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転生!貧乏貴族の下剋上物語  作者: かめねこ
第一章 タイゼック家の使用人
40/56

第38話 怒気!我が家は母さんに勝てないです

第二章へと入りました!

これも多くの方の応援があったからです!

本当にありがとうございます!そしてこれからもよろしくお願いします!


ちなみに割り込み投稿で一章の最後を入れておいたのですが気がつきましたか?

見てない方は是非見てみてください。

 とりあえず引き取ることになったウキリを家に置く為に俺とウキリとクイキは俺の家に来ていた。


「なんでクイキもついて来てんの?」


 ラリアと別れるときは話の流れでクイキも旅の仲間見たいになっていたけど、実際はクイキのその後を知らなかった。

 だいぶ自然に俺らについて来るから何も疑問に感じていなかったが、家の前に着いたときに俺らと一緒に並ぶクイキを見て「はて、何故クイキがここに?」とやっと感じたのだ。


「......だめ?」

「いや、別にいいけど。もしかして行くあてがないの?」


 クイキは小さく頷いた。

 そうか。ならもう1人増える可能性があると思ってた方がいいかもな。

 そうこうしていると屋敷の方からメイドのサラヌギがやって来た。


「お帰りなさいませ。ソルト様」

「うん。ただいま。とりあえず家に案内して貰える? ちなみに今日はみんないる?」

「はい。ご家族皆様集まっております」


 俺はサラヌギの案内について行こうとするが、クイキとウキリがその場から動かない。


「どうしたの?」

「い、いえ。あなたもちゃんと貴族だったんだなぁと」


 なんだよ。失礼な奴だな。


「......ソルト様、もしかしてこの子が例のウキリですか?」

「そうだよ」


 あ、どうやらサラヌギもそこに引っ掛かったらしい。


「ウキリ、あなたはこの家の使用人になったのです。この方はあなたではなくソルト様と呼びなさい。それに、ソルト様はちゃんとした貴族です。あまり無礼な態度をしない方が身のためですよ?」

「は、はい......」

「もっとハキハキとなさい!」

「はいぃっ!」


 早速洗礼を受けてるな。


「はぁ......ソルト様、本当にこのメイドを雇うのですか?」

「うん。でもこんな感じでまだまだだからサラヌギがいろいろと教えて上げて。せめて玄関におけるぐらいには」

「つまり私たち並みに仕上げろと......わかりました。ソルト様の入学までには完成させましょう」

「よろしく」


 よしよし。

 ウキリの努力にもよるが、サラヌギがそういうならどうにかしてくれるのだろう。

 美人は近くにいて欲しいからな。もしウキリが良いって言うなら貴族学校の世話係として連れていきたい。

 目の保養にもなるし、美人な使用人は貴族の大事なステータスの1つだしね。


「あ、そうそうこの子はクイキ。今は客人として扱ってね」

「かしこまりました」

「......客人?」

「うん。まだこれからどうするか決まってないんでしょ? だいたいの進路が決定するまでウチにいなよ」

「......わかった。......ありがと」


 クイキは相変わらずの微表情で嬉しそうに頷いた。

 そんなやり取りを終え、やっとサラヌギに付いていって屋敷の目の前に着く。


 どうやら玄関で家族6人全員集まっているっぽいな。

 サラヌギに屋敷の扉を開けてもらい、中に入ると歓迎の声が響いた。


「「「お帰りなさい!!」」」

「うん。ただいま」


 全員でお出迎えする必要ないのに。

 うん。みんな元気そうだ。......んー......。もしかしたら俺の勝手な契約に怒っていたり、心配してやつれていたり少しぐらいはしてると思ったけど......そんなことなかった。


「あんまり驚かないな」

「うん」


 [世界地図]スキルでみんながすぐそこにいること知ってたからね。


「みんな元気そうで何よりだよ」

「一週間じゃ変わらないわよ」

「母さん......ねぇ、勝手に契約したこと怒ってないの?」


 一応怒られる覚悟と自分の意見を貫き通す申し開きの言葉は用意してきたんだけどな。

 昔から勝手に命の危なくなるようなことをしては怒られていた。

 でも俺からしたら全然命の危機じゃならなかったから、あんまり反省してなかったけど。


 一応家族に心配をかけるようなことはほとんどないようにしてる。この前のトゥアベアが妹のカライヤを襲った大きな事件も、このぐらいの強い敵と遭遇したことさえ初めてだった。

 しかもカライヤを巻き込み、先にカライヤが家に戻って家族に報告するというおまけ付き。俺だけなら事後報告で心配も少なかったのだが、こればかりは家族も心配してしまうだろう。


 こんな例外もあったが基本は心配じゃなくて危険なことをするなという警告のみ。

 しかし今回は詳しい内容を知らずに、俺が文字通り命をかけて契約をしたという情報だけが伝わって来た。だからみんな、特に母さんがもっと心配してたりしてると思ったのだが。


「怒ってない? 何を言ってるのかしら?」

「え――」

「私は今、物凄く怒っているわよ? 客人の前だから怒れないだけ。後でゆっくりとお話ししましょうね?」


 ははは......。

 笑顔だけどすごい怒気が感じるよぅ。怒気が具現化して母さんの後ろに水龍が見える......。

 あれ、俺は[精神強化]スキル持って無かったけ? 物凄く怖いよ?


