第30話 拘束!またですか...
どうもかめねこです!
嬉しいことにこの作品のブックマーク件数が100件に到達しました!!
作者の方の都合で投稿が週1になってしまいましたが、地道にちょっとずつ増えていってくれて、本当にありがたいです。
今、ブックマーク100件記念の話を考えています。まぁ、本編ともこの100という数字にも関係しない話になるとは思いますけど、閑話みたいな感じで楽しんでくれれば幸いです。
これからもこの作品がより良いものになるよう頑張りますので、この作品をよろしくお願いします!
では本編スタートです!!
件の場所に来てみると地下に進むスロープは既に開いていた。
前回は油断してしまい俺は大丈夫だったものの、結果的にはスイレンが連れ去られてしまった。
今回こそは油断大敵の精神を心に入れて罠にかかろうか。
俺は[亜空間収納箱・無限]からウルセリアを取り出す。
その身に思い知らせてやろう。罠で捕まった獅子と、自分から罠にかかる狐なら、どっちの方が恐ろしく危ないのかを。
*
中に入るとクイキとウキリが背中合わせでお縄にかかっていた。口には俺の時と同じように猿轡をされている。
2人はこちらに気がつくと前者は安心したように、後者は心配したような表情になった。
「んーー!!」
ウキリの方が何かを伝えようとしてきた。
言おうとした言葉はわからないが言わんとすることはわかる。
後ろから誰かが襲って来たのだろう?
「ふっ!」
敵にも味方にも極力知られたくないので、技を使わずにそれを対応する。キンッと俺は相手の剣を弾き飛ばした。その勢いで相手は尻餅をついた。
さぁ、敵は誰だ。メイド長か、ヒラムか、はたまた新たな手の者か...!
カランと音を発て相手の剣が落ちた。
目の前に見える顔は...
「............つまんね」
――クイキを犯そうとした男だった。
倉庫の中で仕事以外は謹慎処分になったハズの男3人。その内のリーダーっぽい人だ。
あぁつまらない。どうせ誰かに言われて来たんだろう?
とりあえず誰に頼まれたのかを問い正そうとさらに近くに寄っていく。
壁に追い詰められた男だが、臆することなく不敵にニヤリと笑ってきた。と、その時、俺の後ろからさらに2人が俺を襲いに来た。
俺は驚くことなくその2人の武器も弾きとばして見せる。
「「「な――っ!!」」」
......ごめんな。知ってたんだわ。
物陰に隠れて不意打ちをしようと思ってたんだろうが、生憎こっちは[世界地図] 持ってるから意味ないんだ。
なんなら言うけどスロープの上で様子を伺っている人がいることもわかってるぞ。誰かまではわからんが。
その人のことはおいといて、とりあえずここにいる3人を捕縛しますか。前見たいにね。
「たぶん痛くはしないから安心してね♡」
「ひっ―!!!」
ただ今回は男3人も俺のことを油断しているわけじゃないようで、必死に逃げだそうとスロープに走った。しかしスロープの一歩手前でみんな仲良く転んでしまった。
「「「ぐぷぇ!」」」
それを見て?聞いて?失敗とわかったのか、スロープの上にいた人はこの場を後にした。
「うぅ、痛そう。何でそんなところに縄が張られているのか、不思議なこともあるもんだな」
とりあえずこの前と同じように3人はそこの縄でぐるぐる巻きにした。
*
「さて、何でこんなことしたのか教えて貰おうかな?」
「...特に理由はない」
メイド2人の縄はほどき、今は男達への質問コーナータイム中である。
さっき2人が捕まっていた場所に今度は男3人が捕まっていて、俺はその前に立ち、さらに俺の後ろには自由の身になった2人が控えている。
「じゃあ質問を変えようか。誰に命令された?」
「......誰にもされてねぇ。俺等を陥れたお前への復讐だ」
「嘘...だな」
「っ!? はっ! な、何故そうなる!」
どうしてわかったかって?よくぞ聞いてくれた。実は[真偽の耳]を手に入れようと[全世界図書館]で心理学を学びながら会話をするなどを試してたら本当に手に入ったのだ。
ただ、気付いてしまったのだ。このレアスキルよりも本で学んだ心理学を究めた方が役に立つのではないか、と。
その考えに至ってしまった俺は折角クイキから教えて貰ったものが無駄になることを防ぐべく、必死にこのスキルのメリットを探した。
そして見つけたのは「目を瞑っていても簡単に言葉の真偽がわかる」こと。
......お手軽なのは良いことだ。
それと、確実に使えるだろう[鑑定の目]の方はまだなので、必ず近日中に手にいれて見せる。
それはおいといて、また嘘の意味がない尋問に戻る。
「メイド長かクイキのどっちかか?」
「...違う」
嘘はついていない。
「じゃあ両方か」
「!? だ、だから違うって言ってんだろ!」
それは嘘だな。
つまり昨日の計画とやらはこのことだったのか。
でも、何のために? 俺をいじめるのはヨーベクマ家の脅威にはなりにくい。心配とかならするかも知れないが、貴族を辞めるとこまではいかないだろう。
うーん? もしかしたら俺を誘拐しようとしてたんだったりして。
「闇魔法[睡眠瓦斯]」
当たったよ。二回目だな睡眠系魔法。しかも今回は広範囲対象だし。
男の内1人が小さな声で詠唱をしていたらしい。
意識の薄れていく中、視界の端でクイキとウキリが崩れ落ちたのが見えた。
俺も、、、もう――......。
*
バシャッ...
