第6話 ゴブリンの漁
第二位階上位
8日目の朝。
今朝は若ゴブを集めて川に向かった。
作ったあれ。大きな網を、川に入れ、魚を取る。
大きな網を川の両側にいる皆で持って、下流から上流へ向けて進み、引き揚げると。
「大漁だな」
思っていた以上に結構な量の川魚が取れた。
今日の分の食料が取れたので、今日は狩りをやめて教育の日にしよう。
生で食うと寄生虫が怖いから焼いて食う事に決める。
生で食べようとした奴を物理的に黙らせて、皆の前で弓ぎり式の火起こし器を作り、火を起こした。
火に怯えた様子を見せる彼等を差し置いて、魚に枝を刺して焼き始める。
やり方をしっかりと教え込んで、各チーム毎に魚を焼く様に指示した。
美味そうな匂いがしてるからだろう。ちゃんと作業してくれている様で何より。
「うむ、美味い」
「はぐはぐっ」
「むしゃむしゃっ」
だから、そんなに急がなくても誰も取らないからね?
◇
午後。
皆に武器の作り方や獲物の取り方について教えたが、理解出来たかは怪しい所だ。
ともかく今日は、皆で木の槍や棍棒、木の防具を作り、それらを全員分用意した。
今朝作った石斧のおかげで資材の調達には困らなかった。
「あー、ダイキ君達、あの木、伐って」
「分かっタ」
石斧も量産したし、使い方も教えたので、明日の狩りはより順調に進むだろう。
◇
明けて翌日。9日目の朝。
武装をしたおかげで最初とは見違えた同胞を見送り、狩りを開始した。
向かった先は落とし穴がある場所。
一日経ったので猪が掛かっていないかの確認だ。
「……掛かってるか」
見えて来た落とし穴は、作動した証拠として蓋が無くなっていた。
覗き込んでみると、掛かっていたのは大きな猪。
血がかなり流れているが、まだ息はある様だ。
殻の無い頭に目掛け、何度も何度も槍を突き込んで仕留めた。
「ふぅ……さて、ダイキ君、任せた」
「おウ! 任セロ!」
勿論無理だった。
3人がかりでも猪を持ち上げる事は出来ない。
仕方が無いので、森を彷徨っていた同胞を集め、猪を紐で括って30人がかりで……いや、30ゴブがかりで持ち上げる事になった。
「……大物だなぁ……」
「美味そうダナ!」
「凄イ……」
ざっと試算して100キロは超えているだろう。
大きさはダイキ君五ゴブ分くらいの大物であった。
……つうか、見た目だけじゃ美味そうかどうかなんてわからんだろうに……。ダイキ君は想像力豊かだな。
その日の晩は、老ゴブ達も巻き込んでの宴になった。
キャッキャと騒ぎながら洞窟に帰還し、道中集めた枝葉や味付け用の木の実を使い、猪焼肉。
ヒヒの実と言うピリ辛の実を刻んだ物や、老ゴブ達が持って来た岩塩を使って、大変美味しく頂きました。
余りは塩漬けにして干し肉を作る。
ゴブリンの漁
大漁、大猟。