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ライフアーク  作者: トカゲ
第一章 ライフアーク 
5/25

05

他のプレイヤーがレベル上げの為にモンスターと戦っていたおかげで、順調に進む事が出来たのでエグベアには昼前に着く事が出来た。

城門から街に入り、入り口でアベルから報酬の500ゼニーを受け取り別れる。


商業都市エグベアはセドア漁村と違ってしっかりと舗装された道とレンガ造りの建物が特徴的な大きな街だ。

エグベアの中央には【冒険者ギルド】があり、そこから西側が住宅区、東側が商業区と分けられている。

まずは冒険者ギルドで冒険者カードを発行してもらい、宿や店を探しながら街を周ると効率が良いと攻略サイトには書いてあった。


冒険者カードがないとこの街では依頼の回覧もできないらしい。

昼飯がまだなのでギルドは後回しにしようかとも思ったが、面倒くさい事は先にやった方が良いだろう。

もしかしたら食堂とかにも片手間で終わらせられる依頼とかもあるかもしれないし。


冒険者ギルドは街の中央の大きな建物だ。

外見は市役所って言うのが一番しっくりくる。

3階建ての建物で、1階が酒場で2階がギルドの受付、3階は会議室とかになっている。


プレイヤーが入れるのは2階までで、3階に入れたプレイヤーはまだ居ないらしい。

報告されていないだけかもしれないが、取りあえずは3階の様子を知るプレイヤーはいない。

会議室があることはギルドの案内板で分かっているが、封鎖されていて入れる条件がまだ分かっていないのだ。


俺は2階に上がって受付に向かう。

窓口は全部で5つあり、その全てに女性がニッコリした笑顔を貼りつかせている。

今は冒険者の数も少なく、受付にもすんなり入る事が出来た。


「こんにちは。今日のご用件は?」

「冒険者カードの発行をお願いします。」


俺がカードの発行をお願いすると受付の女性は笑顔のまま一枚の用紙をだしてくる。


「登録には200ゼニー必要になります。あちらの方で用紙に必要事項を記入してください。」


200ゼニーを支払って用紙を貰う。

記入するのは名前と特技だ。特技の欄は書かなくても良いらしい。

依頼によってはその特技を参考にしてギルドからプレイヤーに直接依頼を頼む事もあるらしいから書いた方が良いとは思うが、正直に書かないと自分ではクリアできない依頼とかも紹介されるので嘘は書けない。


特技は後から受付に報告して追加もできるので、無理に書く必要もない。

俺は一応特技の欄に採取と記入して受付に持って行く。

採取なら変なクエストも紹介されないと思ったからだ。


「確かに受け付けました。ギルドカード発行にはしばらく時間がかかります。30分位で出来上がるので、お待ちください。」


ギルド職員はそう言うと奥に引っ込んで行った。

ちょうど時間も空いたので1階でご飯を食べる事にする。

1階は食堂と言うよりは酒場に近い感じだ。NPCもプレイヤーも混じって酒や料理を楽しんでいるのが見える。


(まだ太陽も上に出ていて明るいというのに酒場でバカ騒ぎかよ。まぁこれはゲームだし、あまり気にしない方が良いか。)


1階の酒場は情報交換の場でもあるようだ。隅に掲示板のような物もあり、中々雰囲気がある。


「それより何より今は食事が先だな。セドア漁村では魚料理しか出なかったけど、ここではどうなんだろう?」


メニューを開いてみると、魚料理もあったが、野菜と肉料理が中心になっていた。

近くに農業都市グラシアがある恩恵だろう。

悩んだ結果、肉盛り丼とポテトサラダを頼む。これで合計100ゼニーだ。

セドア漁村の食事が20ゼニーだった事を考えると高額だが、あそこが特別なんだと思う。


出てきた食事は肉が山の様に乗っている丼物とポテトサラダだ。

肉でご飯が見えない!リアルだったら余程おなかが空いていないと食べられない量だと思う。仮想現実万歳と言った所だろうか。


食事が終わったら次は情報収集だ。

プレイヤーの皆さんはパーティを組んで楽しそうに談笑している。

こういう所に割り込むのは結構ハードルが高い。

だから今回はNPCの方に聞きこむことにした。に、逃げた訳じゃないんだからね!


