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「え? 運動、ですか?」
ちょっと驚いたように言うデューグに僕はゆっくりと頷いた。
とりあえず、体力をつけようって決めたけど、正直何をしていいのかわからない。
―…実は、向こうの世界ではぽっちゃり体系な理系女子だったんだ!
昔からインドア派だったし、正直運動と言われても、ランニングくらいしか思いつかない。
デューグは結構身体を鍛えているらしい。
実際、デューグの身体は子供らしい柔らかさもあるが、少し筋肉がつき始めているようで、腕や肩に比べて腰が細い。
俗にいう細マッチョみたいな感じ。
僕は自分の身体を見下ろした。
ぽちゃっとした身体。
まぁ、二歳だからポチャリは仕方がないけど…このまま大きくなるとかなり困る。
「うーん…そうですね…」
「デューグは、どんなうんどうしてるの?」
考え込むデューグに僕は問いかけた。
無理に僕オリジナル運動法を考案しなくても、デューグと同じことをすればいいんじゃないかな。
「運動ってほどのことはしていませんね。街に買い物に行ったり、屋敷中を掃除しているだけですし」
確かにデューグはメイドのリンダと手分けをして掃除したり、いろいろしているよね。
流石に僕はまだそういうお手伝いしたことなかったけど…してみたほうがいいのかな?
「レイ様はだめですよ」
「えー…」
ジト目で拒否するデューグに、僕はがっくりと肩を落とした。
まぁ、次男とはいえ、一応お坊ちゃまだからなー僕。
そういうことを生真面目に気にするデューグに言ったところでOKをもらえるわけもないか。
でも、そうなるとどうやって運動しようか。
屋敷中を駆けずり回るようなことをすれば、リンダに怒られそうだし。
かといって、デューグの後ろについて回るのは、作業の邪魔にあるだろうし。
街に出かけるのは許可が絶対出ないだろうし…うーん。
今度は僕が唸っていると、デューグがポンッと手をたたいた。
「そうだ。レイ様、ダンスはいかがです?」
「だんす???」
僕はきょとんとして、デューグを見つめた。
「はい。街のお祭りなどでよく踊るダンスです。ダンスは全身運動ですし、バランス感覚も覚えられていいのではないかと」
「お祭り…」
それって、盆踊り的なものかな?
そういえば、前に読んだ本にブランヌっていう踊りが出てきたなぁ。
確か丸くなって、手をつないだり、くるくる回ったりするんだよね。
あれなら、確かに…できるかも?
「うん、やってみる!」
僕は大きく頷いた。
ちょっと短いですけど。