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転生!貧乏貴族の下剋上物語  作者: かめねこ
第一章 タイゼック家の使用人
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第41話 牧師!雇ってくれますよね

「それで? なんの用?」


 からかったらシスターさんとっても不機嫌になってしまいました。

 当たり前だけどね。


「......まず確認ですけど、ここって教会で合ってますか?」

「ええ。こんなにボロボロではあるけど、一応教会ね」

「うん。じゃあここの一番偉い人出してもらえます?」

「マザー・クリアね? 何故?」


 シスターさんは訝しむような目で、こちらを観察してくる。

 まあ急に来た5歳児がトップを出せと言ってきたらそりゃ怪しく見えるよな。

 一応、弱冠睨む感じで向けられる目にニコリと笑って返す。だってぜんぜん恐くないし、むしろちょっと不機嫌な優しい先生って感じでかわいい。


「はぅっ!? そ、そんな良い笑顔見せたって負けるわけには......」


 なんの勝ち負けか知らんけど、このまま押し通せば何故か心を許してくれる気がする。

 一歩近づいて目をまん丸にし、見上げる感じで


「おねぇさん、クリアさんに会わせ――」

「いいわ」


 即決!?

 やった俺が言うのもなんだけどそれで良いのだろうか......。


   *


 結局本当に教会に入れてもらい、子供たちのいる食堂の先に通された。

 シスターさんは扉の前にたち、コンコンと良い音でノックをする。


「失礼します」


 といいながら遠慮なくドアを開けて入っていくシスターさん。

 一応上司の部屋だよな。まぁ、俺も遠慮しないけど。


「良いですが、いつも言っているでしょう? ノックは3回ですよ」

「良いじゃないですか。私とマザー・クリアの仲でしょ?」

「そういう問題じゃないですから」

「じゃあどういう問題です?」

「だから、ノック2回はトイレの時――」

「そんなことよりマザーにお客様です」

「聞きなさい!」

『......なんだこのコント』


 スイレンがこのやり取りに、わざわざ[幻覚]を使ってまで感想を呟く。が、俺も同じ気持ちではある。

 でも仲が良いのは伝わってきた。あと、シスターさんは醸し(かも)出す包容力のオーラの割に、結構お茶目で若い感じがするな。


「はぁ......。お見苦しい所を失礼いたしました。して、本日は何用でございましょう」


 この慣れた感じ。いつもこんな感じなのかな。


「初めまして。ぼくはヨーベクマ家の三男、ソルト=ヨーベクマと申します」

「え! 貴族様!?」

「......貧乏貴族様がこの教会にどんなご用で?」


 シスターさんは驚いているが、クリアさんは落ち着いている。服装から貴族ってわかるからな。気づかないシスターさんが抜けてるのだ。

 というか......


「いいの? こっち一応貴族なんだけど、そんな喧嘩を売るような言葉言って」


 普通の貴族なら即、罰を与えると思うんだよね。

 俺は優しいからそんなに沸点低くないけどね?


「教会は国でさえ手を出せない施設です。貴族からの介入は認められておりませんし、もし手を出したら他方の国々と協力をしてまでその貴族を消せる準備がございます」

「だからってウチの家族を馬鹿にする言葉は許容できないね。第一、教会ではなく一個人なら貴族でも手は出せる」

「いえ、私はこれでも牧師の地位につかせてもらっています。私の損失は我々のトメカリム教の本部にも伝わり、喧嘩を売ったと判断されるでしょう」


 トメカリム教。それがここの教会が信教している宗教だ。

 この宗教は全国どころか人が治める国ならほぼすべての国が信仰している。

 役職を貰えるのは、光属性の適性があることと多少の礼儀がなっていることの2つの条件に当てはまる人だけだ。

 これでも光属性は魔力属性の中でもレアなので枠は絞られるのだが、それでも今は約1万の人がこのトメカリム教で役職をもらっている。数字だけだと多いように感じるが、最近は人手不足になっているというから規模の大きさがわかるだろう。


