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第2編第1部

第2編 2年生

第28章 新学期


帰ったら、もう少しで期限が来るところだった。すでに、帰る準備を万端にして整えていて、スタディン達もそれに乗り、帰った。


太陽系第3惑星に到着すると、家にすぐに戻った。そして、家に帰ると誰もいなかった。

「あれ?誰もいないな」

スタディンは、家に入って、誰もいない事に気がついた。そしてふと目をやった机の上に2枚の手紙があった。それは学校からの手紙だった。

「新学期にあたり、類型選択をいたします。以下の選択肢の中から一つを選び、○印をしてください。なお、2年から3年に上がる時の類型変更は出来ません。理系・文系・就職など」

スタディンが言った。

「この就職などって?」

それについて説明がなかった。

「2枚あるって言う事は、私の分とお兄ちゃんの分って言う事だよね」

「ああ、そうだろうな。とにかく久々の家だ。そう言えば今日、何日だっけ?」

「3月31日。新学期は4月7日だから、まだ日にちはあるね」

「ああ。でもな、この手紙の提出期限はもうすぐだ。4月1日提出って書いてある」

「え?どこに?」

「ほら、類型選択の下に小さく書いてあるだろ?」

「え?あ、本当だ。これは気がつかないよ」

クシャトルは、中央に書かれた類型選択の下の方にある、小さい文字を見ていた。確かにそこには、「提出期限:4月1日」と書かれていた。

「もう、自分達も2年生なんだな」

「そうだね。私達も先輩になるんだね」

スタディン達は、こうして春休みを過ごした。


そして、4月1日に郵送して提出し、4月7日新学期が始まった。


スタディンは理系の生物を選択し、クシャトルは文系を選んだ。


校歌斉唱、学校長の言葉、これからの予定などを言われて、そのまま、学年最初の登校は終わり、翌日は、入学式があった。


第29章 学校の7不思議


入学式には、軍関係者が数名いたので、彼らはスタディンの指揮下に入る事になった。

「どうもよろしく」

スタディンが、一人一人と握手をしていく。陸軍3名、海軍1名、空軍なし、宇宙軍2名、計6名。そして、入学式が終わりさらに半月がたった時、1年生に言われた。

「スタディン将補殿は、この学校の7不思議と言うのをご存知でしょうか?」

「この学校の7不思議?ああ、聞いたことはあるな。確か…夜な夜な動く理科室の人体模型、鏡に映る兵隊の姿、光る湖、廊下を歩く親子連れ、突然肩を捕まれる感覚に襲われる廊下、血まみれで動く人形、目を合わしてはいけない歩く人、だったはずだな。夜な夜な動く理科室の人体模型とかは良くありがちだな。鏡に映る兵隊の姿は、第2次世界大戦中でここの国に帰れなかった人達が死んで戻ってくる時の姿と言われているな。光る湖とか、それ以降は良く分からないな」

「では、見た事はないのですね」

「ああ、残念ながらな」

その時、スタディンは、あることを思いついた。

「そうだ、じゃあ今日、学校に泊まるか。そしたら7不思議が本当かどうか分かるぞ」

「分かりました。では、いつ集合すればいいでしょうか」


その日の夜、学校側に許可をもらい、午後6時半に校門前に集まった。なぜかその噂を聞きつけ師団長まで来ていた。

「なぜ、師団長ご自身がここにいらっしゃるのですか?」

「なにせな、自分は昔、霊感があったからな。それで見に来たんだ。その上、こんな経験は学校にいた時以来だからな。懐かしくなってな」

「なるほど、とりあえず、出発!」

この場にいるのは、川草師団長、蔚木宇宙軍司令官、イフニ兄妹、エア兄妹、3年生軍関係者の、西代曙陸少佐、赤城振一郎陸少佐、二階堂鈴宙佐長、2年生軍関係者の、佐和泉水陸少佐、宇木金平海大佐、佐倉友美海大佐、1年生軍関係者の、金峯武空尉長、徳川佳奈美宙少佐、赤星真菜宙大佐だった。

