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コキュートスの説明が終わり、周りはシーンと静まり返った。
瞼を閉じたまま 考えてみる。
あの事件から1年が過ぎたのは、先ほどの説明で明らかになった。
武器リストの数はざっと見ただけでも100は優に超えていただろう。
相当数あった為、詳しい数まではわからないが。
分かることは SOLD OUT になった数だけ"選ばれた勇者"なるものがいるということ。
生存者は存在するということだ。上手くすれば会うこともあるだろうし、助けにもなるだろう。
次に武器だが、リストにあった光線銃・・・かなりの火力だろうが
それを用いるということは あの事件の日のような怪物と戦わなければならない。
「しかし・・・」
目を開き、机に出現した白銀の剣を眺める。いくら武器とは言え、光線銃に比べたら攻撃力は乏しそうだ。
「あと長いんだよなぁ。持ち運び や いざという時に困りそうだ」
あとはコキュートスと念じれば自分のステータスを確認できると言っていたのを思い出す。
「まぁ。早いとこ実践してみよう」
<<コキュートス>>
手の甲から先ほどの光が扇状に放射された。
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名前 :斎木 瞬 (サイキ シュン)
性別 :男
固有スキル :不老
レベル :1
HP :1010/1010
SP : 237/ 237
C.Pt :100
=>STATUS
=>Item
=>Generate
=>etc
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固有スキルの不老という項目が追加されていた。
「ふ、不老!! じゃぁ俺は歳をとる事はないのか!」
ユニークジョブとコキュートスは話していたが、このことだろう。
「でもなぁ。戦いにおいては不要だろうなぁ。
もっと詳しい情報は無いのか。」
不老という文字を集中してみようと試みると、別ウィンドウが開き文字が浮かび上がった。
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不老:その者が一番活性する年齢以上には老化現象が発生しない。
また、既にその年齢を超えている者は若返る。
自然治癒力が増す。
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「うぉ ! 確認できた!
若返る!ついに俺の時代きたか!
運動力も衰えることは無いし、生き抜く為にはBestな性能だ」
この世界がどのような状況か分からない以上、より生存力を高めたほうがいいだろう。
「念じれば色々調べられそうだし、ステータス画面をもっと詳しく調べておこう」
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C.Pt : モンスターを倒すことで獲得できるポイント
ポイントはGenerateで使用することができる
また1日に5ポイントが自動的に与えられる
(初期所持ポイントは10ポイント)
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Generate : C.Ptを使用することで様々な物を生成することができる。
条件が揃うことで生成できる物が増える。
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「何かを作るときに使用するポイントのようだな。
ん?俺は既に100ptあるのは何でだろうか。
1年も放置されていたからかな
一先ずGenerateを開いてみよう」
Generateの文字を軽く触れてみると、ウィンドウが別画面に遷移する。
広い画面があり格子状になっている。
上部にはタブらしきものがあり、武器、防具、道具、食料、未開放 が表示されていた。
「!!!! しょ、食料!!」
迷わず食料の項目に触れる。
格子状の2つの欄に”水””カロリーメイト”とあるのが確認できた。
"水"の項目を選択すると、
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C.Pt 1ポイント を 消費して ギルドメンバーの人数分 生成します。
残り 99 C.pt
---
すると、光と共に1リットルのペットボトルが出現した
「・・・・・!!」
勢い良くフタを開け、一気に流し込む。
ゴキュゴキュゴキュ
「っん はー い、生き返るぅ~」
ゴキュゴキュ
「全部飲んでしまった。ほんのり冷たくて飲みやすかった。」
ぐぅぅ~ 腹が鳴った。飲まず食わずだったのもあるが
急に安心感が生まれると、欲求もまた生まれだした。
今度はカロリーメイトを選択
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C.Pt 1ポイント を 消費して ギルドメンバーの人数分 生成します。
残り 98 C.pt
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と同じように表示され、目の前にカロリーメイト3箱が出現した。
乱暴に箱を開けると黄色く四角い固形物が現れた。何も考えず無我夢中で食べ始めた。
「ふぅ~ 水分水分っと」
猛烈に口の中の水分が吸われるので、再度水を生成した。
ゴキュゴキュ
「これでしばらくは戦える
しかし、何も確認しなかったが、ギルドメンバーとは何だろうな」
水を飲みながら。コキュートスに意識を集中させる。
「ヘルプ ギルドメンバー!」
・・・・
何も起きなかった。
「そう上手くは行かないか。
その内、解決できるだろう。」
一旦、ギルドについて考えるのをやめ、武器、防具、道具 の 項目を確認してみた。
・武器
一定ポイントを支払うことで、条件が開放され生成できる武器が増えていくらしい。
現状、開放できるものはないらしく反応がない。
初期から生成できる武器は"ナイフ"のようだ。
・防具
武器と同じで条件により生成する項目が増えていく。
初期から生成できる防具は"鉄の小手"、"鉄の胸当て"、"鉄のブーツ"。
・道具
回復薬、解毒剤、 釘、木板が項目にある。
こちらもC.Ptを一定値支払うことで項目が追加するようだ。
「初期ではあまり実用性は無いみたいだ
今の段階では防具一式と回復薬、解毒薬が妥当なところだろう」
"鉄の小手"、"鉄の胸当て"、"鉄のブーツ"がそれぞれ 10ポイント
"回復薬"、"解毒剤"はそれぞれ 1ポイント を支払って残りが65ポイントになる。
生成した防具を装着し、回復アイテムはItemを選択した、
発生した暗い空間に少し躊躇しつつも放り込む。Itemはレベルに応じて入れられる数が決まる。
レベル1の段階では 5 種類 。同種のアイテムは3つまで重ねて保管できる。
取り出すときはItemウィンドウの対象アイテムを取り出すイメージを作れば取り出せる。
次に机の上の白銀の剣を確認し、そっと、白銀の剣を持ってみる。
すると、わずかな光と共に刀身がみるみる小さくなっていった。
1.8mあった刀身が50cmくらいに縮んだ。
これなら持ち運びには苦労しないだろう。サムライが刀を吊るす様にベルトの隙間に剣を納める。
小型ボウガンはホルスターが付いているので左の太ももに装着した。
あらかた装備ができたので、コキュートスのステータス画面を確認する。
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名前 :斎木 瞬 (サイキシュン)
性別 :男
固有JOB :不老
レベル :1
HP :1010/1010
SP : 237/ 237
C.Pt :100
E 白銀の剣Ⅰ<イェーガー>
E 小型ボウガン<自動補充>
E 鉄の小手
E 鉄の胸当て
E 鉄のブーツ
=>STATUS
=>Item
=>Generate
=>etc
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「おっ ステータスの項目が変化している。
やはり武器・防具はちゃんと装備しないと駄目みたいだ」
残りはSTATUSを確認してみよう。
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腕力: 15
体力: 15
敏捷: 20
器用: 17
魔力: 10
運: 15
獲得経験値:0
必要経験値:118789
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「これが俺の能力なのかぁ。なるほどなるほど。
”俺のナイフ”が光となった効果がALL+10だったから。
魔力は0だったのね・・・ てか魔法って概念があるなんて驚きだ
本当にこの世界は何から何まで変わってしまったんだなぁ」
等と考えていると一番下の項目に釘付けになった。
「必要経験値が 118789 !?」
レベルが表示されているので、経験値は必要なのだろうことは予想できていたが、
怪物を倒したとしてどれくらい上がるか想像できないが、明らかに異常な数値で 圧倒されてしまう。
「本当に生き残れるのか?これ・・・」
腹が満たされ、装備も整えた 瞬 であったが、行く抜くことの難しさを感じたのだった。