09
デスゴブリンを倒したおかげでレベルが上がったみたいだ。
いつも通りに力と速、器を1ずつ上げておく。
ドロップアイテムは【デスゴブリンのマント】だった。
毒と即死耐性があり防御力も高い。見た目は真っ黒なマントで、模様のように所々血の後が付いていた。呪われているみたいで中々に気持ち悪いマントだが、能力は高いので装備する事にする。
デスゴブリンとの戦闘のせいで回復アイテムはもうないし、装備もボロボロになっている。
俺はさっさと帰る事にした。薬草を探しながら森を進んでいく。
(多分、今モンスターと出会ったらそれが例え普通のゴブリンでも死んじゃうんだろうな。)
新しく買ったばかりの武器も防具もボロボロになっている。
格上のモンスターと長時間戦ったとはいえこれはヒドイ。
まだ壊れた訳じゃないから修理すれば元に戻るけど、修理するにもお金が掛るので中々に懐が寒くなる。
「どうしようかなぁ。新しい武器防具を買うか、それともそのまま修理して今の武器を使っていくか。」
新しい武器防具は買うだけのお金がないので修理するしかないだろう。
まぁ、デスゴブリンのマントを売れば色々な装備を買えるかもしれないが、苦労して手に入れたレア装備だし能力も高いので残しておきたい。
頻繁に装備を変えるのもどうかと思うし、修理する方向で行く事にした。
森に1回入っただけで武器を新調するとかどんなブルジョアだって感じだしな。
途中でゴブリンに追いかけられたりもしたが、何とか無事に帰る事が出来た。もちろん薬草もしっかり採取している。
ギルドでクエスト終了の報告を終えて報酬を貰う。
本当に今日は色々ありすぎた。疲れたし今日はもう猫の日向亭で休む事にしよう。
武器の修理は明日にすればいい。今日の残りの時間は部屋でゴロゴロすることに決めた。
「あ、クロさんお帰りなさい!」
ギルドから出るとそこにはミルファがいた。
最初の時は海岸で砂まみれだったし、今日の朝は汗まみれ、今も髪や頬が黒く汚れている。
俺はこの子の汚れていない姿を見たことがない気がする。
そんなミルファは肩にハンマーを担いで背中には薪を背負っていた。
「なんか凄い恰好だね、ミルファ。」
「鍛冶屋クエストの途中なんです。これが終われば初級武器作成と鍛冶の心得ってスキルが貰えるんですよ。実は既に金属系の武器防具の修理も出来るようになったんです!」
それならと武器の修理をしてもらう事にする。
ミルファは修理に必要なアイテムを揃えてくれるならと快くOKしてくれた。
ミルファも猫の日向亭に泊まっているみたいなので、晩御飯を一緒に食べる事を約束する。
ミルファはやる気に満ちた顔で走り去って行った。
修理をするにはその武器にしようされている金属が必要になるらしい。
ブロンズソードには銅が2個必要なるそうだ。
銅はNPCの店で簡単に手に入る。まぁ、プレイヤーの露店のほうが安いがそこまで高い物でもないしNPCの店で買う事にした。
銅を購入した後はプレイヤーの露店を冷やかして回る。財布は心許ないが見るのはタダだ。
少しの回復アイテムの補充をした後は掘り出し物を探していく。
「これ綺麗だな。」
俺の目の前にあったのは効果も付加されていない只のペンダントだった。
【練習作品】とペンダントには名前がついている。
防御力も0だし効果もない見た目だけの装備だが、かなり高級な感じがするペンダントだ。
値段は手軽に100ゼニー。それくらいなら買ってもまだ財布には余裕がある。
武器を修理してくれるミルファのお礼に買っていく事にしよう。
「すいませんこれをください。」
「いらっしゃい。お客さん良いセンスしてるね。それ、自信作なんだ。」
露店を出していた人はオペラ座の怪人みたいなマスクで顔を隠しているので分らないが、声から察するに男性プレイヤーみたいだ。
彼が言うにはここにあるアクセサリーは全部自分で作った物なんだそうだ。
もう少しすればスキルを付加させたアクセサリーを作れるようになるみたいだが、それまではどんな高級品を使っても似たようなアクセサリーしか作れないらしい。
だから安い素材でアクセサリーを作ってスキル上げをしているんだとか。
「よかったらまた買ってくれよ。次はスキル付きのアクセサリー用意しておくからよ。」
「そうするよ。えっと、名前教えてもらっても良いか?」
「オルデだ。よかったらフレンド登録しようぜ。」
「俺はクロだ。よろしく、オルデ。」
俺はオルデとフレンド登録を済ませると晩飯の為に猫の日向亭に戻るのだった。