「他の人は?」

「みんな、興味ないってそのままです」

「そうか、では入ろう」

スタディンを先頭にして一行は、真っ暗な学校の中に入って行った。


第30章 夜な夜な動く理科室の人体模型


まず最初に選んだのは、夜な夜な動く理科室の人体模型だった。

「理科室は、3種類あって、生物教室、物理教室、化学教室で、それぞれ二つづつあるんだ。そのなかで、人体模型があるのは、今、目の前にある、生物教室第1だ」

スタディンは鍵を使って、中に入った。他の人もそれに倣った。


中は暗く、少し寒かった。

「さて、人体模型はどこかな?」

スタディンは、持っていた懐中電灯を付けながらみていた。その時、真菜が叫んだ。

「きゃっ、なに?あれ」

真菜が使っていた懐中電灯を向けていた先にいっせいに視線が注がれた。そこには、半分は骨格標本で、残りが筋肉標本になっているものがいた。ガラスケースの中で、こちらに来るような感覚があった。スタディンは勇気を出して近づいた。後ろの方でニヤニヤしながら師団長が見ていた。


スタディンがその場に到着すると、まったく動いたような気配がしなかった。

「あれ?動かないのかな…」

その時、コトリと、何かが落ちる音がした。みると、筋肉標本の目が落ちていた。ガラスケースの中には、当然の事ながら誰もいなくて、そのような事は起きるはずがなかった。その音は静まり返った部屋をさらに寒気を受け加えるのに十分だった。

「ねえ、勝手に目が落ちるって言う事ってあると思う?」

「いや、ないでしょう」

1年の真菜が言った。

「ねえ、怖い…」

「大丈夫だ。スタディン将補がいるから…」

しかし、振一郎が話す声にもしっかり震えが入っていた。さらに、後ろからも誰かが近づいてくる気配がした。

「なあ、スタディン。この高校に今、俺ら以外に誰かいるか?」

「いや、いないはずだ」

「じゃあ、あの廊下の足音は何だ?」

みんな聞き耳だてると、たしかに、ひたひたと足音が聞こえる。さらにこちらに向かってきているような感じにも聞き取る事ができた。

「誰か廊下を見てくれ」

そして、一番近かった師団長が廊下を見た。

「誰もいないな」

そして、戻ってきた。

「誰もいなかった」

しかし、みんなの注目は人体模型にあった。

「動いてる?」

懐中電灯を固定して光が動かないようにしたが、それでも動いているような感覚があった。周りからスポットライトを受けて、こちらに近づいてくるような感覚。周りは闇。そこだけが浮かんでいた。ガラスケースの中で、それは動いていた。微震のように常時止まらずに動いているそれをみてスタディンは怖くなり、みんなの元にいた。

「ねえ、本当に動いているの?」

「え?」

クシャトルが勇気を出して近づいていく。近づいていくたびに、だんだん確信に代わっていった。

「やっぱり、目が動いているだけだったんだよ」

「どういう事?」

みんなはガラスケースに近づいた。


クシャトルの周りを取り囲むようにして、みんなは座った。

「みんなが生きている証拠の一つである、心臓の鼓動があるでしょ?それが、首の所を通る時に、多少動くのよ。それが人体模型を動かしているように見せたっていう事」

「じゃあ、周りが揺れていずに、人体模型だけが揺れているように見えたのは?」

スタディンがいった。

「それは、その部分だけを懐中電灯で照らしていたし、今回は人体模型が動いているかどうかを見るために、夜中に学校に入ったんだから、それだけを見すぎていたのよ」

「では、なんで、人体模型の眼球がとれたんだ?」

師団長が、クシャトルに質問した。

「単純な話です。お兄ちゃんは、触ってもいないのに、なぜ落ちたか。この学校は創立301年目です。何度かこの人体模型も変わっているはずですが、それでも相当古いはずです。そのために、落ちたんです」

