのさ点子らしくない」
「緊張するでしょ、こんな舞台初めてなんだからあんたの方が不思議だよ、朝ももりもりご飯食べてたし」
「だって自信あるもん、行けるよ私たちは」
「そうだといいけど」
「弱気だなぁ点子、よしじゃあいつものやってモチベーションあげようぜ」
「そうだね、やろうか」
点子は笑美の手の上に手をおいた。
「いいよ、笑美」
「私たちは面白い!!いくぞ!!」
「おちゃーおちゃー」
二人は気合いを入れて会場に入った。
「点子、見てみて凄いよめちゃくちゃたくさんの芸人がいるよ」
「そうだね」
「あー、あの人テレビで見たことあるよ、あっこっちの人も見たことあるよ」
点子はきつい口調で
「ねぇ笑美、落ち着きなさいよ、あなたここに芸人を見に来たの?」
「ごめん、ごめんそうだよね落ち着いた方がいいね」
二人は控え室に入り順番までネタの打ち合わせをした。
どんどん順番が近づくに連れて二人は緊張した、特に点子の緊張は凄く、震えだしていた。
笑美は点子の震える手を押さえて、
「大丈夫だから、落ち着いて深呼吸して」
「うん、ありがとう」
点子は笑美にお礼を言って深呼吸をした。
点子の様子を見てた笑美は
このくらいのことで私にお礼を言うなんて相当緊張してるんだな
と思った。
そしていよいよ笑美達の番になった。
笑美達は勢いよく飛び出した。
「どうもー、おちゃーおちゃーです。」
出だしはうまくいった、二人は心の中でそう思った。
しかし、点子がボケを飛ばした。
笑美はあれっ、おかしいぞと思ったがなんとかフォローしようと臨機応変に対応したが
点子は自分がボケを飛ばしたのに気づいた。
そして、焦りはじめて、漫才のリズムが崩れ始めた。
完璧主義者の点子はひとつのボケのミスが頭から離れなくなってしまった。
頭からミスしたことが離れなくなった点子はどんどんテンポが悪くなっていき、遂に頭が真っ白になり、
あれっ、点子ボケは?
ヤバイ、セリフが出てこないどうしよう
点子がテンパった、私が何とかしないとでもどうしたらいい、どうしたらいいんだ。
笑美には技術がなかった、セリフが出てこなくて脂汗が出てきてる点子を黙ってみてることしかできなかったのである。
二人の最初の挑戦はズタボロに終わった。
二人は下を向きながら会場を後にし、点子はごめんと一言だけ言ってその日は別れ、夜は二人とも寝れなかった。
次の日、点子は笑美の家に行き、
「笑美、昨日はごめん私が頭真っ白になったせいで漫才めちゃくちゃになっちゃって」
「いや、点子が悪い訳じゃないよ、私も上手く突っ込めてなかったし仕方ないよ」
「私、昔からダメなんだ、練習だとちゃんとできるのに本番だといつも力発揮できなくて。」
「いや、仕方ないよ、この反省を生かして来年の大会でリベンジしよう」
「笑美、悪いんだけど、私やっぱりやめるわ私には向いてない見たい」
「何でやめるの、まだこれからでしょ、一回の失敗でやめるなんておかしいよ」
「ごめん、本当にごめん、それしか言えないわ」
そう言って点子は笑美の家を出ていった。
笑美はすかさず追いかけて説得しようとしたが点子は応じなかった。
点子にしばらくは一人にしてほしいと言われ二人はしばらく会わなかったのであった。
「おい、最近漫才の練習はどうしたんだ?」
「あー、やめたよ、私には向いてなかったみたい」
点子の言葉に青塚太郎は顔を真っ赤にしながら
「おい、やめるってのはどういうことなんだよ」
「だから、私には向いてなかったからやめた、ただそれだけのこと」
「笑美ちゃんのことはどうすんだよ」
「笑美、には可哀想だけど他の子でも探してもらって」
バチーン
青塚太郎は思いっきり点子の頬をビンタした。
点子は真っ赤に腫れた頬を押さえながら
「いきなり何すんのよ」
「ふざけんじゃねぇ、お前無責任すぎるだろ!!」
「しかたないでしょ、向いてないからやめるのの何が悪いのよ」
「お前はいつもそうだ、少しできないとすぐ逃げる癖があるだから本番に弱いんだよ、お前は立ち向かわないからメンタルが弱くていつもダメなんだお前は」
「うるさいわね、別にいいでしょ人が漫才をやめるだけの話なのに何でこんなに怒られなきゃいけないの私の人生なんだから親につべこべ言われる必要ないわ」
言い返す点子に
「甘ったれんじゃねぇ、親に飯食わせてもらってるのにそんな一人で何でもできてるみたいな口をきくんじゃねぇお前みたいな甘ったれ家の子じゃねぇわ出てけ。」
「わかったよ出ていきますよじゃあね」
そう言って荷物をまとめようとしたが
「荷物も全部俺が買ってやった奴だ何も持たずに出ていけ」
そう言われて点子は何も持たずに家を出たのであった。
点子は家を出たもののどうしようかと途方にくれてたのだった。
点子は近所のファーストフード店で
あーどうしよう、今日からどこですごそうかと必死に考えていた。
結局あてもなくファーストフード店は24時間営業なのでそこで何も頼まずに机に顔をうつ伏せにして寝て過ごすしかなかったがそれをやっていると?
