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君の描きたい物語  作者: 車輪
第1章 『夢を歩く』
12/32

『1章エピローグ』あるいは『2章前夜』

 

 秀一は空を見上げる。


 とっくに日が暮れている。

 帰宅してすぐに風呂に入り、身体中に纏わりついていた汗を徹底的に洗い流したので、今は帰宅から一時間程度経過した頃だ。

 その際に足のマッサージも念入りに行っておいたので、痛みは薄くなっている。


 空を見上げるのは秀一の日課だ。

 一日に一回は必ず、ゆっくりと空を見つめる時間を設けている。

 日中は学校に出ていることが多いので、必然的に、こうして見上げるのは夜空であることがほとんどとなる。

 いや、日中に時間を取れたとしても、やはり秀一は夜空を見続けるのだろう。

 距離を感じさせない星の瞬きを、秀一はかなり気に入っていた。


 だから毎日こうして部屋のベランダに出て、フチに肘をついている。

 普段と異なるのは、そこから伸びる前腕が顔の方へ、指先が額へ伸びているということだ。

 今日の昼下がり、急降下前のあの感触は、秀一が実感を持って手に触れるより前に、風に巻き上げられるように消えていった。

 その感覚を思い出そうと額を撫でるが、どうしても実感を得ることはかなわない。

 あれから先、帰ってくるまでの記憶も、正直おぼろげだった。


 秀一は、思い出せないことをもったいなく思う。

 記憶が混濁しているのは、ジェットコースターでグロッキー状態に陥った秀一が口を開かないのをいいことに、響子がさらにいくつかの絶叫系マシーンへ連行したことが原因だろう。

 秀一も止めれば良かったのだが、体力も気力も限界で、思考も停止した状態だったために、勢い任せの響子を説得することはできなかった。


 ジェットコースターを連れ回され、死んだ眼で観覧車に乗って、それで帰ってきた、はずだ。

 具体的に何があったかはひとまず置いて、大まかにどのような流れがあったのか。

 それくらいは、なんとか思い出すことができる。それ以上は、靄がかかったように見通しが悪かった。


 そんな役に立たない頭でも、わかることが一つある。

 それは、明日、住野千秋から好奇の視線を受けることになるだろうということ。


「…………あんまり関わりたくないんだけどなぁ」


 目を輝かせて追いかけてきた時の住野千秋の姿を思い出して、秀一は辟易する。


 明日はうるさくなりそうだなと、ただ思った。


 ひとまず一章はここで終わりです。構成はアレですが、書きたいことは大体かけたのかなとは思います。

 次章も今くらいのペースで更新していきたいです。


 感想等お待ちしております。

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