少女と劇団
私は悩んでいた。うまくいかないことが多すぎて。知能は高いんだけど、人間関係はうまくいかない、いわゆるアスペルガーである。そんな私には幼い頃からの知り合いがいる。ダウン症の少女だ。少女はいつも笑顔を振り撒いていた。私より辛いことは多いであろうに。見せないだけなのかもしれないけれど。特にあの劇の時はいつも楽しそうである。彼女はとある劇団員なのである。
その劇団には色々な障害者の方が所属していて、車椅子で演劇をやってる方もいる。でも、皆が生き生きしていて、幸せそうだった。それに対して私はどうだろう。いつも辛いことばかり考えてるような気がするのだ。私は劇団の手伝いをしよう、と思った。
けれどタイミングが悪かったのか、あまり手伝いをしても役にはたてなかった。居てくれるだけでありがたい、とはフォローしてくれたけれど、なにかモヤモヤした気分になった。自分に出来ることは何?と色々考えてた時期なのでけっこう項垂れてしまった。
私は劇団員になることにはどうしても抵抗感があった。人見知りが激しく、うまく役になれないのでは、と考えてしまうからである。
少女を見ると、彼女なりに役を頑張っていて、とても生き生きしていた。なぜここまで明るくなれるのだろう?と考えた。
演劇が楽しいからなのだろうか。お客さんに自慢したいのだろうか。少女が光だとすれば私は影…どうしても対照的にとらえてしまうのであった。
自分に出来ることはなにか、必死で考えた。
でも、ある時気づいた。少女と私を比較しても意味はない、少女には少女の魅力があり、私には私にしか出来ないことがあるのだろうと。
劇団員にはならなかったけれど、劇団は色々なことを知る良い機会にはなった。私は私にしか出来ないことを探そうと思う。そしてまたいつか、ときどき劇団の手伝いをして何かを見つけようとおもうのだ。