ポンポンと肩をたたかれ
「もしもし、お姉さん、起きておきて」
店員の呼び掛けで点子は起きて
「お姉さん高校生?」
「はい、そうですけど」
「もう高校生出歩ける時間じゃないんだよねこれ以上ここで過ごすようでしたら保護者に連絡するんだけど」
保護者に連絡されたらたまらんと思った点子は
「はい、わかりました。今すぐ帰ります」
そう素直に答えて店をすぐ出たのであった。
はぁ、どうしようか行くとこないよ、公園にでも寝るか、公園に寝るってホームレス中学生かよ
点子は自分にツッコミを入れたがむなしくなった。
点子はブランコに腰を下ろし空を見上げて
どうしようかほんとに、どうやって暮らしていこうか。
「あれ?点子じゃない?」
ヤバイ、同級生かな
そう思って点子は走り出した。
「待って、待ってよ」
点子は、追っかけてくる者に向かって
「何で追いかけてくるの、ほっといてよ」
しかし追っかけてくる者は足が早く、点子は肩をガッと捕まれた。
「点子何してるのここで」
「うっさい、誰よあんたぁ」
点子が振り払おうとしたら点子の肘が相手の顔に当たったぁ
追っかけてきた者は顔を押さえてしゃがみこんだ。
「あっごめん、でもあなたがいきなり追いかけてくるから」
「だってなんか落ち込んでんのが見えたから心配だったんだもん」
そう言って追っかけてた者は顔を上げた。
「えっ、笑美じゃん」
点子はビックリした。
「点子なんかあったの?」
「いや実はさぁ」
そう言って笑美に話始めた。
「何、追い出された!!」
笑美は驚いて大きな声で叫んだ。
「ちょっと、静かにしてよ人に聞かれたらどうすんの」
「あっ、ごめんごめん、ところで今日は泊まるところあるの?」
「この公園に泊まるよ」
「公園に泊まるの?」
「そうだよ」
「あなた女子高生だよ、それなのに公園に泊まるのは危なすぎるって」
「大丈夫でしょ別に、私を狙うやつなんていないよ」
「いやいや、まんがいちがあると困るから家に泊まりなよ」
「いや、それは悪いから」
「うるさい、点子に断る権利はない」
そう言って笑美は点子を家に向かって引っ張って言った。
「今日からしばらく私の家でくらしな」
「やっぱり悪いから公園でいいよ」
そうやって逃げようとする点子を笑美はおさえて
「はい、いいから行くよ」
そう言って笑美は玄関のドアを開けた。
「ただいま」
「お帰りなさい買い物にしては遅かったねぇ」
「お母さん、友達連れてきた。」
「友達?こんな時間に?」
「すみませんこんな時間に」
「あー、可愛い子だね。どうしたの?」
「点子、家を追い出されたんだって」
「えっそうなの?」
「すみません、父親と喧嘩して」
「まぁ、こんなところでいいならほとぼりが覚めるまでここにいな」
「本当にありがとうございます」
そう言って点子は頭を下げた。
笑美と点子は階段をのぼって笑美の部屋に上がった。
部屋に入ると点子は
「何で私を家にいれてくれるの私のわがままで漫才はやらないと言ったのにそれなのに」
「だって、困ってるじゃん点子。だから助けてあげようと思ったそれだけだよ」
「何で優しくしてくれるんだよ」
そう言って点子は泣き出した。
「泣かないでよ、点子らしくないなぁ」
そう言って笑美は点子の頭をポンポンと叩いた。
点子はこんなにも優しい子をないがしろにして自分はダメなやつだと思い
「私、やっぱり漫才やる。そして絶対に笑美をM-1に連れていく、連れていくから」
「えっ、いいの?」
「やるよ絶対にM-1に連れていくから」
こうして二人はコンビを復活したのであった。
点子は再び漫才をやる決意をしたため青塚太郎にも許してもらえて家にいれてもらえるようになった。
ある日
優から笑美ラインが来た。
甲子園に出場はできたが優勝できなかったので来年は優勝するよ
笑美も頑張ってM-1出ろよ
まったくなんでこうプレッシャーかけてくるかな。
そう思い笑美はLINEを閉じた。
そして自分に気合いをいれて漫才に取り組んでいった。
二人は色々なところで漫才をした。
そして一年がたった。
再びまたM-1の予選の日がやって来た。
二人は今回は自信をもってステージにたった。
マイクにむかって点子大きな声で
「はいどうも、広瀬すずです」
「嘘つくんじゃないよ、まぁ私は橋本環奈なんですけどね」
「お前も嘘ついてるやないかい」
「ほんとは笑美です」
「点子です」
二人は声をあわせて
「二人あわせて笑点です」
「まぁこうやってね嘘から始まったおーちゃーおーちゃーなんですけどね」
