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ゴブリンに転生した  作者: 白兎 龍
第1章 ゴブリン
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第1話 ゴブリンの社会

第二位階上位

 



 朝。



 俺含む総勢30匹のゴブリンは、洞窟の外にいた。


 辺りには草木が溢れ、吹いている風には若草の香りが混じっている。


 春か夏かは知らないが、太陽は燦々と輝いていた。


 洞窟から出たばかりで慣れていない網膜には、ちと刺激的に過ぎる。



 外にいる理由は単純ーー



「腹減っタ」



 ーー食料探しだ。





 あの後、目が覚めた俺は、横に置いてあったボロ布を腰に巻き、取り敢えず体を動かしてみる事にした。


 立ち上がってラジオ体操を行い、腕立てや腹筋したり跳躍してみたりと跳ね回っていると、うるさかったからだろう。


 周りにいた同胞達も起き始めた。


 楽しそうに見えたらしく、殆どの同胞は俺の真似をして並走して来たり、ラジオ体操もどきをしたりと騒ぎ出した。


 中にはただ此方を見ているだけの者や、騒がしさを物ともせずに寝に戻る者もいた。

 対して違いがある様に見えないが、個人差はしっかりあるらしい。



 また、どうやら女ゴブリンは髪の毛が生えて来るらしかった。羨ましい限りだ。


 ……取り敢えずお前ら、布を巻け。肌を隠せ!



「全員注目!」



 声を張り上げると、寝に入った奴も合わせて全ゴブの醜悪な顔が俺の方へ向いた。

 怖い上にキモい。しかし、やっぱ注目無し! と言う気は無い。


 俺は自らの腰に巻いたボロ布を指差し、続いて周辺に転がっている大小様々な布を指差す。


 ゴブリン達は素直な物で、刺された方向しっかりと見てくれる。



「巻け。布を」



 合点が行ったと言わんばかりに全ゴブがコクリと頷き、布を拾いあげる。


 その布を腰にぐるりと巻き付け、手を離した。


 パサリ。



『……?』



 首を傾げて俺の腰に注目する全ゴブよ……。



 結局、腰布の巻き方を一から説明したが、やり方を理解したゴブリンは少なく、しっかりと教え込むまで少しの時間を要する事となった。



 全ゴブが腰布の巻き方をマスターし、男女で別々の服装になった所で、俺達よりも少し大きなゴブリンが部屋に入って来た。



「オ前達、食料、自分デ取って来イ」



 つまりそう言う事である。





 腹減っタと妙なイントネーションで呟いたのは、他よりほんの少しガタイが良いゴブリン。

 昨夜俺の隣で寝ていた奴だ。


 何と無く覚えている記憶を手繰るに、どうやら俺は生まれて3日目。

 3日で此処まで成長するのも驚きだが、3日で自給自足を強要されるのも驚きだ。


 かくも厳しいゴブリン社会。

 最底辺カーストに分類されるらしい俺達は、自力で食料を集めるしか無いのである。



「全員注目!」



 駄菓子菓子!


 いや、だがしかし。


 俺は1人では無い! 周りには俺含めて30もの醜悪な顔ががががーー



 ーーコホン。取り乱した。


 日の元で見ると凶悪さに拍車が掛かるな。



 顔付きはともかくとして、サバイバルの基本原則と言えば、水、寝床、食料、の三つだろう。


 幸い寝床はあるので、後は水源と食料だ。


 一応は生き物である筈のゴブリンが巣を構えている事から、水源は近くにあるだろうと推測出来る。

 取り敢えず水場を探し、続いて食料を探すとしよう。



 ワラワラと集まって来た若ゴブ達に指示を出す。


 4ゴブ1組で8チームを、足りない所は3人で……と説明し、好きなゴブと組む様に言ったが、理解して貰えなかった様だ。

 全員首を傾げてやがる。


 此方もまた俺がチーム分けをして、賢い奴を1ゴブ、強そうな奴を1ゴブ、後の2ゴブは適当に、で8チーム作った。


 俺のチームは、俺、隣で寝ていたゴブ、賢い女ゴブ、の3ゴブチームだ。


 あまり遠くに行かない様に厳命し、何度も復唱させ、出発させた。


 さて、俺達も行くとしよう。



「行くぞ、ついて来い」

「わ、わかっタ」

「マ、待って」



 

ゴブリンの社会


弱肉強食


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