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転生!貧乏貴族の下剋上物語  作者: かめねこ
第一章 タイゼック家の使用人
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第48話 目標!世界征服=世界平和

「おはようございます」

「おはようございます。今日の仕事は壁の修理をお願いします。費用はこれです」

「分かりました」

「足りないと思うのであなたが手伝って値下げしてもらってください」

「……分かりました」


 まぁ昨日土魔法ソイルクラウンの魔倣器具持ってるってことにしたしな。値下げさせてもらえるならそうするか。

 クリアからもらったお金をポケットにしまうフリをしてアイテムボックスにしまう。

 このお金は本来修理してくれる人を雇うためのお金だが、俺は自分でできるので俺の金となる。

 臨時報酬で割りといい額が手に入った。


 しかし壁か。

 ここの壁はもちろん日本のようなコンクリートなわけもなく、木材の骨組みと魔法で作った土の壁を掛け合わせて作られたものだ。

 つまり何が言いたいかというと、そんな壁の修理なんて俺にとってお茶の子さいさいだということだ。


「古着はシスローネが持っています。自分で取りに行ってください」

「はい。失礼しました」


 部屋を出た俺とスイレンは早速シスローネさんを探しに教会内を散策する。

 そこまで広いわけではないので、割とすぐに見つけることが出来た。

 どうやらシスローネさんは子供達の朝食の準備をしていたようで、食料庫にいた。


「おはよう、シスローネさん」

「あ、ソルト。古着はそこの棚に置いてあるわよ」

「ありがとうございます」


 てかなんでクリアはわざわざシスローネさんに渡したのだろう。

 別に事務室で俺に直接渡してもよかったのに。


「そういえばソルト、あなたはなんで王都に行くの?」

「え?」


 シスローネさんにその話したっけ?

 あ、そういえばクリアと口喧嘩したときシスローネさんもいたな。


「ぼくが王都に行く理由はお金が欲しいからです」

「お金? ソルトは貴族でしょ?」


 いやいや、貴族だからと言ってお金が無限に湧いて来てくれるわけじゃないんだから。

 ましてや辺境に追いやられたヨーベクマ家ですぜ?

 平民に比べたらまだいい暮らしなんだろうけど、貴族で比べたら最底辺に位置するということぐらい有名だろう?

 なのにこういう質問をするということは……


「……もしかしてシスローネさんはぼくが貧乏貴族だと知らないの?」

「貧乏貴族? ……そういえばマザーがそうやって呼んでいたような……」

「ヨーベクマ家って知らないの?」

「ご、ごめんね。私貴族と関わらないから……」


 まぁ、一般平民が辺境に住む貴族のことまで知ってるわけないか。

 知ってるのはせいぜいこの町の領主とそれに密接な関係、あるいは敵対する関係にある貴族ぐらいだろうな。

 しかしそこでシスローネさんは「あっ!」と何かを思い出したようにポンと手を打った。


「貧乏貴族がお嬢様と駆け落ちしたって噂を聞いたことがあった! もしかしてソルト?」


 ここでのお嬢様とは、この町の領主の娘さんのこと。

 それと恋をしているのは俺ではなく……


「それはぼくの二番目の兄さんだよ。しかも駆け落ちまでしてないし」

「ふーん。つまんない」

他人(ひと)の兄の恋で楽しまないでよ」

『お前も楽しんでるだろうが』


 今まで黙っていたスイレンからツッコミが飛んできた。

 俺はいいんだよ。兄弟だからな。


 そういう噂話を好む人ってどっちの味方でもないくせにあっちが悪いこっちが悪いって勝手に決めつけるし、人の気持ちも知らないで尾ひれつけまくって、沢山の人がその時だけ協力したみたいに当人を傷つけるだろ。


