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転生!貧乏貴族の下剋上物語  作者: かめねこ
第一章 タイゼック家の使用人
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第39話 送迎!いって来ます

先週は投稿できなく、本当にすいません!

書き置きも尽きてしまったので、これからも何回か起こってしまうかもしれませんが、皆様の寛大お心でどうかお許しください。


なんとなく調子が戻ったら新しい作品を投稿して見ようと思っています。

ジャンルは異世界チートですが、この作品とは大分毛色が異なる予定です。......あくまで予定ですが。

楽しみにしていて下さい!


では39話スタートです!



 一時的に帰って来てから2日、母さんにはしっかり怒られたし、スイレンもバッチリ回収したので予定通り出発しようと玄関でみんなに見送ってもらっていた。


「もう行ってしまうのですかソルトおにいさま!?」

「ああ。あんまりゆっくりしてられないからね」

「もっとゆっくりしてくださいよ!」


 まだ朝早いので目を擦りながら出てきたカライヤだったが、俺が旅立つと知って、この前と同じように抱き締めて引き留めに来た。今回はまだ泣いてはいないが今にも泣きそうな表情になってる。


「ごめんね、それはできないや。ぼくもやらなくちゃいけないことができたから」

「うぅ............わかりました。誕生日は必ず帰ってきてくださいね」

「うん。必ず来るよ」


 でも今回は泣かないようだ。その代わりと言わんばかりに俺に全力でハグして、服に顔を押し付けて来る。

 こういう可愛い妹の姿を見てたら覚悟が崩れてしまいそうだ。


「......カライヤ、そろそろいくよ」

「スゥゥゥゥ――。おにいさまの匂い忘れない......」

「............」


 うん? カライヤが今何か言ったか?

