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転生!貧乏貴族の下剋上物語  作者: かめねこ
第一章 タイゼック家の使用人
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第54話 職質!僕は盗んでない

「それで?なんの用?」

「あ、」


 本来の目的を忘れてた。

 急いでるのに。スイレン声かけてよ。まったく。


「人探ししてるんだけど……年齢がぼくより少し高い女の子1人と男の子数人の集団が門を通らなかった?」

「見かけたわ」


 即答だった。


「こんな目立つ集団を覚えてないわけないでしょう?」

「確かに」

「あの思い出そうとしている門番もきっとあの子たちに口止めされたのよ」


 なるほど。

 それなら門番があそこまで悩む理由もわかるな。


「その子たちがどうかしたのかい?」


 モヒカンが聞いてきた。


「それが、勝手に門外へ行っちゃったらしくて……」

「えっ、それは大丈夫なのかい?」

「一応魔物がいないところへ向かったらしいですけど……」


 そこが安全とは限らない。

 逆に、何故みんながそのエリアを安全だと思っているかとても不思議なのだ。

 町へ続く道を一本外れるとすぐそこに湖がある。


 そこには性格の穏やかな動物や綺麗な植物が生息する。

 人にとって落ち着ける場所であり、魔物も寄り付かない場所であるため軽いピクニックなどによく使われるのだ。

 どうして魔物が寄り付かないのか、その理由は神聖な場所だからだとか、魔物の嫌う植物が生えているからだとか、色々言われてるけど証明されている訳ではない。


 証明されてないけど、安全だと思い込んでいる。だから町人たちは軽い気持ちでそこへ行くし、門番も心配することなく門外へ通す。

 俺にはそれが理解できない。

 特に子供たちだけの集団を外に出すという判断をしたことが許せない。


「お、おい……あんまそう殺気を出すんじゃない」

「別に殺気なんか……」


 スイレンに指摘され、そういえば2人との会話中だったなと焦点を合わせると、2人は何故かぺたんと座り込んでいた。

 女にいたってはまるで泣き出しそうな顔をしていた。


「立ち話は疲れちゃいました?」

「「あはは……」」


 2人からは乾いた笑い声が発せられた。


 *


 情報をくれた2人には感謝を伝えておいて、俺はシスローネさんのところへ戻った。


「どうやらフルリアちゃんたちはここの門から外に出て行ったらしいですよ」

「やっぱり……!!」


 門番のおじさんはまるで悪戯(イタズラ)がバレた子供のように、引きつった笑い顔になった。


「これで門の外の子供たちが行ったことはわかりました!通してください!」

「いや、そのだなぁ。今は人の入りが激しくてだな忙しいんだ。もう少しだけ待ってもらえないか?」

「無理です!通してください!!」


 どうせ子供たちにもし俺たちが来ても通さないように言われているのだろう。

 フルリアちゃんたちの可愛い反抗だと思ったら大間違いなんだぞ。


 しかしここを無理矢理に突破するのは教会の威厳的にもやめておくべきだ。

 教会が子供を拘束するなんて噂が立ったら余計に経営困難に陥ってしまうだろう。


 さて、どうしたもんか。

 と門外へ出してもらう方法を思索していると後ろから声をかけられた。


「いやー、お待たせ!」

「え?」

「……ほんとだよ。なにをしてたの?」


 話しかけてきたのは金髪モヒカン男だ。

 シスローネさんは驚いた様子だったが、俺はその声かけに乗っからせて貰った。


「もしかしたら家にあるかもって“あれ”探しに行ってたんだ」

「それで?“それ”はあったの?」

「いいや。無かったよ」

「じゃあやっぱりフルリアちゃんたちが持っていっちゃったのかなぁ」

「かもしれないね」


 オーケー。

 結構自然な感じで合わせられたんじゃないか?