 俺は何があっても兄さんの味方だし、人に触れ回ったりはしない。タダ純粋に兄さんの恋愛事情を楽しんでいるのだ。


「ふふ、ごめんね」

「いいよ」


 ここでそんなこと言ったらまた気まずくなってまた沈黙が流れてしまうので今は注意しないがな。


「でも貧乏貴族って言ったって生活に困るほどじゃないでしょう?」

「まぁ、うん。たしかに死ぬほどではないかな」


 でも貴族として暮らすには足りないんだけどね。

 洋服なんて使い回しばっかだし、食事も質素だし、使用人が5人ぐらいしかいないし。

 今の主な収入源は領地にある村二つからの納税と、父さんの普通の仕事、それから狩りで手に入った素材の売買。


 でも自分たちに使えるお金はこのうちの6割ぐらいだ。他の4割は貴族と会う時とか領地経営とかに使っている。

 一応貴族だから貴族と会うときは少しでも綺麗で華麗で豪華な格好や室内にしなくてはいけないのだ。


 貴族がわざわざ辺境のウチまでくることはなかなかないが、だからと言って手を抜くと貴族らしからないと国に報告され、貴族ですらなくなってしまう。


 ヨーベクマ家だけならみんなそれでも良いと割り切るだろうが、ウチにも使用人はいる。貴族という地位を剥奪されたらウチの使用人たちは放浪してしまう。

 ウチの使用人たちのことだ、“私たちも一緒に暮らします”と言ってくるかもしれないけれど……。


 しかしウチが貴族でなくなって困るのは使用人だけではない。

 数は少ないものの、領地には村人たちが生活しているのだ。


 ウチは真面目に領地運営をしているので村人たちが困るようなことはしていない。

 しかしウチが貴族でなくなり、収入が減ると自分たちのことでいっぱいいっぱいで、領地運営なんてできない訳だから、その村人たちは見捨てられるか酷い貴族に高い税金を取られたりして生活が困難になってしまう。


