第10話 ホブゴブリンの作業
第三位階中位
13日目、朝。
同胞達が復活し、彼等に猪肉を食べさせる。
狩に行かせられる程復調した訳ではないので、やはり今日は作業の日だな。
尚、老ゴブ達は酒に慣れているのか、若ゴブと比べると大分楽そうだった。
◇
午前は若ゴブ達に様々な作業を教えて行き、午後は狩の為の体力作りをさせた。
俺は様々な知恵があって戦略で獲物を狩れるが、他のゴブはそうも行かないからだ。
ランニングや腕立て伏せなどの筋トレをさせ、ついでに一対一の戦いも経験させておいた。
片方が打ち込み片方が防ぐ防御訓練も行い、武器無しで戦う組手などもやっておいた。
俺は、大鬼君と共に彼等よりも少し多めの筋トレをした後に、大鬼君と打ち合いをした。
パワーで劣る分防御訓練は少し苦戦したが、組手では技量の差が出て圧勝だった。
訓練終了後は、男女別に分かれて川で汗を流し、全員揃った所で夕飯の猪を食べた。
少し時間をおいた肉は、昨日よりも少し美味く感じられたのだった。
◇
そして夜。
午前同様に作業を行う。
紐を編んだり石を研いだりする作業は同胞に任せ、俺は所謂ポーションとやらを自作出来ないか実験してみた。
やった事は単純で、摘んできた薬草をすり潰し、それを少量の水と良く混ぜて、最後に清潔っぽく見える布で絞ってみた。
結果、非常に苦くて不味い液体が完成した。
軽く指先にナイフを這わせ、傷を作ってから飲んでみたが、大した即効性は無く、血は止まったがそれだけだ。
自己治癒能力で治ったのか薬を飲んで治ったのか分からない代物である。
作業の最中、興味を持った若ゴブ達がワラワラと集まって来たので、試飲させてみたら、殆どのゴブは苦味に悶え苦しんでいるのに、1匹だけやたらとごくごく飲む奴がいた。
やはり、皆同じ様な顔をしているゴブリンにも、ちゃんと個性はあるのだ。
そんなこんなで夜も更け、13日目の夜は終わったのだった。
ホブゴブリンの作業
道具の補給