「んー...」
また水ですか。もっと優しい起こし方はないんですかね。
まだ少し水でぼやけた視界のなか辺りを見渡すと俺の左右すぐ後方には、俺と同じように縄で括られたクイキとウキリの姿があった。
そして目の前には男3人、メイド長、それにヒラムが立っていた。
スロープの上にいたのはこの人だな。服が多少乱れてる。
「目が覚めた?」
「ヒラムさん......。あなたもぼくをいじめるんですか?」
「あら、私がいることに驚かないの?」
あえて見当違いなことをきく。
まだ俺が出した結論の内、どっちかは分かっていないからだ。
今回は猿轡がつけられてなくてよかった。ちょっとした誘導尋問でも始めようか。
「でも勘違いしないで、私にはせざるを得ない理由があるの。そこのメイド長とは違ってね」
「何ですか。私にだって理由はあります。この一緒にいるのも耐え難い小僧を人質に、あの貧乏貴族には貴族社会から降りて貰うのよ」
「......そしてあわよくば...?」
「あわよくばご主人様に気に入って貰って、立場も給料も上がって幸せに......!」
メイド長はクイキの単純な誘導する言葉につられて本音が出てる。
ヒラムはそれを横目に呆れたような溜め息をついて、話を続けた。
「私はこんな私利私欲のためにやってるんじゃないの」
そう言ったもののヒラムは少し考えて訂正した。
「.........いいえ、やっぱり私のやってることもほとんど同じようなものね」
「それじゃあ、何のために?」
「言わないわよ。ただメイド長ほどくだらない理由ではないわ」
「そう、ですか」
まだ確定に至るための情報は出ないか。
「...1つだけいいですか?」
「なに?」
「大変恐縮なんですけど、ぼくを人質にしたとしても、家族は思ってるより反応しないと思いますよ?」
「え?」
もちろん大嘘である。
家族が聞いたら躊躇うことなく貴族を降りるか、もしくは戦争を吹っ掛けて来るだろう。
最愛の妹カライヤがいるんだ、戦争だけは止めて欲しい。
ただ完全に嘘でもない。
俺が思ってるより反応しないだけだ。
とりあえず今は情報を引き出すことに集中しよう。
「こんな敵地の様な場所で働かせているのが何よりの証拠だと思います。ぼくは三男なので」
「......うそよね? だってこの前使用人に慕われているって...」
「確かに使用人にはよくして貰っていましたが」
「それじゃあ意味がないじゃない!!?」
今のはメイド長だ。
お前と話したい訳じゃないんだけど。ここでそんなこと言ったら怪しいから耐えるしかない。
ただ、このメイド長の心からの叫びが思わぬ高収入に繋がった。
「ヒラム! あなたが完璧な計画だと言ったから信じたのに! あなたはもう信じれない! 契約は破棄よ!」
「メイド長!? そんなのあんまりよ! 協力したらって約束でしょ!」
「そんなの失敗したなら同じでしょ! どうしてくれるの! これがバレたら使えないってクビにされるわ!」
「そんなっ! 今日こそ罪滅ぼしできると思ったのに! 折角、折角っ!」
......そうか、そっちなのか。
それなら今日ここでウキリを助けるようにしようか。
「クイキさんその罪滅ぼしって何ですか?」
「え? ...べつに何でもないわよ。今はそれどころじゃ――」
「もしかしてそれってウキリさんに対してですか?」
「え...?」
え? ま、まさか違うなんてことはないよな?
いやもう始めちゃったんだ後戻りはできまい。
「違っていたら悪いんですけど――」
それでも保険をいれとく俺、チキンだなぁ。
しょうがないじゃん。こんな推理みたいなこと初めてだし。違っていたら恥ずかしいし。
誰に言う訳でもない言い訳を並べる。さて、探偵ごっこに戻ろうか。
「ヒラムさんってウキリさんの生き別れとなった姉ですよね?」
「――!?」
図星か。
これに最初に応えたのはヒラムじゃなくてウキリだった。
「え? あ、あなた、何を言っているんです?」
「驚くのも無理はないと思います。この前ぼくが警戒してと言ったばかりですからね」
「ヒラムさんが私のお姉ちゃん...? こ、根拠は何ですか?」
「......まだ確定してる訳じゃないので、今から話すのはぼくのかってな推理ですが......」
「それでも聞きたいです」
「わかりました。それではまず――......」