 もし見捨てられたら自給自足で頑張ればいいじゃないかと思うかもしれないが、今まで普通に暮らしてきた村人がそんな簡単にできるようなことではない。

 作物だって年によっては不作なこともあるし、狩りや畜産を今から始めるにしても力や知識が足りない。

 ウチが追放される前に教えてあげれればいいが、毎日忙しい農民たちにそんな余裕はない。


 話がだいぶ逸れてしまったが、シスローネさんの質問「生活に困るほど貧乏ではないんでしょ」の答えとしてベストなのは……


「死ぬほどではないけど、貴族として生活するにはギリギリで暮らしているんだ」

「ふーん。でも暮らせているのなら、まだ幼いあなたが王都で働くこと無いんじゃない?」

「ぼくはぼくのやりたいことのために働くんだよ」


 お金もそうだけど、自分自身を高めるためにも。


「やりたいことって?」

「世界平和」

「え? ……ふふふ、ソルトにも意外に子供っぽいところあるのね。いい夢だと思うわよ」

『コイツは平和じゃなくて征服だがな』


 俺が世界征服したら平和になるって。きっと。多分。

 だって世界中が同じ人の下に付くんだよ? 争いも起こらなくなるって。

 てことは征服も平和も同じでしょ。


『考え方が完全に悪役のそれだな』

「言うな」


 少し俺も思ったが……。


「? 何か言った?」


 スイレンの技で声は聞こえないようにしてあるけど、口が動いたのを見てそう思ったらしい。

 シスローネさんが聞いてきた。


「いや、なんでもないよ」

「そう? でも世界平和なら他の大人がいつかやってくれるわよ。ソルトがやる必要はないんじゃない?」

「“いつか”っていつ?」


 シスローネさんはハッとして、それから少し俯いた。


「このまま待ってるだけじゃきっと平和になんてならない。だから俺がやるしかないんだ」

「凄い……ね」

「そのための第一歩が貴族学校に入ること。そして貴族なのに働く一番の理由はここにある」


 ここで俺は少し口調が変わり始めてしまっていることに気がついた。

 少し咳をしてから立て直す。


「貧乏貴族のウチに貴族学校に入学し通い続けるためのお金はないからね。僕が自分で稼ぐことにしたんだ」

『ものは言いようだな。確か貴族学校に入りたい理由は美味しいご飯のためだっけ?』


 それもないとは言えないけど、今はちゃんとした理由があるし。


「子供っぽいと思ったのは間違いだったのかしら……」

「別に子供の戯言だと思ってくれてもいいよ」

「……そういうとこよねー」


 何故か知らないがシスローネさんに冷たい目を向けられた。

 でもこの様子だと素が出てしまったことはバレてないらしいな。


『お前は初日、キレたときに素の喋りを見せてるけどな』


 そんなこともあったような……。

 ……きっとシスローネさんも気のせいだって思ってるよ。


「それじゃあぼくは壁の修復してくれる人を探してくるね」

「ええ。頑張って」

「お昼前には全員ここから連れて出て行ってね」


 俺は古着を持って部屋を出た。


 *


 さて、仕事の時間だ。

 さっきも言った通りこっちの世界の壁は簡単にできている。

 だから修理も難しいものではない。

 それなのに修理を頼まない理由はこの建物の壁、実は高度な魔法使いじゃないと失敗してしまう可能性が高いのだ。


 土魔法で普通のソイルウォールは難しいものでもなく初級だが、建物の壁となると骨組みの木材が壁の中や間に入ってくるため、ただ土を盛り上げるだけのソイルウォールじゃできないのだ。

 なので修理も難しい。

 建物の構造をしっかりと把握し、間違えても壁の土を減らしてしまったり、大切な木材を傷付けるようなことはしてはならない。


 しかし俺がそんな失敗をするわけがない。

 すぐに済むことなのでさっさとやりたいが、中に人がいるのでそうもいかない。

 みんなが外に出てくるまで待たなくては。


「ソルト!」


 声をかけられ、そちらを見るとそこにはフルリアちゃんが立っていた。


「やあ。例のものだね。はいどうぞ」

「ありがとう!」


 フルリアちゃんぱぁぁと顔を輝かせて超級魔道書を受け取り、屋内へと向かって行った。


「お前、あんな高いもの持ってたか?」

「うぉ、スイレンいたんだ」

「だから酷い⁉︎」


 冗談だって。

 シスローネさんといる時までは一緒にいたこと知ってるから。


「それで超級魔道書だっけ? そんな高いもの俺が持ってるわけないだろう」

「まさか買ったのか⁉︎」

「そんなわけないでしょ」


 俺の今持つ全財産をはたけば一応買えないこともないが、そんな勿体ないことするわけないだろ。


「じゃあ偽物か?」

「それも違う……いや、そうでもないのか?」

「お前、そんなエセ物を渡すなんて……やはり我だけに酷いことをするわけじゃなかったんだな」


 何故そこでニヤニヤしているんだお前は。

 それに……


「別に酷いことはしていない。あれは俺が一晩かけて書いたんだ」

「書いた⁉︎」

「おう。だから今日はほんと寝不足で……」


しかもワールドライブラリーで見たやつより分かりやすく直してな。

でもおかげで[達筆][無睡][模写]というスキルを手に入れられて嬉しかった。

最後の改善はどういう場面で使うかわからないけど。


「その優しさと努力の1割でも我に――」

「ヤダ」


 泣き出すスイレンはほっといて、みんなが外出に行くのを日向ぼっこして待つとしようか。

読んでくださりありがとうございます。

今回はどうでしたか?


先週は投稿出来ず、すいませんでした。

最近忙しくなって来て、小説書ける時間が少ししかなくなってきちゃいました。

もしかしたらまた投稿出来ない週が出てしまうかも知れませんが、ご了承ください。


2作品投稿やめろよと思う方もいるかも知れませんが、もう片方は書きたいこと書きたいように書いて、こっちの息抜きとしてやらせてもらっているのでやめたくありません。

ブックマーク数や読んでくださる方は少ないですが、自分の趣味で書いていますが、面白い作品にしているつもりです。

下に貼っとくので、少しでも興味を持ったら読んでみてください。

https://ncode.syosetu.com/n4420fk/


今回の話「面白い」「続きはよ!」「2週間待った甲斐があったわ」そう思ってくださった方は下のブックマークと評価ボタンをクリックお願いします。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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