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短編集:語らい  作者: 睦月芽楼
3/13

“鬼”ごっこ

脱線100%

“鬼さんこちら、手の鳴る方へ”


言わずもがなこれは、近年の子供からは消えつつある鬼ごっこでの常套句。

今思うと、鬼を挑発するとは恐ろしいことだと思う。

そういう意味では、今になって小さい子供にも“鬼”の恐ろしさが伝わるようになったのだろうか?


「必ずしもそうとは言えん。もともとその言葉を恐れたのは鬼だからな。」

と、若干理解しがたい事を言い出したのは“鬼”である。

比喩ではなく、“鬼”そのものだ。

筋骨隆々で巨躯を持ち角がある、テンプレートに当てはめたような鬼だ。

角を隠す為のアフロヘアーと髪型にあわせたのかどこか常夏な服装、色黒の肌はテンプレな鬼とはまったく違うイメージを与えてはいるが……


「どういうことだ?鬼が怖いものといえば大豆といわしと柊。あと桃太郎だけだと思っていたが。」

あ、桃太郎はジョークな?鬼向けジョーク。通用するかは知らないけど。

「鬼ごっことは元を正せば鬼を払う儀式からきているのだ。」ほう、新発見。

というか、桃太郎スルーされた orz 

「大陸で行われていた儀式だ。日本で無名なのは仕方のない事だろう。」

「まさか……追われて日本に来たのか?」「・・・・・・・」図星かよ!


「ところでだな……」露骨な話題転換だな。ちょっとかわいそうになってきた。

「……桃太郎は怖くないと何度言わせる。」違った、反撃だった。

「アレはいいように御伽噺になってるが、実際は阿鼻叫喚の戦いだぞ?それに、たった1羽2匹に鬼が遅れをとるはずがない。」

「つまりアレか?鬼は個の戦闘力は勝ってたけど、桃太郎&犬猿雉の大群に数で負けたといいたいんだな?」

「そうだ。さして大きくもない鬼が島を埋め尽くす大群に我々も面食らっただけだ。」負けたとは言わないあたり強がりだなぁ。

「じゃぁ坂田金時はどうだ?桃太郎本人だが、酒呑童子を切り伏せた豪傑だぞ?」えぇい、負けてたまるか!

「酒呑童子は偉大だが、酒に溺れるのが悪い。よって、その豪傑は問題ではない。」証明完了じゃん、負けた。


言い返す言葉がなくなり、ふと関係ないことを零す。

「そういえば、鬼殺しの刀は国宝で保管されてるんだよなー・・・」

とたん、眼光が鋭くなり巨木の節くれのような手に掴まれる。

「おい、それはどこにある・・・吐け!!」

どうしようもなく恐ろしい質問攻めから抜け出るのに小一時間かかったが怪我はなかった

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