 それと、牧師と言えば男性のイメージがあるかも知れないが、このトメカリム宗教は男性より女性の方が強い権力を持つ傾向がある。

 これは宗教のトップである教皇は昔で言う巫女の位置だったので、今まで女性しか就いたことがないのが大きな原因である。

 ついでに言うと、教会での序列は下から助祭、司祭、司教、大司教、枢機卿、教皇である。


「そうかな? 確かにあなたは高い地位にいるかも知れないけど、やりようはいくらでもあるでしょ? 例えば単純にウチがやったとバレないようにするとか」

「無理ですね。他の国が関わる以上この国が危険を回避すべくなにがなんでもあなたを犯人に仕立て上げるでしょう」

「なら正当な理由を用意するとか?」

「それならできないこともありませんが、すべての国と教会が納得できる理由とは? もし無理やり用意できてもすぐにバレるでしょう」

「............」

「............」


 俺とクリアはしばらくお互いの目を見つめ合う。1分も経っていないが先に根負けしたのは俺の方だった。


「ふっ......――ははははっ! 小さな子供に正論かまして、論破とか大人気(おとなげ)ないなぁ!」

「............なんですか。いきなり」


 本当は世界が納得できる理由も作れるし、それが無理やりじゃなくつくることもできる。

 けど今は別に良い。


「いいよいいよ。許してあげる」

「............」

「......けどね――」


 笑顔を消して俺は良い放つ。


「俺の家族を馬鹿にしたら次は容赦しない」

「「「っ!!?」」」


 クリアだけじゃなく、規模の大きな口喧嘩についていけなくて傍観を決めこんでいたシスターさんまでも息を詰まらせた。

 ついでにスイレンも。いや、おい。お前元森の主だろ?子供の威圧に負けるなよ。


 俺はフッと身体の力を抜き、口調を戻した。


「......まったく。こんなこと言いに来たわけじゃないんだけど。ぼくはちゃんとした用があって来たんだよ。聞いてくれるよね?」

「............」


 クリアは答えないが肯定したということにして進めよう。


「ぼくは今日ここに雇ってもらいにきたんだ」

「......何を言っているのですか? それなら本部に......」

「いや、違う違う。ぼくは王都に行くための馬車を待っているんだ。できれば信用できる御者のね。そのためには少しここにとどまって馬車の一つ一つを見極めなければいけないでしょ? その間の小遣い稼ぎっていうか暇潰しっていうか、まぁそんな職場が欲しかったんだよ」


 実際高額な金を持っている俺はここで働かなくても数ヶ月以上は滞在できる。

 でもただただ馬車を待って探して観察してってだけはつまらないじゃないか。

 どっちかというと暇潰しの色が強いが、もちろんお金を貰えるならもらいたい。


「なら別にここでなくても」

「いま教会は人手不足なんでしょ?」


 だからここも細かい所まで気が回らなくてボロボロ。

 子供を預かる施設がそんなんじゃ衛生的に問題がある。

 しかもボロボロだから町行く人々は見てみぬフリをする人ばかり。

 たまに憐れんで寄付金をくれる人もいるけど、そんなんじゃぜんぜん足りない。

 でも熱狂的信者のいないこの町ではそんなものだろう。


「雑用でも良いからさ、高い賃金で雇ってよ」

「......雑用で良いのですか? なのでしたら雇うこと事態は拒否しませんが、見ての通りこんな教会が高い賃金を払うことができると思っているのですか? そこらの宿や飲食店の方が良いと思いますからここからさっさと出ていってください」

「言質とったよ。じゃあ高くなくていいや。雇うこと事態は拒否しないんでしょ?お願いしますね」

「そういうっ......!?」


 はい勝った~。

 俺のことを子供だとおもって嘗めたら痛い目見るぜ。


   *


 その後雇用契約は無事完了。

 仕事内容は主に言われたことをやれ、だ。

 休みの日はいらないから休み時間を多くしてもらい、馬車探しも毎日できるようにした。


 そして今は教会の礼拝所に来ている。


「やり方は簡単でございましてね」

「............」

「両手を重ねまして片膝をつくでございます」

「............」

「そして目をお閉じになって祈られるのでございます。どうしましたでございます。さっさと――」

「ねぇ、シスローネさん、そのしゃべり方何?」


 そうだ、シスターさんの名前はシスローネさんらしい。


「お、おかしいでございますか? す、すいませんでございます」

「......うん。普通でいいけど、そんな畏ま(かしこ)る必要ないから」

「え、でも貴族様」

「いや、今はただのアルバイトだよ。逆にうざいから戻して」

「......はい。じゃあ礼拝して?」


 急にタメ語もどうかと思うけど、まぁいいか。

 えーと手を組んで片膝ついて目を瞑って............――――。


   *


『やっほー。もう目を開けてもいいよ~』


 む? この男の子とも女の子ともとれて、小学生にも高校生にも思える特徴的な声は......


「神様!」

『久しぶりー。どう? あっちの世界は楽しい?』

「お久しぶりです。お陰様で新しい家族とも仲良くやれていますよ」


 相変わらず姿は見えない。

 ひたすら白い無な空間に俺がいるだけ。

 これは礼拝をしたからこうなったと考えて良いのだろうか。


『そうそう。それで良いんだよ。それはともかくこっちから覗かせてもらっていたけど、君結構自重してるよね』

「まぁ。でも扱い切れていないというのもありますけど」

『ああ、そうだね。でもぼくは君に自重して欲しくないんだ』

「大丈夫ですよ。すでに楽しいので。世界に影響でるほどの活動はしなくても......」

『いや、違くてね? むしろ自重しないでくださいってお願いしたいんだよ』

「?」


 どういうことだ?

 自重しないでくださいなんてなかなか聞かない言葉だな。


『理由は単純だよ。僕がつまらないから』

「はい?」

『嫌ね? 今この世界はとてもつまらないだろ?』


 つまらないだろと言われても、俺は楽しいからなんとも言えない。


『見ているこっちはつまらないの! もっともっと楽しいことしてよ! いっそのことこの世界を手に入れちゃって?』


 この神様はいったい何を言っているのだろう。

 世界を手に? 世界征服? それこそ面倒くさくてつまらないんだが。


『だって他に面白いことある!? ないよね! じゃあお願い!』

「んな無理矢理な!?」

『わかった、じゃあこうしよう。国を1つ落とす毎に(ごと)願いを1つ聞いてあげる』

「え、何でも?」

『うん、なんでもだよ』


 何でもか。

 でも何をお願いすれば良いんだ? 別に欲しいものないし......。


『無欲な奴はモテないぞ』

「なんだよそれ」

『でも欲しいものはその時に出てくるでしょ。だからさ、お願いだよ。今の魔王は平和主義だし、勇者はチートを活かせてないし、もう君しか居ないんだ!』

「............」


 ここまでお願いされるとな............。

 まぁ別に目標とかもなかったしやってもいいかな。


『ホントだね!? ありがと!』

「ただし何年かかるかわかりませんよ?」

『できるだけ早くね! 期待してるから! 景気付けにこれあげるからそれじゃあ!』

「それじゃ、また」



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