みんな、胸をなでおろしていた。

「なんだ〜、じゃあ、一つ目の謎は解けたね」

佐和がいった。

「では、次に行ってみよう。ちょうど、この前の廊下が次の7不思議の舞台だ。廊下を歩く親子連れと言われているふたりぐみだ」


第31章 廊下を歩く親子連れ


スタディンが前に出ると、少し寒かった。

「あれ?なんか寒いな」

その時、右側から風が吹いてきた。

「こっちの方向に窓とかあったっけ?」

佐倉が言った。

「いや、なかったはずだが…」

その時、誰かがこちらに来るような音が聞こえてきた。ペタ、ペタ、ペタ、と、スリッパで歩いているようだった。その音は、二人分あり、片方は少し早かった。

「ねえ、今歩いている音聞こえない?」

「ああ、聞こえる」

スタディンが懐中電灯をそちらに向けると、誰もいなかった。しかし、後ろ側から声がかかった。

「君達!一体、ここで何をしているのですか!」

スタディン達は、その声の主を見ようとして振り返った。それは校長だった。

「校長先生…どうしてここに?」

「スタディン君、7不思議が正しいかどうか確かめに来ていたんだったね。そのうちの一つ、廊下を歩く親子連れは、私と娘の事だろう」

「えー!」

一同はとても驚いた。

「校長先生は、学校に住んでいるんですか?」

「そうだが?気づかなかったか?私は、この清正美高等学校第43代目学校長だ。公開されない規則によって、清正美高等学校校長は世襲制になっていて、次は娘が継ぐ事になっている。だが、彼女に万が一のことがあれば息子が継ぐ事になっているが…まあ、その話はいずれしよう。する機会があればの話だがね」

そう言うと、校長がいる位置と反対側から足音が聞こえてきた。

「あれ?お父さん、この人達、誰?」

そこには、校長に良く似た女性が立っていた。

「紹介しよう。この学校の生徒と近くにある第2師団の師団長さんと宇宙軍軍隊長さんだ」

「こんばんわ。この学校の校長の娘です」

「校長先生、この子は今何歳ですか?」

「今か?明後日で12歳になる。ちなみに言っておくが、私は今年で34歳だ」

「と言う事は、校長先生が22歳の時に、娘さんが生まれたんですね」

「そう言う事だな。まあ、君達も早く帰りなさい。私は高校を見回っているから…」

そして、校長とその娘は遠くの闇の中へ消えていった。

「廊下を歩く親子連れの正体は校長先生と娘さんでしたね」

「スタディン、次は?」

佐倉が聞いてきた。

「次は、鏡に映る兵隊の姿を見に行こう」


第32章 鏡に映る兵隊の姿


D棟の3階の廊下に、その鏡はあった。

「これが、その鏡だ」

「どんな話しなの?」

「第2次世界大戦中に、命を落として帰ってこれなかった、兵士の霊が映っているらしい。だが、実際、それを見た人は誰もいない」

「なんで?」

「さあな。これだって、眉唾物だからな…」

そう言ってスタディンは鏡を見た。そこには、銃を肩に乗せ、つかれたように歩いている兵士の姿があった。彼らは、一様に右の肩に、昔の国際連合の旗を付け、連合軍だった事が分かった。