「それより、まだ外に出れないの?」

「うーん、門番さんが出してくれないんだよね」

「グレッチさん」


 モヒカンは門番の方に向き直した。

 どうやら知り合いらしい。まぁモヒカンたちはここを拠点にしている冒険者らしいからな。


「実はさっき中級ポーション無くしてしまって……」

「中級ポーション⁉︎」

「はい……」


 中級ポーションは小瓶一本で金貨1枚、つまり日本円で言うところの10万円。

 簡単になくしたとか言えるようなものではない。


「もしかしたらあの子たちが持ってるかも知れなくて」

「それは大変だ……」

「それであの子たちはどこに?」

「湖の方だと思うんだが……」

「どうか通してください。この人たちも一緒に」


 門番のグレッチは一瞬迷うも、すぐに了承した。


「すまないな。変に止めてしまって」

「いえ、通してくれれば十分ですから」


 シスローネさんにもちゃんと謝ったようだし、人柄的には温厚な人なのかもな。

 子供たちを外に出したことは許せないが。

 今はそのことについ追及している暇はない。さっさと湖へ向かわなくては。

 まずシスローネさんが門を(くぐ)り、建前があるのでモヒカンと女もそれに続く。


「あ、おい坊主」

「ん?」


 俺もスイレンと門を(くぐ)ろうとしたら止められた。


「赤髪に狐、噂の少年だな」

「ん?」

「知らないのか?今君は町でちょっとした有名人なんだぞ?」


 いや、噂されてることは知ってるけども。


「君はちょっと聞きたいことがあるから一緒に来てもらおうか?その狐も連れてね」

「え……」

「ホントはそこのお姉さんにも付いてきて欲しいんだが。今はポーションも大事だからな」


 嘘でしょ?

 俺まだ5歳なのに職質受けるの?


「ちなみにこれを拒否すると悪いことしてなくても犯罪者だらね。なに、簡単な質問だけだよ」

「職権横暴だぁ!」

「そういう職業だからね」


 くそっ。正論だ。


「……ぅ……うっ。ひどいよ。ぼくシスローネさんといっしょに居たいのに……」

「ごめんなー。でも怪しいのにみすみす門外へ出すことはできないんだ。なんならそのお姉さんにやっぱり残ってもらうってこともできるケド」

「……がまんする」


 泣き落としも効かないか。

 しょうがないけどシスローネさんに先に行ってもらおう。


「二人ともシスローネさんをお願いしますね」

「はぁ?なんで私たちが――」

「わかった。任せて。子供たちのこともね」


 やっぱモヒカンはいい奴だ。

 グレッチが笑顔でこっち向いてきた。


「そんなにお姉さんのことが好きなんだね」

「……うんっ!」

『間があったぞ』


 門番は()についてあまり気にしていなかった。


 *


 俺は門から少し離れた役所のようなところでグレッチと机を挟んで互いに向かい合っていた。

 いかにもカツ丼が出て来そうな雰囲気だ。


「それで?君は何しにココへ来たんだ?」

「お金稼ぎです」

「君みたいな小さい子が?」

「まぁ事情があるので」


 どうやらグレッチは俺がヨーベクマ家の息子だとは気が付いていないらしい。

 紋章もつけてないし当たり前だが。


「その事情とやらは話してくれないのか?」

「別に。親の給料じゃ足りないから出稼ぎに来ているだけですけど。よくある話でしょ」

「そう……だな」


 流石に俺ほど幼くて、変なやつじゃないとおもうけどな。

 ほとんどの人が俺は5歳って言ったら驚くよ。

 おそらくみんな「身長が年齢平均より小さい子」だと思っているんだろうが、実際は年齢的に考えると背は少し高い方だ。

 タイゼック家の……あ、ノリコ君…だっけ?名前忘れちゃった。

 まぁあいつよりも身長が高い。


「じゃあ次に噂のことについていいか?」

「どうぞ」

「まず噂されてることは知ってるのか?」

「赤髪なんて言ったらぼくぐらいしかいないでしょ」


 事に発端はどこぞのお嬢様の狐が盗まれただっけ?

 実際俺と関係ある話だけど、俺が(スイレン)連れてるからって、その噂と俺を関連づけるのはあまりにも信憑性が低くないか?


「それで?ソレは盗んだのか?」

「コレは盗んでません」

「わかった。少しここで待ってろ」

『お前ら我を“ソレ”だとか“コレ”だとか、扱いが酷くないか?』


 俺も嘘はついていない。


『聞いてるか?』


 だって元々俺のモノだったからな。

 取り返しただけだ。


『……そろそろ泣くぞ?』

「ごめんごめん。スイレンを傷つけたいわけじゃないんだ」


 スイレンがこちらをじっと見つめる。


「ただ物扱いしただけで」

『それが傷つくんだろうがぁっ』


 あー。スイレン面白いなぁ。

今回はどうだったでしょうか?

面白い、もっと読みたい、そう思ったなら下のブックマークと評価ボタンをポチっと。……ポチっとありがとうございます。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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