 難聴ではないし、[盗聴]スキルも持ってるけど、何にも聞こえなかったな。


「なぁ、お前の妹なんか危険じゃ......」

「は? 俺の妹が何か?」

「いや、なんか凄い勢いでお前の匂いを――」

「黙って。殺すよ?」

「理不尽っ!?」


 スイレンが俺にだけ聞こえるように聞いて来たから、俺も周りに聞こえないように答えた。

 みんなからしたら昨日は居なかったハズなのに何故か俺のそばにいるキツネだが、優しくふれ合ってくれた。むしろ無遠慮でモフモフしていた。仲が良いみたいで何よりだ。


「ソルト~、何で私の上げた指輪着けてないのよ~」


 まるでスイレンと話し終わるのを見計らったかのようなタイミングで姉さんが話しかけてきた。


「いや、あれは大きくてはめられないじゃん」

「ネックレスにして着けなさいよ。そうすれば寂しくないでしょ?」

「......わかった。後でしておくよ」


 もうそろいかないと......。

 でも最後に話さなければいけないことがある。


「クイキ、君はこれからどうするの?」

「......お邪魔し続けるのも悪い。......そろそろ出ていく」


 本当は遠慮なんてしないであと1ヶ月ぐらい居て良いのに。

 クイキには沢山助けて貰い、返しきれていない恩が沢山ある。


「いく宛は?」

「......無い。......けど村とか町とかでその日暮らしで働く」


 働き手だって確定してる訳じゃなかろうに。

 村でも町でもこんな小さな子供を雇ってくれる場所なんてそうそうないだろう。

 あったとしても辛くなるのは目に見えている。


「それならさ、ぼくと一緒にこない?」

「......いいの?」

「なら私も!!」


 クイキに俺とついてくることを進めたらカライヤが話に入ってきた。


「ダメだよ。カライヤはまだ小さい。それに貴族のお嬢様が街で働きたいなら、まずお嬢様らしくならないと」

「......わかりました。おにいさま、お嬢様らしくなったら連れて行ってくださいね!」

「え」

「くださいね!」

「う、うん」


 お嬢様らしくなったら庶民街で働くなんて考えられなくなるとおもうけど。

 一応ウチは兄さん姉さんが庶民学校卒業生だから、貴族じゃない人たちを差別とかしないけど、それでもさすがに平民と働くとは考えない。

 それは貴族には貴族の仕事があるからだ。


 自分の領地を(おさ)めたり、上から回ってくる面倒事を対処したり、色々と貴族にも仕事がある。

 上の方の公爵家とかならほとんどの仕事を下に回すからのんびりできるけど、(士爵を除いたら)最低地位に居るウチなんてもう面倒事がどしどしくるよ。どしどし。

 そんなの聞いたら貴族の仕事を覚えようと頑張るでしょ。


 まぁ、俺は街で働くんだけどね。

 でも俺は例外中の例外。前世の記憶があるから面倒事なんてパパッと片付けれる......と思う。

 前に父さんに面倒事のあれこれを軽く教えて貰ったけど、とりあえず書類に目を通して、対策案やら妥当案やら提案してみて採用されたら報酬貰えるよラッキー、されなかったら評価がさがるよドンマイ、って感じらしい。

 それ以外にも色々あるけど、ほとんどが収入に繋がらないし、ほぼパターン化してくるものだから処理する胆力があればそれで良いらしい。


 だから俺は胆力ならすでに持ち合わせてるから別に今学ぶ必要も無いかな~って。

 家族も貴族学校いくなら今すぐ教える必要も無いかと感じているらしい。その代わりもし貴族学校いけなかったらそこから数年間、遊ぶ暇もなくなるぐらいキツキツな教育プランが用意されている。


 閑話休題。

 今はそれよりクイキの事だ。


「どうかな? 一緒に来ない?」

「......さすがにそこまでしてもらうのは悪い」

「いやいや、逆だよ逆。おr――ぼくを助けて欲しいんだ」


 あぶね。またクセで俺って言いそうになった。もうあんなことは嫌だからな。うぅ思い出しただけで震えが......。

 それはともかくクイキは何故俺についてくるのが助けになるのかわかってないようだ。

 俺はクイキを引き寄せて小さな声で話す。


「クイキの[鑑定の目(ディサーニングアイ)]が欲しいんだ」

「!」


 そう、恥ずかしながら俺はレアスキルである[鑑定の目]を覚えられなかったのだ。

 なんとなく異世界ものの定番であるゲームのようにボードが出てくることをイメージして練習したが、どうやらこの世界はそんな感じじゃないらしい。

 クイキも意識したら自然とわかるって言ってたからなんか違う気はしていたけど、やはり違ったようだ。


「クイキがついてくればぼくも凄い助かるからさ」

「............そういうことなら。......よろしく」

「うん。よろしくね。それじゃあそろそろ――」

「お待ち下さいソルト様」


 クイキのことも決まったことだし、ようやく外に出れると思ったらサラヌギに止められた。


「なに?」

「クイキ様をお連れとしたいのですね?」

「そうだけど......」

「ならばクイキ様も貴族と共にいても恥ずかしくないようにしなくてはなりません」


 え、めんどくさいんだけど。

 クイキはこれでいいんだよ。俺がクイキに数え切れない恩があるんだから。

 だってあれだろ? 相応(ふさわ)しくってことはサラヌギのスーパー教育指導だろ?