二人はテンポよく漫才を続けた。
そして無事にミスなく終わったのであった。
二人は結果の前にひと安心した。
「とりあえずミスなく終わってよかったね」
「まだ結果が出てないからなんとも言えないけどね」
二人はドキドキしながら結果を待った。
そして二人は一回戦を突破した。
そのまま勢いよく準々決勝までかけ上がった。
笑美が興奮した感じで
「私達このままM-1でれかもしれないよ」
「そうかもね私達今勢いあるからね」
二人は完全に浮き足だっていた。
そして迎えた準々決勝
ふたりは調子よく、漫才を終えた。
「完璧だったね、今回も」
「そうねよかったね」
「二人は自信満々に結果を待った」
結果は敗退だった。
二人は自信があっただけに相当落ち込んだ。
「ダメだ、何でダメなんだこんだけ傑作をやったのに」
普段なら落ち込む笑美もチャンスはあと一回しかないと思うとおちこんでる暇はなく自らなぜダメだったのかを素早く分析して
「私達、あれじゃない素人相手にしかやってないしネタは独学でやってるからじゃない。独りよがりになってるのかもしれないこれからは自分たちの漫才をやるだけでなくプロの漫才を徹底的に観に行こうよ」
「そうだね、たまにはいいこと言うじゃん笑美そうしよう。徹底的にやろう。」
そうして最後のM-1に向けて色々な漫才師の漫才を見た。
自分たちに足りないものとかを徹底的に研究したのであった。
漫才の本題に入る前の入りが長かったり、落ちが弱かったりと自分たちの弱点を見つけ改善に努めたのであった。
そしていよいよ最後のM-1を迎えた。
笑美の元に一通のラインが来た。
今年が約束の最後の年だね。チケットは勝ったから必ず勝ち上がってこいよ、会場で待ってるから
わかってるよ必ず勝ち上がって見せるよ。
笑美はそう返信した。
二人は順当に勝ち上がっていった。
「ここが私達が散った準々決勝だよ。」
点子はぎゅっと笑美の手を握って言った。
「よし気合いをいれるよ」
二人は気合いをいれ見事去年のリベンジを果たした。
そして準決勝も終わって
いよいよファイナリストの発表となった。
二人は緊張して祈るようにして発表を聞いていった。
一組一組呼ばれていく、まだ呼ばれないことに二人は焦りが募っていくのであった。
そしていよいよラスト一組
お願いします、必ず私達の名前を呼んでくださいお願いします。
二人は心の中で唱えるように言っていた。
「ぶんぶくちゃがま以上がファイナリストです」
その瞬間笑美の頭は真っ白になった。
終わった、私は約束を果たせなかった。優は三年間甲子園出場したのに私は一度もM-1に出れなかった。
笑美は泣きそうになったが何度もこらえた。
「ここは切り替えて敗者復活戦に望もう」
点子の一言が泣きそうな笑美を復活させた。
二人は敗者復活戦に向けてもう特訓をした。
もう気持ち悪くなるまで漫才をし続けたのであった。
そしていよいよ敗者復活戦
テレビ中継をされるなか二人は堂々と漫才をした。
そして結果発表
名前を呼ばれたら敗退二人は名前を呼ばれないように必死に祈った。
一組呼ばれるごとに会場は残念そうなため息で包まれる。
まだ呼ばれない、まだ呼ばれないいいぞいいぞ
二人はそう思ってなおさら強く呼ばれないことを祈った。
そして残り五組まで生き残った。
「さぁ、残り五組は前に出てきてください」
司会者の言葉で二人は人を掻き分けながら前に出た。
二人は他の残ってる組を見て自分たち以外はテレビで観たことある人たちだった。
司会者も有名どころにしかインタビューをしなかった。
「さぁー一気に三組発表します」
「パイナップル、将棋クラブ、SOS」
一気に会場の雰囲気は変わった。
「さぁ残る二組はおーちゃーおーちゃーとねずみ講、呼ばれるか呼ばれないか、天国か地獄です。さぁ復活できるのは」
「第二位ねずみ講、第一位おーちゃーおーちゃー‼️」
えっえっえっ?
二人はパニックになった。
「おめでとうございます。今の気持ちどうですか?」
司会者は点子にマイクを向けた。
点子は震えながら
「いやぁその緊張します」
この一言で会場は爆笑した。
「えー、笑美ちゃんの方はどう思いますか?」
「大暴れしてきます。」
「おっ、立派な意気込みです、では頑張って下さい」
二人は会場に向かった。
そして少しの時間もなく舞台の袖に向かった。
「笑美、本当にここに来ちゃったね、どうしよう緊張して来た」
笑美震えながら言ってる点子の背中をバーンと叩いて
「さぁ、一暴れしようぜ」
二人はセンターマイクに向かって行った。