「あ…うつっ、映っている…」

鏡に映っているうちの一人がこちらを見た。その顔は、痩せこけておりもはや何者か分からないほどだった。しかし、こちらに顔を見せただけでそのまま鏡の端へと消えた。

「なるほどな…彼らは、地縛霊なんだ」

師団長が言った。

「地縛霊?それって、この土地に何らかの怨念か何かを持て死んだ人達のことですか?」

「そうだ。彼らは、ここに帰りたかった。しかし、それが叶わなかった。だからこうして死してなお帰ってくるんだ。時代を経ていつになっても…」

「じゃあ、彼らはどうすればいいんですか?」

「大丈夫だ。いずれ自然に成仏する。それまでは、彼らの好きにさせるのが一番だろう…」

こうしてスタディン達は、その場を去っていった。


「次は、突然肩を捕まれる感覚に襲われる廊下だ」


第33章 突然肩を捕まれる感覚に襲われる廊下


そこは、ちょうど誰もほとんど行かない廊下だった。何も用がない以前に、そこの教室をほとんど使わないから、夜になるととても恐ろしいような感じになるのだった。

「なんか、この廊下、怖い」

スタディンにひっつくのは、クシャトルだった。

「大丈夫だろう?でも、電気もついてないな。それに、月明かりもないし…」

その時、誰かがスタディンの肩に触れたような感じがあった。それは肩全体をつかむような感覚にすぐに取って代わった。

「ひっ」

短く鋭い声をあげたスタディンの方向をみんなが見た。

「どうした?」

「いま、だれかが、自分の肩を…」

絞り出すような声で言った。すぐに師団長がやってきた。

「なるほどな…スタディンは、壁に当たったんだ」

「壁?」

「そう、壁だ。ここは昼でも暗い1階に位置している。ちょうど半地下のような感じになっているから余計だろう。さらに、今回の場合は良く見えない壁。どこにあるのか分かったもんじゃない。それで、壁に軽く触れただけでもそれが肩をつかまれたような感覚に代わるんだ」

「なるほど…」

「これで、4つ目だね。後半分。どんな事なんだろうね」

「そんなに、うきうきしたような声を出すなよ…」

この7不思議の探検を楽しんでいる佐和と対照的に、あまり乗り気でなかったスタディンが言った。

「なんで?自分から言ったんじゃないの。こんな事はほとんど機会ってないんだから、楽しまないと。じゃあスタディン、次はどこ?」

「次は、血まみれで動く人形だな。ちょうど、この階にあるから」


第34章 血まみれで動く人形


「ほら、この部屋だ」

スタディンが指差したのは、染色室と壊れかかったプレートがかかっている部屋だった。

「ここは昔、布の染色をしていた部屋だったらしい。しかし、一人の女子生徒がここで自殺をして、ちょうど、その横におかれていた日本人形が、それを見ていたらしい。それ以後、夜になると、それを目撃したと言われている日本人形に血がべったりとついているらしい」

「怖いね」

佐和が楽しげに言った。

「いや、まったく怖そうに聞こえないんだが」

「気のせいよ。早く入りましょ」

スタディンは、昼の内に借りた鍵を使って、その部屋に入った。


部屋は廊下と同じぐらい暗く、一歩歩くごとに、みしみし床が鳴った。その音は、まるで首をつった時の紐の音のようだった。


その部屋の真ん中に、目立つように置かれた人形がひとつ。それが、その噂になっていた日本人形だった。

「この人形?」

誰かが懐中電灯を向けていた。それは、白肌に和服を着て、どこから見ても普通に見えた。

「どこにも不自然な点はありませんね」

金峯が言った。しかし、みんなが一瞬気を逸らしたすきに、その人形の目から赤い液体が流れ出した。それを見た人は声も出ない恐怖に襲われた。それは、見ている間も流れ出ていた。その時、師団長が前に出てきて何かを言った。するとこの高校の制服を着た女性が現れた。

「私に何の用?」

その声は背筋を寒くするには十分すぎる声だった。

「自分は第2師団師団長の川草大明だ。いま、自分の力を経由させて君を実体化させてみんなに見せている。何かいいたいことがあるならば、今言えばいい。みんなに聞こえるから」

