第4話 ゴブリンの戦い
第二位階中位
今回狩るのは硬そうな殻が付いた大きな猪だ。
ヤり方は簡単。
先ずは、猪がいつも使っている獣道に落とし穴を作る。
その下に先を尖らせた木の棒を複数設置し、蓋をする。
これで完成。
……流石に猪相手に正面から突っ込んで行くのは危険だからな。
その上、見つけるのに時間が掛かるし。
そんなこんなで、今日も今日とてウサギ狩りだ。
「ウサギ美味いな」
「はぐはぐっ」
「もしゃもしゃ」
……二ゴブ共、そんなに急がなくても誰も取らんよ。
そろそろ名前を付けた方が良いだろうか?
◇
一際大きなウサギから取れた長い角、その先端にウサギから剥いだ毛皮で作った袋を取り付け、簡易の荷物入れを作った。
毛皮はこのままだと腐ってしまうので、これを使うのは飽くまでも荷物を持ち帰るまでの間だけだ。
作っている間に、ささっと名前を考えた。
大きい彼が、そのまま大鬼君で、小柄で頭の良い彼女が、そのまま賢鬼ちゃんだ。
名前を付けてあげると、二ゴブは大層喜んでくれたので、変なネーミングでも本ゴブが良いなら良いかなと。
……いや、喜び過ぎだがね。
「次、行くぞ」
「おウ!」
「うン!」
その後の狩りも、ハイテンションの二ゴブのおかげで順調に進み、昨日よりも多くの獲物を狩る事が出来た。
勿論、食えない分は同胞に分け与えた。
初めて肉を食っただろう同胞達は、泣いて喜んでたよ。
◇
夜。
洞窟の中で同胞達が寝ている隣、俺は紐を編んでいた。
蔓草で作る紐は、あまり丈夫では無い。
今日の狩りで繊維質の小さな木が群生している場所を見つけたので、その木々の皮を剥ぎ、中にある繊維を回収しておいた。
ダイキ君が木を折って、俺が皮を剥ぎ、ケンキちゃんが繊維を剥ぎ取る。
と言うルーチンワークで大量の繊維を入手したので、今日中に全てを編んでしまいたかったからである。
ケンキちゃんなら編み方を覚えてくれそうだが、取り敢えず今夜は俺一人での作業。
暗闇の中でも見通せるゴブリンの目に感謝だな。
「……ふぁ、寝みぃ……」
ゴブリンの戦い
眠りとの戦い