第9話 祝福!ソルト5歳の誕生日
あの日から誕生日まではすぐだった。
「「「「「「ソルト誕生日おめでとう!」」」」」」
「......っありがとう!!」
部屋に入った瞬間みんなが祝ってくれた。
部屋はいつもと違い、たくさんのキレイな飾りが施されている。
誕生日っていいよね!
「さあ食べよう、今日はおもいっきり楽しめ! ソルトは明日出ていくからな」
「......」
父さんは別にそんなつもりじゃなかったんだろうが、みんなが寂しい顔になる。
「だ、大丈夫だってば。長い休みをもらえたら帰ってくるからさ! それにたった1年なんてすぐだって。今日は俺のために楽しんで!」
「そうね。今日は辛気臭いのなしよ! ソルトに楽しんでもらいましょう!」
母さんの言葉でみんなが笑顔になっていった。
母親って凄い。
その後の食事はいつもと違って味が濃く、美味しかった。
特にロウロウドリの手羽先は、ちょうど良いしょっぱさのタレが絡んだパリパリの皮と、くどくないお肉を一緒に食べ頬っぺたが落ちそうになるほど美味しかった。
「さてご飯も終わったことだしプレゼントをあげよう。まずは俺からだ」
「ありがとう父さん!」
20cm位の縦長の小さな包装された箱を渡された。
開けてみると、うちの紋の変な鳥が彫ってあるペンダントが入っていた。
「これは?」
「開けてみろ」
ペンダントの上についた突起物を押すとパカッと開いた。中には赤い宝石が入っていた。
「これはな、うちの紋の不死鳥の魂が宿っていると言われる宝石だ」
「わぁ! ソルトの髪の色とおそろいできれい...」
「え?」
ちょっとまてちょっとまて...
「うちの紋って不死鳥だったの?」
「なんだ、知らなかったのか? その紋の理由は昔、うちのご先祖様が不死鳥と関係があったらしいぞ」
先祖が...ねぇ...。
「て言うか、その不死鳥が宿った宝石を俺がもらっていいの?」
「あぁ、これは俺の先代から赤い髪の子が産まれたら渡せと言われていたんだ」
「俺って赤い髪なの?」
「うん。少し濃い赤の髪よ。これも知らなかったの?」
濃い赤の髪...。てっきり茶髪だと思ってた。
「次は私ね。はいソルト誕生日おめでとう」
「母さんもありがとう」
今度は手のひらサイズの小さな箱をもらった。
開けてみると、中にはビー玉みたいなものが入っていた。
「さわってみて」
言われた通りさわってみると
『レアスキル[魔物支配]を修得しました』
これは、兄さんに稽古つけてもらって[剣術]スキルを修得した時と同じ感じだ。
でもレアスキルって産まれたときに決まるから普通は修得できないはずじゃ...?
まさかばれた......?
「...なんか[魔物支配]が修得できたんだけど?」
「ええ、それがプレゼントよ。自分の子供には5歳の誕生日にあげるって決めてるのよ」
「じゃあ兄さんたちも持ってるの?」
「ああ持ってるぞ」
持ってるのか。この家に限って追い出したりしないだろうけどそれでも不安、怖いな。
「スキルって渡せるんだね。初めて知ったよ」
「誰でもできる訳じゃないわ。それを商売にしてる人がいるのよ」
「なるほど、でも母さんのスキルはなくならないの?」
「ええ、それは私のスキルのレベル1つ分しかしないからまだあるわ」
そうか。じゃあありがたくもらっておこう。
「次は俺だな」
「ありがとうウルク兄さん」
「肩たたき券だ」
「............」
「えっと、次は私ね。はい」
「ありがとう姉さん」
さっきのスキル入っていたのと同じぐらいの箱を開けると指輪が入っていた。
「その指輪は水属性魔法強化の付与がついているから。ソルトは水属性が使えるのよね?」
「うん。ありがとう! ...でもまだ指が小さくてつけれないんだけど...」
「えぇ。大きくなってもつけれるようにしといたから、いつでも私を思い出してね!」
ブラコンは治らないね、姉さん。
「じゃあ次は俺からだな。はいこれ」
「ありがとうイルマ兄さん!これは短剣?」
「おう。よくわかったな」
開けてみると案の定、短剣が入っていた。
でもその短剣は予想していたよりもずっと良いものだった。
「お前が下手だったらもっと安いのだったんだけどな。お前自身が剣の扱いに長けてるからそんぐらいの剣じゃないと実力が出せないと思って」
「ありがとう! 大切に使うよ」
「おう!」
「次は私ですね! おにいさま、お誕生日おめでとうございます!」
「うん、ありがとうカライヤ」
ちょっと不格好に結ばれたリボンをほどくと、中から出てきたのは石鹸だった。
「これでキレイにしてください」
「ありがたく使わせてもらうよ」
頭を撫でると嬉しそうな顔をした。かわいいなぁ...。 いや、俺にそういう趣味はないからね
「ソルト様、今回は私たちからもありますよ!」
「え! ホント!」
渡された袋を開けると中にはビー玉ぐらいの玉が3つ入っていた。
「これって...」
「えへへ、奥様とかぶっちゃいました。でもスキルは違いますよ。多分日常生活に使えると思います」
何をもらえるか楽しみだ。
全部さわってみると...
『スキル[調理]を修得しました』
『スキル[清掃]を修得しました』
『スキル[洗濯]を修得しました』
「1人で暮らすならあった方が便利だと思いましたのでそれを選びました」
この2人は俺が1年外に出るとしか伝えてないが、これから働くのにはとてもぴったりのスキルをくれた
「っ......! ありがとう! 本当に助かるよ!」
「「喜んでもらえてなによりです」」
そのあともみんなで仲良く楽しんだ。
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*次の日の朝*
部屋のカーテンを勢いよく開ける
「んー!!」
今日から外暮らしだ、頑張ろう!