「それは今は置いておいて――その二人は?」


 俺が母さんの迫力に戦慄としていると姉さんが聞いてきた。


「ああ、こっちの美人さんがウキリで、小さいのがクイキ。クイキは客人だよ」

「ふぅん。この子があのクイキね......確かに綺麗ではあるけど......ソルトと釣り合うようには見えないわね」

「まぁこれからだよ」


 勿論この釣り合うっていうのは主従の関係でってことだ。

 ウキリはいじめられていたからちゃんと教育されて無かったようだし、俺のそばに置くかどうかはもう少し後で決めても遅くないだろう。


「私の方が美人だしね!」

「......」


 張り合うなよ。

 しかも人によってはその通りだから質が(たち)悪い。


 ウキリは少し危なっかしいところが愛嬌の清楚系の美人。

 姉さんは女子高生でできるグループのリーダー的な感じの美人。

 どちらも顔は平均を軽く越えるから、人の好みによってははっきりとどちらが好きと言える。


 ちなみに俺はどちらでもない。

 姉さんは家族だからそういう目で見れないし、ウキリも好きかと聞かれたらうーんって感じ。

 まぁ俺がまだ子供だからって言うのもあるのかもな。まだ女の人に対してそういう目では見れない。


 もう1つちなみに、この世界じゃ親近相愛はそこまで珍しくない。

 普通にあるとは言えないけど、もし近所にバレたとしても「あら、そうだったの?」ぐらいで済んでしまう。

 日本では親近相愛でできてしまった子供は何かしらの障害を持ってしまうことがあるが、こっちではそういうことは全くない。神様の影響かな?

 うんまぁそんな訳で姉さんをそういう目で見ないのも今だけの可能性がある。だって美人だし。コロッと落とされることもあるわけで......。

 ............その場の勢いになってしまわないように精神を鍛えておこう。そうしよう。


「それと......クイキさん? あなたはソルトお兄様の何なのですか?」


 今度はカライヤからクイキに質問がきた。

 ? カライヤ1週間でだいぶ大人びたような......気のせいか? 元から聡明な妹ではあったけど、それでも妹らしく俺の後ろをついて回っていたのに、なんか凄い大人っぽい。

 でも腰に手を当ててクイキを見上げながら怒っている姿はまだ年相応に見える。


「......パートナー」

「パートナー......それは恋愛上でのという意味ですか?」

「............そうなの?......ソルトと私は恋愛上のパートナー?」

「仕事上だろ」

「『だろ』?」


 あ、やべ......クイキに答える時の癖で素に戻っちゃった。

 そしてそれに母さんが突っかかった。


「ソルトは1週間で口も悪くなってしまったようね。ふふふ、今すぐにお話ししましょうか」

「いや、違うんだって! これはつい――」

「つい? つい、自然と汚い言葉が出てしまう様になってしまったのね? なおさら治さないと......」

「ど、どうやって......?」

「うふふ。大丈夫大丈夫」


 一体何が大丈夫なの?

 またもや見える水龍の不気味な笑顔に身震いがします。

 母さんわかってる? 怒られてないハズの兄さん二人まで笑顔がひきつって膝下ガクガクしてるよ?

 兄弟揃って母さんには勝てないらしい。


「まぁそれは後でにして、ソルトお前はこれからどうするんだ? まさかもう出発するって訳ではないだろう?」

「う、うん。少しここで休んでから出発しようかと思ってる」


 え?後で? 止めたり庇ったりしてくれないの? 俺の父さんでしょ?

 あ、父さんも手あせ凄い。なるほど父さんも本気で怒られたことがあるんですね。


「そうか。確か小さな町で働きながら街へ向かう馬車を待つんだったか?」

「そうだよ。多分明後日にここをでるからさ」

「やめる気は無いんだな?」

「うん」

「わかった。そろそろ夕食の時間だ。今日はソルトが久しぶりに帰ってきたからみんなで食べよう」

「その後は私の部屋に来なさいソルト」

「うぅ」


 夕食ではウキリ、クイキを含めたみんなでこの1週間に起きたことを談笑しあった。

 ウキリを引き取った理由もそこで話したらみんなは同情して、これからは大丈夫と安心させていた。


「じゃあ母さん、ウキリを引き取るのはしょうがなかったということでお話し合いは無しに......」

「それはそれ、これはこれです。それに勝手にヨーベクマ家の紋章とこの人の名前を使ったこともあるでしょう?」

「はいすいません......」


 許してくれないようだ。

 まぁ悪いのは俺なんだけどね?

 途中ウキリが俺にこっそり聞いてきた。


「あの、ソルト......様の家っていつもこんな感じなんですか?」


 おそらく使用人と貴族が一緒に食べていることを言ってるのだろう。

 もしくは楽しく食事していることか? 貴族は静かに音を立てずに食べるのが基本だからな。


「勿論部外者が来たら違うよ? でも普段はこうやって楽しく食べるのがヨーベクマ家だよ。今回は一応クイキという客人がいるけど、俺の友達みたいなものだからね」

「そう......ですか。私、ここにいる皆さんの笑顔を支えられるように頑張ります」


 おお、心強い言葉が聞こえたぞ。

 頑張ってもらおう。


 そして俺も頑張らないと......。

 お金の件もそうだけど、それだけじゃなくてこの1週間で課題が見つかったからな。

 俺はチートを扱い切れずにいる。

 本当ならあのゴーレムだって瞬殺できていたハズなのにあんなにピンチになってしまった。

 俺はもっと強くなりたい。いや、このヨーベクマ家を守る為にも強くならなくちゃいけない。

 その為に街で働く職業も目安を付けてはいる。

 期間はウキリと同じ学校に入学するまで。絶対に仕上げて見せる。


 俺が決意を改めているとクイキが肩を叩いて来た。


「どうした?」

「......ソルト......そういえばスイレンちゃんは?」

「あ」


 忘れてた。引き取りにいかないと......。

読んでくださりありがとうございます!

ヨーベクマ家でも一番強いのは母ですね。実はソルトのお母さん――......いえ、やはりこれはまだ秘密です。

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それらを励みに1週間頑張って生きていこうと思います。え?作品の方を頑張れ? そうします......。

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