「一年で構いません。クイキに必要最低限のマナーを教える期間をください」

「いいよ。どうせ街なんだかr――」

「なりません。ソルト様のお付きの者が程度の低い者だとヨーベクマ家が()められてしまいます」


 うっ......。

 俺だけなら別によかったけど、家族ごと嘗められると言われると嫌だな。

 でも一年でマナーを教えるってだいぶ辛いと思うんだけど。


「でも、クイキだって意味もなくマナーで時間を削られるのは嫌だろう?」

「......私はソルトに相応しくなりたい」

「え......」

「......私の所為でソルトに、この家に迷惑かけたくない。......ソルトが一年待ってくれるならマナーを学ばせて欲しい」

「そっか。ありがとう」


 そうやってクイキが俺や俺の家族を想ってくれるのは嬉しいな。

 自分の為じゃなくて俺の為にやらせてくれと言っているのに断れる訳ないだろ。


「じゃあお願いしてもいいかな?」

「はい。一年後、引き取りにお帰りください」

「それじゃ今度こそ本当に行かないと。イルマ兄さんお願いね」


 なんと今回はイルマ兄さんが俺を送ってくれるのだ。

 なんでもイルマ兄さんが今、町にいる同じ準男爵の娘と恋しているだとか。

 ウチは辺境の地が領地だから村しかないけど、その子はなんとその町を経営している家の娘らしい。


 同じ爵位ではあるが、評判や権力は天と地の差。

 兄さんの片想いとかではなく、当人同士は普通に恋をしているが、あっちの親はこの恋愛に超反対なんだと。

 まぁ、あっちからしたら評判悪い上に何の利益も生まないここと結婚という繋がりができても嬉しくはないよな。しかも愛する娘なら尚更もっと良いところと結婚させてあげたいはず。


 でも娘さんは政略結婚が大嫌いのようで、今まで何回誘われても一目会うだけで断っていたらしい。

 娘さん曰く、ビビって来る運命の人と付き合いたいですとのこと。それがたまたまパーティーで出会ったイルマ兄さんだったし、兄さんもまた何か感じたんだってさ。

 だから今兄さんは何か向こうの親に認めて貰えるようなことを頑張って作ろうと必死になっている。

 二年前までなんか大切な人を作らないなんて言っていたような気もするけど、兄さんが幸せならそれでいいか。兄さんもともと騎士で名を上げようと頑張っていたから凄い強いし、認められるのにそんなに時間かからないだろう。


 で、今日がたまたま月に一度の密会の日だったから俺も一緒に行かせてもらうことになった。

 さすがに町の手前までだけど知り合いと一緒に行けるのは安心できる。

 馬を使って、途中途中にある他の町で宿に泊まったりしながら片道3日。

 さすがに俺1人じゃ怖かったから、ありがたい。


「そうだね。それじゃあいくよ」

「行って来ます」

「「「行ってらっしゃい」」」


 ようやく玄関から出た俺等はイリアムが用意してくれている馬に向かう。

 色は茶色と無難だが、キレイでサラサラな鬣は(たてがみ)ソレが貴族の所有する馬なのだと主張している。


「こいつは俺の相棒のホースだ」

「え? なんて?」


 気のせいか? 今馬のことを英語でよばなかった?


「だから相棒のホースだ」

「そ、そうなんだ」


 なんて安直な......。

 いや、たまたまだとは思うけどね? こっちに英語なんてあるわけないし。

 ただとても覚え易い名前だな、と思ってね。

 そんな風に思慮していると兄さんが馬に跨がりながら言った。


「よっと。......ちなみにホースはクロトカル語で“馬”って意味だぞ」

「結局安直なんだね......」


 性格は相変わらず大雑把というか拘らないというか。

 というか[完全言語理解]って名前かどうかも判断してくれるんだね。

 さすがチートだな。


「わ......っ」


 とか思っているうちに兄さんに引っ張り上げられて、馬――もといホースの上に跨がる。

 ......馬の横幅って以外に大きいね。

 これは長く乗っていると股関節が痛くなりそうだな。


「それじゃ出発するよ」

「うん!」


 俺とイルマ兄さんとホースは町に向かって歩き始めた。


「おい!(われ)を忘れるな!」


 ......ついでに後ろから走ってきたスイレンも。

読んでくださりありがとうございます。

まさか見送りだけで一話使うとは思ってなかった......。

安心してください。町から街について少ししたら話がこれまでが嘘のようにガンガン進むと思います。

「面白い」「もっと読みたい!」「更新はよせい」と思う方は下にあるブックマークと評価ボタンをお願いします。

これからもこの作品をよろしくお願いします!

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