今聞きたい事なんて、本当に初歩の知識やクエストだ。

そんなのプレイヤーに聞いたって迷惑がられて終わりだろう。

教えてくれても第一印象が最悪になってしまうかもしれない。

幸いNPCはそういうのを教えるのもお仕事だ。聞くNPCを間違えなければ喜んで教えてくれるに違いない。

まずはカウンターにいるバーテンダー風の男に聞いてみる事にしよう。

俺はカウンターに行ってコーヒーを注文する。

こういう時は酒の方が雰囲気も出るだろうが、酒は高い。コーヒーは一番安い酒の半分の値段だ。貧乏には雰囲気もクソもないんだよ。


「ねぇ、バーテンさん。俺さ、もうちょいしたら冒険者になるんだ。」

「そうですか。おめでとうございます。」

「それで、もし良かったら初心者でも稼げる仕事みたいな噂があったら教えてほしいんだけど……」


俺がそういうとバーテンダーの男はフム、とアゴヒゲに手を当てる。

何か情報を持っているのかもしれない。


「そうですな、クエストではありませんが、この街の南側にゴブリンとコボルトが潜む洞窟があります。モンスターの素材でかなり稼げますし、レベル上げも同時にできます。あそこはお勧めですよ。」

「へぇ、こっから距離はどれくらい?」

「確か……ここから徒歩で2時間程といった所ですかな。ただ、ゴブリンやコボルトは集団で行動するのでパーティを組んで向かった方が無難ですよ。」

「わかった。ありがとう。」


俺はバーテンダーの男にお礼を言うとコーヒーを飲みほして席を立った。

洞窟には行ってみたいが、ソロの俺では少し難しいかな。

時計を見てみるともうすぐ30分経つ頃だ。ギルドカードを受け取りに行くとしよう。


・・・


「お待たせしました。こちらが冒険者カードになります。ギルドの簡単な説明は必要ですか?」

「いや、いいよ。」

「そうですか。では分らない事があったら遠慮なく聞いてください。」


俺が説明を即答で断っても笑顔を崩さない受付さんマジ天使。

大体の事は下調べしてゲームを始めているから本当に必要がないのだ。

取りあえず簡単なクエストを今日中に一つは終わらせたいと思う。

理由はお金をためて早く初期装備を抜け出したいからだ。

俺は受付を離れて1階の掲示板に向かう。


クエストは2種類の受け方がある。

受付で自分のレベルに合ったクエストを紹介してもらう方法と依頼掲示板を使って自分で自由に探す方法だ。

受付で紹介してもらう方は討伐や護衛依頼が殆どで、街の人達からの細々とした依頼は掲示板の方になる。

今回は掲示板の方で依頼を受ける事にした。


酒場の掲示板に貼ってある依頼書から好きなのを剥がしてバーテンダーの方に持って行き依頼者を紹介してもらう。

掲示板には部屋の掃除から下水道の掃除まで――って、掃除ばっかりじゃないか!

他にないのか、他に。

探した結果見つけた依頼は店番と手紙を配達、草むしり……


どうしようかな。手紙の配達は農業都市グラシアまで行かないといけないからパスだな。

店番と草むしりと掃除のどれかから選ぶのか。

これ、剣と魔法の世界だよね?ファンタジーだよね?


思っていたのと違う依頼に悩みながら結局俺は草むしりの依頼を受ける事にした。

依頼書を持って行って草むしりをする場所を教えてもらう。


場所は東門の近くにある商人の屋敷らしい。

デカイ建物なので直ぐに分るそうだ。

面倒くさいがこれも仕事だ。頑張る事にしよう。



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