彼女はいい始めた。

「私は、第185回生…ここで死んだの」

「ああ、その話しは噂で聞いている。どうして自殺なんか?」

「あの時は、忘れもしない…彼氏に振られて、もう、やけになっていたの。そのとき、この部屋に入って、偶然見つけた紐を見て、それで……」

「なるほど」

師団長は淡々と受け入れていた。彼女は、泣きもせず笑いもせずどこか一点を見ながら話をした。

「それで、首をつったの。見つかったのはその翌日。私はそのまま、ずっと首をつったままだった」

「そうか…だが、今はどうだ?」

「私、なんで死んだんだろうって、どうして死んでしまったんだろうって…」

「悔悟の念か。それで、どうしたい?」

「出来る事なら、生き返りたい。でも…」

「でも?」

師団長は、話を続けるように諭した。彼女は、少し悩んでいった。

「でも、それって出来るの?」

「ああ、可能だ」

師団長は、スタディンを指差した。

「イフニ神の力。神の力があれば、生き返らす事は出来るだろう…しかし、彼らにその意志がある事が前提だが」

スタディンにイフニ神が移り、そのまま言った。

「すでに、その事は相談済みだ。彼女さえその意志があるならば、我々で世話をしよう。この世界での寿命が尽きていたとしても心配する事はない。さあ、どうする?」

「…………」

彼女は悩んでいるようだった。しかし、顔の表情はまったく変わらなかった。そして、結論を出した。

「私を、生き返らせてください」

「それが、君の結論かい?」

「…はい」

「分かった。じゃあ、みんなは出て行ってくれ。ああ、クシャトルは残ってくれ」

そして、師団長達は外に追いやられた。中の様子は一切分からぬまま、数分が過ぎた時、中から声が聞こえた。

「よーし。これでいい」

そして、誰かが倒れる音。それと同時に足音が聞こえた。扉を開け、中に手招きしたのは、先ほどの幽霊と同じ姿の女子だった。

「どうも、おさがわせしました。改めて、自己紹介させていただきますね。私はこの高校の第185回生の、信藤絢子です」

「君はこれからどうするつもりだ?」

「神の御心のままに」

誰もがスタディンを見たが、当の本人はクシャトルに支えられて気を失っていた。


その後、校長に信藤を託し、スタディン達は次の7不思議の場所へ向かった。


第35章 目を合わしてはいけない歩く人


いったん校長と分かれたスタディン達は、目を合わしてはいけない歩く人といわれている人を見に行くことにした。D棟から出てB棟の3階にいた。

「ここが、その廊下だ。ちょうど、B棟3階の屋上からA棟に向かって歩く姿が目撃されている」

スタディンが説明している横で、クシャトルが何かを指差していた。

「ちょっと…あれじゃない?」

「え?」

スタディンが見ると180前後の身長で、白い服、白いズボンをはき、頭部には何かを付けているような人が向こう側へ向かって歩いているところだった。

「そうだ。彼だ…あれ?校長先生?」

「なんで、校長があの人と話しているんだ?」

スタディン達は少し怖がりながらも、興味半分で校長の近くに行った。


スタディン達がその場に行く頃には、その人は既に歩き去った後だった。

「校長先生、彼は?」

「ああ、彼はさっき話した私の息子だよ。ちょっと引きこもり気味で、夜の時間だけ校内を歩いているんだ」

「なるほど…では、目をあわしてはいけないと言われているのは?」

「ただ単に、怖いからだろう。7不思議の大半は恐怖からできていると言われている。人間の根源に流れている恐怖への渇望と、それを拒否しようとする無意識下の競合が学校の7不思議を作ったんだろう。それと、スタディン君達はいくつの不思議を見たんだ?」

「あと一つまで来ました」

「最後は、光る湖、だろ。あそこは私も行こう。ちょっと調べたい事もあるからな…」


第36章 光る湖


スタディン達は、校舎内から出て湖を見に行った。

「これが、その湖だ」

校長が指差した先には、青白く光る湖があった。

「学校7不思議の最後、光る湖…しかし、なぜこのように光るのでしょうか」

スタディンは校長に聞いた。

「簡単だ。この湖は水深約700mあって、その下にプルトニウムとウラニウムからなる地層がある。人体には無害だが極微量に流れ出ているらしい。そのプルトニウムとウラニウムが核分裂をする時に起こすチェレンコフ光と言うのが、この光の原因らしい」

「らしいと言うのは、校長先生自身は知らないのですか?」

「ああ、先々代が発見し、調査をしてもらった。その結果は未だに保管されている。年に2回、国からの調査も入っている。だから夏場はここで水泳の授業が出来るし、ラドン冷泉のような感覚で入る人もいる」

「なるほど…」

納得しているスタディンの横で、校長は何か調べ始めた。

「なにしているんですか?」

鈴が聞いた。

「ああ、水質検査だ。さっきも言った通りこの湖は年に2回の国の調査が入る。しかし、その間についての検査はこれまでほとんど行われていなかった。私の代になり1週間に1日検査をするようになったんだ」

「そう言うことですか…」

「さてと、みんなも今日は遅い。これで帰りなさい」

「はーい」

そして、校長一家は校舎の中に残り、他の人達はそれぞれの家に帰った。

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