長瀬 花
ない。どこにもない…学生証がどこにもない…どこで落としちゃったんだろう…
「あの、工藤さんっ。」
私の名前を呼んだのは…長瀬さん。そこまで仲がいいわけではないんだけど…
「はい…どうしたんですか?」
「これ、落としてたよ。」
長瀬さんの手にあったのは私の学生証だった。
「あ、ありがとうございます。」
「それじゃあ…」
「ちょっと待ってくださいっ。あの、長瀬さん。失礼かも知れませんが、何か悩んでいませんか?私でよければお話を聞かせていただきたいのですが…」
「誰も気づかなかったのに…よく気づきましたね。でも、迷惑だよね?」
「そんなことないです。話してみてください…!」
「…この前、塾のテストで悪い点をとってしまって…行きたい学校の判定もほとんどD判定だった。先生にも諦めた方がいいって言われて…どうしたらいいのかわからなくって…」
「…When it is dark enough,you can see the stars…」
「え?」
「When it is dark enough,you can see the starsって言ったんです。どんなに暗くても、星は輝いているっていう意味です。エマーソンさんが言った言葉なんですけど…たとえ、点数が悪くても、希望はあります。これから頑張ればいいんですよ。」
「そう、だよね。なんだか、こんなことで悩んで馬鹿みたい」
「馬鹿ではありませんっ。人は常に悩んでいるんですよ。それぐらい普通です。でも、それに合う名言もたくさんあるんですよ。」
「そ、そうですか…でも、ありがとう。なんか、元気出てきた。次から頑張ろうって思えた。」
「良かったです。これから勉強、頑張ってくださいね。」
「うんっ。頑張る!もし、良ければ私と仲良くしてくれませんか…」
「え、あ、いいんですか…こんな私で…」
「もちろんだよ!私を元気にしてくれたのは雪ちゃんなんだから。」
「ゆ、雪ちゃん…!?」
「あ、嫌だった?ごめん…」
「いえ、そう言われたのが初めてだったので、嬉しくて嬉しくて…」
「そりゃ、よかった!これから宜しくねっ」
「はいっ。よろしくお願いしますっ。」
私の第三作品目。
学校を中心にしようと思って、学園ものとしました。
名言オタクな気弱な女の子。その子が様々な名言を使って人々のお悩みを解決します。
どうぞ、お楽しみください。